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西伊豆の保存食「潮かつお」ってどんな名物?作り方や活用法をご紹介!

西伊豆の保存食「潮かつお」ってどんな名物?作り方や活用法をご紹介!

「潮かつお」は西伊豆で作られている伝統の保存食です。原産地の田子港は元々かつお漁で栄えた漁師町でもあり、昔からの伝統の加工方法を元にして現在も製造されています。今回は西伊豆の保存食「潮かつお」の作り方や活用法などをご紹介しましょう。

目次 [表示]

西伊豆の保存食「潮かつお」ってどんな名物?

寒い冬の日に家の軒下に吊るされる「潮かつお」は西伊豆田子地区で作られている伝統の保存食で、伝統の加工方法を元にして現在も製造されています。かつおの豊漁を祈る田子地区の人々にとって、潮かつおは「特別な食べ物」です。今回は西伊豆の名物「潮かつお」の作り方や活用法などをご紹介しましょう。

西伊豆の保存食:「潮かつお」の作り方は?

潮かつおは元々、航海安全・豊漁豊作・子孫繁栄などを願って作られる神様への捧げ物で、それに使われるかつおはとても丁寧に扱われます。寒い冬の時期にもかかわらず手作業によってひとつひとつ作られる潮かつおは、田子地区の人々のかつおや神様に感謝する気持ちの現れです。感謝を込めて丁寧に作られる潮かつおの作り方を解説しましょう。

作り方1:下処理

潮かつおの製造は全国で田子地区でのみ行われています。時期は11月から1月上旬の寒い冬の間だけに限定され、製造数も多くはありません。田子地区のかつお漁は伝統の「一本釣り」のため、加工はまるごとのかつおで行いますが、その加工工程はとても大変です。

とても丁寧な扱い

出刃包丁を使って内臓を取り除き、中骨に沿って切り込みを入れるなど、手作業で下処理が行われます。神様に捧げる神聖なものですから、その扱いはとても丁寧です。

作り方2:塩漬け

下準備をしたあとは、かつおが真っ白になるくらいの大量の塩を擦り込んでいきます。お腹の中には大量の塩を詰めて、かつおの水分を抜くのですが、切り身ではなく一本丸ごとのかつおですから簡単ではありません。冷たい冬の作業ですから、より大変な思いをして作っています。

完成まで時間がかかる

かつおの塩漬けには2週間かかります。その後はさらに、吊るして冷たい潮風に3週間さらし、ようやく潮かつおが完成です。潮かつおは、こうして1ヶ月以上の長い時間と大変な手間暇をかけて作られています。

西伊豆の保存食:「潮かつお」の味は?

潮かつおの味は「かつおの旨味」と「塩味」で構成されたシンプルなものですが、かつおの水分を抜くために大量の塩が使われているので大変に塩辛い味です。食べる場合は一度にたくさん口に入れず、少しずつ削いで食べるといいでしょう。口に入れると、かつおの旨味や甘味が感じられます。

西伊豆の保存食:「潮かつお」の活用法は?

潮かつおには大変に塩辛い食べ物なのですが、さまざまなおいしい食べ方があります。田子地区に伝わる伝等的な方法から、意外な料理に変身させる方法まで、潮かつおを一本まるごと食べ尽くせる活用方法をご紹介しましょう。

活用法1:焼き魚

田子地区でポピュラーな食べ方が「焼き魚」です。一般的な切り身の焼き魚と違い、潮かつおを三枚におろし、さらに刺身のように薄くスライスしてから焼きます。素材の旨味が凝縮された潮かつおは、焼くことでさらに香ばしさが生まれ、ただ塩辛いだけではない癖になる味です。そのまま食べてお酒のあてにするのも良し、他の料理にも派生することもできます。

活用法2:お茶漬け

田子地区の働く人々に愛されてきた食べ方が「お茶漬け」。焼いた香ばしい潮かつおをご飯に乗せ、お湯をかけると、とてもいい出汁が出ます。香ばしい香りと相まったおいしいお茶漬けをぜひ食べてみてください。田子地区では他にかつお節も作られていますが、これがかつお節の元となったといわれています。疲れたときや体の調子が悪いときには、おかゆにするのもおすすめです。

活用法3:汁物

Photo by is_kyoto_jp

かつお節のように良い出汁が取れる潮かつおは、汁物に入れてもおいしく食べられます。切り身を大きめにほぐしたものをお椀に入れ熱湯をかけて塩抜き・臭み取りをしたら下準備は終わり。もう一度熱湯を注ぎ、調味料を加えて味を整えれば簡単なお吸い物になります。熱湯でないと生臭くなることがあるのでチェック。お吸い物以外に洋風のスープや味噌汁の出汁、煮物にも使えます。

活用法4:酢漬け

田子地区では、潮かつおをお酢と合わせて食べることもあり、家庭によって異なる食べ方があるようです。こんがりと焼いた潮かつおを甘酢に漬けて食べると、ご飯が進む濃い味付けのおかずになります。塩分が気になる場合には、焼く前に塩抜きするのがおすすめです。スライスして2〜3時間ほど塩抜きしたものに酢やレモン果汁をかけ、マリネのようにして食べる家庭もあります。

活用法5:炊き込みご飯

Photo by Kanko*

洗ったお米と調味料・焼いてほぐした潮かつおを一緒に炊飯窯に入れて炊くと、おいしい潮かつおの炊き込みご飯ができます。生姜やきのこ、根菜を入れてもよく合います。炊き上がりに葱やごまなど、薬味を載せるとさらにおいしいです。塩味とかつおの旨味だけのシンプルな潮かつおは、どんな具や調味料ともよく合いますので、素材を変えてもおいしいアレンジの幅が広い活用ができます。

活用法6:うどん

潮かつおを使った「うどん」が、西伊豆の「B級グルメ」として話題に上がっています。定義は、西伊豆しおかつおを使用していることと・混ぜ麺であることで、年々生産量が減ってしまった潮かつおの普及活動として作られたもの。うどんにすれば、風味がダイレクトに味わえる上に食べやすいのではないかとメニューが考案されました。潮かつおのうどんは、家庭でも試せる簡単な活用法です。

活用法7:パスタ

「魚の塩漬け」という点では、パスタによく使われる「アンチョビ」とも近いものがある潮かつおは、パスタの具としてもよく合います。茹でたパスタと一緒に炒めれば、潮かつおを焼く工程も必要ないので手軽です。潮かつおは調味料や具材を選ばないので、パスタとしてもアレンジの幅が広い活用ができます。

活用法8:フライ

潮かつおはフライにしてもおいしいです。小麦粉・卵・パン粉で衣を作り、ひと口サイズにほぐした潮かつおをあげましょう。食べる時は潮かつおの風味を活かすため、レモン果汁がおすすめです。もちろん、ソースでもおいしく食べられます。

活用法9:グラタン

Photo byRitaE

アンチョビのような風味があり、洋風料理にもよく潮かつおは、グラタンにしてもおいしいです。潮かつおの塩気が、グラタンのいいアクセントになり、普段と一味違うパンチのある味になります。潮かつおの生臭さを消すために、にんにくを一緒に使うのがおすすめです。

活用法10:卵かけご飯

お茶漬けに次いで、手軽な潮かつおの活用法が「卵かけご飯」。温かいご飯の上に、卵と焼いてほぐした潮カツオを乗せるだけで、忙しい人におすすめの活用法です。潮かつおがフレーク状に加工された「潮かつおふりかけ」という商品もあるので、こちらを利用するとさらに楽になります。

西伊豆の保存食:「潮かつお」の購入方法や保存方法は?

古来からの伝統の製法で作られた「潮かつお」を購入するためには、現地購入やオンライン購入の方法があります。全国どこからでも購入が可能で配送もしてくれるオンラインショップでの購入方法や、購入したのちの保存方法をご紹介しましょう。

購入方法は?

潮かつおの購入方法はオンラインが一般的です。一般的な総合オンラインショップでも購入が可能ですが、飾り付きのものを希望する場合は製造元のオンラインショップをおすすめします。切り身のものやスライスしたもの、加工を加えたものなどさまざまな容量や形状のものが出回っていますので、つかいかたや容量の好みに合わせた商品を購入可能です。

購入した後の保存方法は?

Photo byOpenClipart-Vectors

本来は寒い冬に軒先に吊るし保存していた潮かつおですが、全国どこの地域でも同じように保存できるわけではなく、現代では、冷蔵庫に入れて保存するのが一般的です。冷蔵庫の保存で約3〜4ヶ月間、冷凍庫では6~12ヶ月間が目安になります。使い切りやすい少量のものや、切り身の販売もありますが、一本まるごと購入しても消費ができるほどの長期間保存が可能です。

西伊豆の保存食「潮かつお」は伝統の味わい深い逸品

西伊豆・田子地区で作られる名物品「潮かつお」。寒い冬の時期に行われるにもかかわらず、丁寧な手作業で時間をかけて作られた潮かつおは、田子地区の人々が神様への感謝を伝える贈り物。かつおの旨味と塩味だけで構成されたシンプルな潮かつおは、さまざまな活用法があり、かつお一本をまるごと食べ尽くせるほど。オンラインでも販売が行われているので、入手し実食してみてください。

小池ちかり
ライター

小池ちかり

ふたりの子供をもつ専業主婦。 いつかアメリカ国立博物館で恐竜を見たい!

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