秘伝製法の松浦漬け
松浦漬けは、佐賀県唐津市呼子町の名産品であり、日本珍味五種のひとつに数えられています。クジラの軟骨である「かぶら骨」という軟骨を細かく刻み、脂抜きをしたあと甘辛く味付けされた酒粕に漬けたものです。
酒粕のなめらかな舌触りとクジラの軟骨のコリコリとした食感がたまらなくおいしい逸品で、ごはんやお酒のお供として、地元では長年親しまれています。
製法は門外不出
松浦漬けは呼子町にある「松浦漬本舗」という会社でしか作られていません。松浦漬けは長い苦心の末にようやく開発されたため、製法は門外不出、家伝の秘宝として守られているのです。
製法を書き記すことも禁止され、口頭伝達のみで後継者に受け継がれています。仕上げの工程は必ず社長が1人でおこない、そこではじめて松浦漬けは完成します。
松浦漬本舗創業者の試行錯誤の末にうまれた松浦漬け
呼子町は江戸時代から明治時代初期にかけて捕鯨基地として栄えた町です。松浦漬本舗の初代社長でもある山下ツルさんは、捨てる部位がないと言われるクジラの、唯一利用価値がない軟骨を酒粕に漬けてみようと思いつきました。
酒粕の風味を生かし、長期保存も可能な商品開発に長い期間と莫大な私財をかけて、試行錯誤の末にようやく松浦漬けが誕生しました。
こだわりの素材と手間を惜しまない秘伝の技
松浦漬けに使う酒粕は、創業時から変わらず同じ酒蔵のものです。全国でも有数の「酒都」として有名な、広島県東広島市西条町から取り寄せています。西条町にはたくさんの酒蔵がありますが、松浦漬けに使用されているのは「賀茂鶴酒造」と「亀齢酒造」の酒粕です。長年の味を守るため、酒粕も同じ酒蔵のものを使っています。
じっくり時間をかけて酒粕を育てる
届いた酒粕は大きなタンクの中で丸1日かけて踏みしめる「粕踏み」をし、つぎに「寝かせ」と呼ばれる工程でゆっくりゆっくり発酵、熟成させていきます。酒粕に甘味や風味がでてきたら松浦漬けを作り始めます。
気候や気温によっても酒粕の仕上がりが変わってくるので松浦漬けが完成するまでの期間は決まっていません。松浦漬けの味の決め手となる酒粕は手間ひまをかけて育てられています。
酒粕の効果
松浦漬けに使われている酒粕ですが、実はとっても体にいいのです。酒粕には、ビタミンやミネラル、食物繊維など美容にうれしい成分がたくさん入っています。腸内環境が整うため便秘解消や美肌効果にも期待ができます。
高血圧を抑制したり、アレルギー症状を緩和、生活習慣病予防効果など健康効果も秘めています。「カス」とは名ばかりで、酒粕はとても優秀な食品なのです。