新成田空港基本計画で具体的にどう拡張されるのか?
新成田空港基本計画の目指すところは、簡単に言うと「成田空港での年間発着回数を30万回から、いかに50万回に増やすか」です。成田空港の機能強化のため以下の改修が計画されています。
- 滑走路の延長・新設
- 高速離脱誘導路の再配置
- WAMの導入
- ターミナルの新設
- 夜間飛行制限の見直し
新基本計画では既設第2B滑走路の延伸
現在の成田空港では、第1・A滑走路と第2・B滑走路が供用されています。A滑走路は延長が4,000メートルで、B滑走路が2,500メートルです。滑走路に関して、機能性や利便性に問題のあるB滑走路の延長を、1,000メートル延伸して3,500メートルの滑走路にする、と新基本計画ではなっています。
新基本計画では第3C滑走路の新設
新基本計画では既設のB滑走路を2,500メートルから3,500メートルにする延伸工事とともに、第3のC滑走路を3,500メートルで新設も計画されています。これが完成すると新しい空港には第1~第3で、すべて3,500メートル級以上の滑走路が3本揃うことになります。
滑走路の延伸と新設で増える発着回数
B滑走路の延伸とC滑走路の新設工事は、計画では同時に進められることになっています。滑走路完成後も両滑走路を連動させる、同時併用で運用する方針です。3,500メートル級2本の滑走路の供用によって、年間の発着回数は現行より合計16万回の増加が可能となります。
管制機能の高度化「高速離脱誘導路」と「WAM」
滑走路の整備と併せて誘導路の整備も必要です。着陸後に滑走路から駐機場に向かうための「高速離脱誘導路」を再配置するなど、総延長7,471メートルの誘導路整備を行います。これによって、各航空機の滑走路占有時間の短縮が可能です。その効果で年間2万回の発着回数増加を図れます。
監視装置「WAM」の導入
管制機能の強化では、より高い精度での航空機の監視が可能となる監視装置「WAM」を導入します。これによって管制機能の高度化を図ることで、年間2万回の発着回数増加が可能です。高速離脱誘導路とWAMを並行した導入で、空港処理能力拡大効果は年間4万回が見込めます。
新基本計画で年間発着回数20万回増が可能
先に述べた、滑走路などのハード面の整備によって、発着数は年間16万回の増加が可能です。高速離脱誘導路や管制機能などソフト面の整備強化によっても、併せて4万回の発着数増加を見込めます。したがって、「現状の年間発着可能回数30万回は20万回増えてトータルで50万回となる」とするのが新基本計画です。
新基本計画で予定される新設ターミナル
NAAが公開した現時点での施設配置案によると、第3滑走路供用後の成田空港には新ターミナルが建設される予定です。着工時期や具体的な規模は公表されていませんが、現存する3つのターミナルよりは大規模な4つめのターミナルになると考えられています。
新基本計画での夜間飛行制限の見直し
成田空港において現状では、A滑走路発着時間が朝6時から夜11時までとなっています。先に紹介した「4者合意」では2020年の東京オリンピック開催時までに、A滑走路発着時間は朝6時から深夜0時までと夜間飛行制限が変更される予定です。
第3滑走路併用後の発着時間の変更
新基本計画による新しいC滑走路が完成して、成田空港の3本の滑走路が供用された後の夜間飛行制限が変更になります。空港全体のABCすべての滑走路について、発着時間が朝5時から深夜0時30分まで可能です。夜間飛行制限は現状の7時間から4時間30分に短縮されます。
地元住民の理解が必要な事項ですが、夜間飛行制限の緩和も発着回数の増加へつなげられる要因です。
出典:https://www.naa.jp/jp/20191107_henkoukyokashinsei.pdf