諏訪湖の御神渡りが見られる時期は?
御神渡りが見られる時期は極寒の1月から2月の間で、見られる期間は数日から数週間です。諏訪湖の結氷日や御神渡り出現日などの記録は、1444年以降連続的に残され、冬の気候変動を知る貴重な史料になります。
1990年以降、御神渡りが出現したのは8回で、1年の出現率は3割以下です。
出現期間は1月・2月の数日から数週間
諏訪市の1月の最低気温は平均マイナス5.9度、2月はマイナス5.5度にもなります。温暖化の影響もあってマイナス10度は減っていますが、湖面の標高は759メートルで周囲を山に囲まれた盆地の底にあり、冷気が溜まりやすい構造です。
快晴の日が多く、夜間に放射冷却で気温が下がり、マイナス10度前後まで冷え込みます。御神渡り出現の有力な後ろ盾です。
諏訪湖の御神渡りにまつわる伝説
御神渡りにまつわる伝説の一つをご紹介します。昔、諏訪にはタテミナカタノミコト(男神)と、おきさきのヤサカトメノミコト(女神)の二人の神様がいました。
諏訪大社上社(諏訪市)で仲良く暮らしていたある日、ささいなことからけんかになり、女神は舟で諏訪湖を渡り、対岸の諏訪大社下社(下諏訪町)へ行ってしまいます。
村人を驚かせた湖上の音
2人はしばらく湖を挟んだ上社と下社で暮らしていましたが、寂しくなった男神は、女神に早く会うため、凍った湖の上を歩いて、下社に行くことにします。
大きな体の男神が歩くたび、湖上は「ゴォー、ミシミシ」と大きな音をたてました。驚いた村人は、朝、湖に見に行くと、割れた氷の山のうねりを見つけます。村人たちは口々に「神様が通って行った恋路だね」と話しました。
諏訪大社八剣神社の神事
全国の諏訪神社の総本社で、諏訪湖の南に上社(前宮、本宮)と、北に下社(春宮、秋宮)の四社があり、摂社末社60数社が郡内に鎮座しています。
7年に一度行われる御柱祭(おんばしらさい)は、宝殿を造営する祭りです。長さ約17メートル、重さ10トンものモミの木を住民らが山から神社まで曳いて、各社殿の四隅に建てます。20万人の観光客でにぎわう長野県屈指の祭りです。
諏訪市無形民俗文化財の特殊神事
御神渡りが出現すると、諏訪大社上社摂社の八剣(やつるぎ)神社の神官が神事を行い、総代らが氷の上を見て回り、氷の隆起などを検分して御神渡りかどうかなどを判定します。
後に行われる拝観式では、御神渡りができた方向を過去の記録に照らして決定し、その年の世相などを占うのがならわしです。1978年に特殊神事として諏訪市無形民俗文化財に指定されました。