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旧奈良監獄が改装されてホテルになる?改装前や刑務所時代の姿をご紹介!

旧奈良監獄が改装されてホテルになる?改装前や刑務所時代の姿をご紹介!

旧奈良監獄は明治五大監獄の一つで、重要文化財にも指定されている貴重な建築物です。刑務所時代にはどんな建物でどんな役目を負っていたのでしょうか。2021年に改装されホテルとして開業する予定の旧奈良監獄についてご紹介していきます。

目次 [表示]

旧奈良監獄がホテルに生まれ変わる

Photo by Tamago Moffle

2017年に刑務所としての役目を終えた重要文化財の建物、旧奈良監獄を知っていますでしょうか。旧奈良監獄は、奈良市の有名観光地エリアのすぐそばにたたずむ赤レンガの美しい建築物です。明治時代のおもむきを現在に伝える貴重な旧奈良監獄は、2021年にリニューアルされ「監獄ホテル」として操業が開始される予定となっています。今回の記事では、旧奈良監獄の歴史や刑務所時代の姿、リニューアルの詳細などについてご紹介していきます。

2021年に監獄ホテルとして改装リニューアル予定

奈良監獄は、現在改装工事中で、令和3年・2021年に初の「監獄ホテル」としてオープンする予定です。監獄ホテルは通称で、正式名称などは2019年現在ではまだ決まっていません。今回の記事では、どのような姿でリニューアルされるのかについても説明していきます。ぜひとも最期までお読みください。

旧奈良監獄の歴史

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旧奈良監獄は、明治41年・1908年に作られたレンガづくりの歴史ある監獄です。明治といえば、江戸幕府がほろびて西洋の風が一気に入り込んできた時代です。そんな時代に、芸術的で先進的な監獄が作られたのには、とても深い理由がありました。以下では、旧奈良監獄が作られた理由について、現在までの歴史を振り返りながら紹介していきます。

黒船来航と不平等条約

旧奈良監獄の歴史は、江戸時代の終わり、ペリーが黒船で日本に来航してきた頃にまでさかのぼります。黒船来航依頼、日本は開国を余儀なくされ、世界のさまざまな国との間で不平等条約を結ばされてしまいました。ずっと鎖国してきていたので、先進国から蔑視され、まともな国として扱ってもらえなかったのです。それから江戸幕府が終了し、明治へと元号が変わり…。日本の主な目標は不平等条約の撤廃となっていきます。

国の威信をかけた一大事業として旧奈良監獄が生まれた

不平等条約を撤廃するため、明治政府は国の威信をかけてさまざまな改革に乗り出します。そのうちの一つが近代的な監獄の整備でした。当時、監獄のあり方は、その国の司法制度や人権感覚の指標とされていました。先進的な制度や感覚を持っていることを証明すべく、明治政府は旧奈良監獄をはじめとする明治五大監獄を整備したのです。

奈良刑務所から奈良少年刑務所に

旧奈良監獄は、1908年に「奈良監獄署」として完成します。その後、1922年には「奈良刑務所」と名前が代わり、戦後の1946年には「奈良少年刑務所」へと名前が変わります。そして、現在、2017年に役目を負えるまで奈良少年刑務所として機能を果たし続けてきました。少年刑務所とはいうものの、実際の収容者は25歳くらいまでの20代が多かったようです。

2017年に役目を終えた

旧奈良監獄は、2017年3月末に老朽化のためなら少年刑務所としての役目を終えました。しかし、重要文化財に指定されている以上、取り壊すことはできません。荘厳で立派な建物ですから、何かに利用できないかと検討され続けてきました。結果として、リゾートホテルなどを手掛ける業者の手により、リニューアルされホテルとして利用されることが決定したのです。

旧奈良監獄の刑務所時代

フリー写真素材ぱくたそ

旧奈良監獄こと奈良少年刑務所は、現在に至るまでどのように利用され、どのような目で見られてきたのでしょうか。以下では、奈良少年刑務所時代から現在に至るまでの実態や評価・評判についてご紹介をしていきます。

地元民から愛されていた

刑務所は通常は「迷惑施設」として、周囲の住民などから疎まれるものです。しかし、旧奈良監獄・奈良少年刑務所は、周囲の住民から嫌われることはありませんでした。そのため市街地の近くにあるにも関わらず、長きにわたって移転することなく刑務所としてのつとめを果たし続けてこられたのです。ホテルとしてのリニューアルが決まったのも、周辺の人々から愛されていたからだといってもいいでしょう。

美しい明治建築として重要文化財に指定

旧奈良監獄は、赤レンガ造りで西洋の宮殿のような荘厳さを誇っています。設計したのは、明治五大監獄すべてを手掛けた山下啓次郎氏です。旧奈良監獄は役目を負える前に地元自治体から、重要文化財に指定するように要望が出されています。そして、2016年に旧奈良監獄の建物は国の重要文化財に指定されるに至ります。明治五大監獄の中で完成時からの歴史ある姿をそのままに残しているのは、旧奈良監獄だけで非常に貴重です。

奈良矯正展を毎年実施

奈良少年刑務所だった頃には、1991年から毎年1回「奈良矯正展」というイベントが催されていました。これは一般市民を対象とする公開行事です。刑務所で作られた物の販売や、刑務所での指導内容の紹介など、様々な催しがなされました。また、矯正展では美しい建物の内部を見学する一般向けのツアーも実施されていました。地元との交流が密で、地元から愛されていた施設だったことがよく分かるエピソードではないでしょうか。

細やかなフォローで収監者の社会復帰をサポート

旧奈良監獄こと奈良少年刑務所は、25歳以下の初犯受刑者を収容していました。職業訓練施設も刑務所に併設され、受刑者の社会復帰のために様々な指導がなされていました。ここに入った受刑者は、理容師や左官などの資格や技術を取得し、出所してからも再犯せずに社会に復帰していったのです。刑務所というとどうしてもネガティブなイメージとなりがちですが、奈良少年刑務所は自身の役割をしっかり果たして、地元に愛されてきたのです。

旧奈良監獄はどんなホテルになる?

Photo byOlichel

旧奈良監獄は刑務所としては2017年3月末で役割を終えています。そして、2021年からは改装され、ホテルとしてリニューアルオープンする予定となっています。まだ、計画段階ではありますが、どのようにリニューアルされるのかについてご紹介していきたいと思います。

注目度は抜群!資料館も併設

2017年3月に閉鎖された旧奈良監獄・奈良刑務所は、2021年には国内初の監獄ホテルとしてオープンする予定となっています。刑務所として使われていた歴史的な建物が、ホテルに改装されるのは国内初となる事例です。さまざまなニュースでも報じられ、とても注目度の高い観光施設の候補となっているのが現在の状況です。ホテルだけではなく、刑務所・監獄時代の資料館も併設される予定となっています。

リニューアル館など3つのホテルへ

法務省が発表した資料では、旧奈良監獄は3つの監獄ホテルへと改装される予定となっています。

  1. 文化財リノベーションホテル:実際の収容所が改装されホテルの客室になる。
  2. 新設ホテル:運動場跡地に新しく建てられ、旧奈良監獄の一望できるホテル。
  3. ドミトリー:表門の近くに新しく建てられる簡易宿泊施設。
先に説明したとおり、史料館や保存施設も閉設され、宿泊だけでなく観光施設としても活用される予定です。

ソラーレから星野リゾートへの変更

「監獄ホテル」は計画当初、ソラーレホテルズアンドリゾーツがリードして200室近いホテルを作る予定でした。が、2019年4月にソラーレは代表を退き、星野リゾートが中心になることが明らかになりました。客室も100室程度へと減り、当初よりも高級志向へと変わっていくことが考えられています。2019年時点では、このようなゴタゴタもあり、どのようなホテルになるのか、まだ詳しく決まっていないのが現状のようです。

監獄の味を残しつつ快適なリゾート

旧奈良監獄は、どのようなホテルになるのか詳細が決まっていません。しかし、建物自体は重要文化財に指定されていますので、刑務所としての姿やおもむきは最低限、残ることでしょう。計画では収容房の1棟が史料館として作られることとなっています。星野リゾートがメインとなったことで、高級志向の観光リゾートホテルとなる可能性が高まったといえるでしょう。監獄の味を残しつつ、快適に時間を過ごせるのは間違いなさそうです。

一般公開・見学会はホテルオープンまでない

旧奈良監獄・奈良刑務所は、2019年時点では改装工事の途中です。そのため、一般の観光では見学できません。計画当初は2019年中に、旧奈良監獄の史料館がオープンする予定だと報じられていましたが、史料館の具体的な情報は2019年10月時点では見つけられませんでした。ホテル開業前に史料館として一般公開される可能性があることは覚えておきたいところです。

少年刑務所終了や改修工事着工前には見学会が…

旧奈良監獄・奈良少年刑務所では、毎年9月に矯正展を開いて内部を一般公開していました。また、刑務所としての役割を終える直前や、改修工事に着手する前には、一般の観光客などを対象とした見学会も開かれていました。歴史のある重要文化財の建物内部をそのまま見学できるということで、非常に人気のあった見学会・公開イベントだったようです。見学会の写真などの詳しくあげているサイトも多数あります。

旧奈良監獄の地下が話題に

改修工事前の観光客向けの一般公開イベントでは、さまざまな箇所を見学することができました。見学可能だったのは地上の建物だけではなく、その内部や地下に至るまで隅々と見ることができたようです。中でも、ブログなどで話題になったのが旧奈良監獄の地下の様子でした。迷宮のように入り組んでいて真っ暗な地下空間までガイドなしで歩いて入れたようで、その様子がブログにあげられています。

旧奈良監獄の地下ダンジョン探検記録 – TabiKen | 旅と建築
旧奈良監獄の地下が想像以上の無法地帯。見学会のはずがダンジョン探検みたいになってしまった記録です。

ホテルになったら地下は見られない?

旧奈良監獄のホテル化は、途中でメインの事業者が変わったこともあり、まだしっかりとは定まっていません。監獄の地下を自分も見学してみたいと思う方は多いかもしれませんが、地下が公開される可能性は低いと思っておいた方がいいかもしれません。地下は刑務所としてメインの役割を負っていたわけではないからです。

ホテルになったら大きく変わる?

ホテルになったら、監獄や刑務所としての姿は残らラないのでしょうか?現在、事業の中心となっている星野リゾートは、歴史や文化・味を大切にした改築を進めていくとコメントを発表しています。リゾートの客室になる以上、大きく様変わりする箇所は確かにあるでしょう。しかし、重要文化財に指定されている以上、骨組みから大きく変わることはありません。観光客向けに公開される史料館などは、雰囲気を残した設計となるはずです。

まとめ

以上、旧奈良監獄の歴史や監獄ホテルとしての改装についてご紹介してきました。ホテルが完成するのは2021年と少し先の話になります。しかし、史料館が早めにオープンする可能性も高いといえるでしょう。今回の記事をお読みいただいて、少しでも旧奈良監獄についての興味を持っていただけたのであれば幸いです。

sima
ライター

sima

国内の弾丸旅行が好きです。

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