目次 [表示]
- 甲府盆地ってどんなところ?
- 甲府市を中心に8市3町があります
- 甲府盆地が生んだ英雄「武田信玄」
- 暮らしに密着した地形や気候
- 甲府盆地の特徴①:山に囲まれた地形
- 盆地を天然の要害とした信玄
- 甲府盆地の特徴②:川が集まる地形
- 南アルプスなど名水の宝庫
- 甲府盆地の特徴③:冬も晴天が多い気候
- 上雪の日は十分注意を
- 甲府盆地の特徴④:標高の割に猛暑の気候
- 温度差が大きく、雷雨も多く
- 甲府盆地の特徴⑤:果樹栽培が盛ん
- 桃やブドウ狩りが楽しめます
- 甲府盆地の特徴⑥:ブドウ栽培とワイン造り
- ブドウ畑の広さが圧巻の甲州市
- 甲府盆地の特徴⑦:豊富な温泉が随所に
- 日帰り温泉施設も数多く
- 甲府盆地の特徴⑧:首都圏への交通の要衝
- リニア中央新幹線開業に向けて
- 甲府盆地のおすすめ観光スポット【8選】
- おすすめ観光スポット①:武田神社
- おすすめ観光スポット②:舞鶴城公園
- おすすめ観光スポット③:昇仙峡
- おすすめ観光スポット④:新府城
- おすすめ観光スポット⑤:恵林寺
- おすすめ観光スポット⑥:西沢渓谷
- おすすめ観光スポット⑦:勝沼ぶどうの丘
- おすすめ観光スポット⑧:かいてらす
- 富士山を展望する甲府盆地へどうぞ!
甲府盆地ってどんなところ?
甲府盆地は山梨県のほぼ中央部に位置し、逆三角形に近い地形をしており、富士山のすそ野に匹敵する広さがあります。周囲には富士山・南アルプス・八ヶ岳などの山々があり、山から流れ下る大小の河川が盆地の豊かな土壌を育みました。
夏の猛暑と冬晴れの厳しい寒さが気候の特徴で、気候や標高差のある地形を生かした果樹栽培が盛んです。ワイン醸造など特徴的な地場産業もあります。
甲府市を中心に8市3町があります
甲府盆地には、山梨県庁所在地の甲府市をはじめ、韮崎・南アルプス・甲斐・中央・笛吹・山梨・甲州の8市と、昭和・富士川・市川三郷の3町があります。総人口約60万人で、山梨県の人口の約7割を占め、ほとんどが盆地内の住民です。かつては小さな町や村が多かったのですが、平成の大合併で、いくつかの市が誕生しました。
甲府盆地が生んだ英雄「武田信玄」
甲府駅前や塩山駅前にある武将の座像は、甲斐の国で活躍した戦国大名「武田信玄」です。「戦国最強の軍団」と言われ、山梨県では今も郷土の英雄として高い人気を誇っています。
山や川など甲府盆地の特徴や広さを熟知しながら領国経営にあたり、釜無川沿いに築いた「信玄堤」に、その名を残しています。甲府市の武田神社は、信玄の居城があったところです。
暮らしに密着した地形や気候
甲府盆地の特徴的な「地形」「気候」「農業」「温泉」「交通」は、盆地に住む人々の暮らしに深くかかわっています。それらがもたらす、文化・産業・観光などへの恩恵や効果も計り知れません。その特徴について、一つずつ見ていきます。
甲府盆地の特徴①:山に囲まれた地形
山に囲まれた地形の甲府盆地は、標高3,776メートルの富士山の眼下にあり、西には標高3,000メートル級の南アルプスがそびえ立ちます。
北の八ヶ岳や関東山地は標高2,000メートル台ですが、名山がいくつもあり、登山やハイキングスポットが目白押し。山々から盆地を眺めると、眼下に見える街並みの広さが実感できます。
盆地を天然の要害とした信玄
武田信玄は、有名な「人は城、人は石垣、人は堀」という言葉を用い、甲府盆地に巨大な城を築きませんでした。「人材こそ大事」という信念とともに、周囲の高い山々が天然の要害となって、甲斐の国を守ってきたのでしょう。信玄は、甲府盆地の地形的特徴を最大限生かしていた武将でした。
甲府盆地の特徴②:川が集まる地形
逆三角形の地形をしている甲府盆地には、三角形の右側(東)から笛吹川、左側(西)から釜無川が流れ、下側(南)で合流し富士川となります。釜無川に流れ込む塩川・御勅使川の合流付近にあるのが史跡「信玄堤」です。笛吹川に合流する荒川上流には、山梨県を代表する観光地「昇仙峡」があります。
南アルプスなど名水の宝庫
甲府盆地の広さを培った河川は、同時に豊かな水の恵みを山梨県民に与えています。山梨県は「名水の郷」として有名で、甲府市の「昇仙峡」、山梨市の「西沢渓谷」は、平成の名水100選に選ばれました。飲料水メーカーやワイン・日本酒など酒造所も数多く、とくに「南アルプスの天然水」は全国的な知名度を誇ります。
甲府盆地の特徴③:冬も晴天が多い気候
甲府盆地の気候は、年間を通して日照時間が長いのが特徴です。日が短い12月や真冬の1月でも、月平均日照時間は200時間を超え、澄んだ青空が広がる冬晴れの天気が続きます。首都圏より標高が高いため、真冬は毎朝、氷点下の厳しい寒さです。
上雪の日は十分注意を
晴天の多い冬の甲府盆地ですが、南岸低気圧が通過する気圧配置になると、まとまった雪が降ります。地元では「上雪(かみゆき)」と呼び、交通への影響を及ぼすことも珍しくありません。このタイミングで山梨県を訪れる場合、交通情報や道路状況に注意が必要です。
甲府盆地の特徴④:標高の割に猛暑の気候
標高が高い甲府盆地ですが、盆地の気候特有の「冬寒く、夏暑い」と言われるとおり、夏は30度以上の真夏日になります。真夏の7月下旬から8月上旬には、35度以上の猛暑日もありますので、真夏の山梨観光では、熱中症対策が不可欠です。
温度差が大きく、雷雨も多く
甲府盆地の気候は、一日の温度差が大きいのも特徴です。夏の都心での寝苦しさに比べると、夕方や朝方は気温が下がるため、過ごしやすくなります。ただ、積乱雲が発生しやすく、午後は雨が降るケースが多いので、傘(かさ)は必需品ですね。
甲府盆地の特徴⑤:果樹栽培が盛ん
山梨県は全国屈指の「フルーツ王国」で、甲府盆地では果樹栽培が耕地のほとんどを占めるほどです。全国一の生産量を誇るブドウ・桃・スモモのほか、サクランボ・ブルーベリー・リンゴなどが栽培されています。日照時間が長いという気象条件と、水はけの良い扇状地の地形が、果樹栽培に最適だったのでしょう。
桃やブドウ狩りが楽しめます
春の甲府盆地を彩る景色といえば、ピンク色の桃の花が一面に咲き誇る光景です。もちろん、花を見て楽しむだけではなく、夏の収穫期には観光果樹園で桃狩りが楽しめます。ブドウ狩りは秋がピークで、デラウエア・巨峰・甲州など、バラエティーに富んだ種類のブドウを食べ比べてみるのもいいですね。
甲府盆地の特徴⑥:ブドウ栽培とワイン造り
平安時代からブドウの産地だった甲府盆地では、明治に入って間もなくワイン造りが始まった「日本のワイン発祥の地」です。ワインの生産量は全国トップクラスで、高い品質を誇るワインが愛飲者に好評。とくに、山梨県で栽培する特産ブドウ「甲州」を使った甲州ワインは、世界的な評価を受けています。
ブドウ畑の広さが圧巻の甲州市
甲府盆地東側にある甲州市は、山梨県の中でも屈指のワイン醸造が盛んな地域で、標高差を利用したブドウ畑の広さに圧倒されます。市町村合併前の「勝沼ワイン」のころからブランド化を進めており、地元栽培ブドウにこだわったワイン造りが自慢。市内のワイナリーでは、試飲や購入ができますので訪れてみてください。
甲府盆地の特徴⑦:豊富な温泉が随所に
甲府盆地にある代表的な温泉郷が、甲府市の「湯村温泉郷」と笛吹市の「石和温泉郷」で、それぞれ湯の街の雰囲気が異なります。湯村温泉は、弘法大師が開湯したという1,000年以上の古い歴史を持ち、石和温泉は、昭和36年の井戸掘削中に湧き出た新しい温泉。ともに交通アクセスが良く、多くの湯治客が訪れる名湯です。
日帰り温泉施設も数多く
甲府盆地を取り巻く山麓には、日帰り入浴ができる温泉施設が数多くあります。山梨市の「ほったらかし温泉」や「やまなしフルーツ温泉ぷくぷく」、市川三郷町の「みたまの湯」は、盆地の夜景が楽しめる温泉として人気です。温泉から一望する盆地の広さに感動しながら、心身ともにリフレッシュしましょう。
甲府盆地の特徴⑧:首都圏への交通の要衝
甲府盆地は、江戸時代に五街道の一つ「甲州街道」が設けられ、交通の要として重視されてきました。現在では、都心と長野県を結ぶ中央本線や中央自動車道が、交通の大動脈となっており、特急列車や高速バスが頻繁に行き来しています。東名高速・中央道・上信越道を結ぶ中部横断自動車道の建設も進ちょく中です。
リニア中央新幹線開業に向けて
首都圏と中京・関西を結ぶ新しい交通網として、2027年開業を目指しているのが「リニア中央新幹線」。山梨県内では、実験線での走行試験が繰り返されていますが、甲府盆地に駅が開設される予定です。開通すれば、東京品川からの所要時間は約25分となり、産業や観光面での効果が期待されています。
甲府盆地のおすすめ観光スポット【8選】
特徴的な地形や気候の甲府盆地や、盆地周辺の山間部には、観光スポット・史跡・名勝がたくさんあります。同じ山梨県内の富士山山麓とともに、首都圏からのアクセスが便利なため、多くの観光客が訪れる観光立県です。武田信玄ゆかりの名所や、大自然が美しいエリアなど、「おすすめの観光スポット」8カ所をご紹介します。
おすすめ観光スポット①:武田神社
甲府市にある武田神社は、かつて戦国大名の武田氏の居城だった「躑躅ケ崎館(つつじがさきやかた)」の跡に、大正時代に創建されました。祭神は武田信玄公で、観光名所であるとともに、甲府盆地の人々の心のよりどころになっています。神社や周辺は、躑躅ケ崎館の遺構が残っている史跡でもあり、散策スポットです。
住所 | 〒400-0014 山梨県甲府市古府中町2611 |
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公式サイトURL | http://www.takedajinja.or.jp/ |
電話番号 | 055-252-2609 |
アクセス | 中央道甲府昭和ICから約30分 |
駐車場 | あり 154台(無料) |
営業時間 | 無料駐車場(9:00~16:00) |
おすすめ観光スポット②:舞鶴城公園
江戸時代の徳川幕府が重要拠点としていたのが、甲府駅近くにある「甲府城」です。天守など主な建物は現存していませんが、石垣などの遺構の広さを見れば、巨大城郭だったことがわかります。舞鶴城公園として整備され、住民や観光客が散策に訪れるスポットです。
おすすめ観光スポット③:昇仙峡
国の特別名勝に指定されている「昇仙峡」は、甲府盆地周辺で最も人気がある観光スポットです。荒川の渓谷沿いで、長い年月をかけて作り上げられた断崖、奇岩の数々は、渓谷美にマッチした絶景。遊歩道が整備されており、四季折々の変化に富んだ景観を楽しめます。ロープウェイでの遊覧もおすすめです。
アクセス | 中央道「甲府昭和」I.C.から約40分JR「甲府」駅南口バスターミナルでバス「終点 昇仙峡滝上」に乗り終点で降りて徒歩3分 |
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電話番号 | 055-287-2111 |
営業時間 | 4月1日~11月30日:上り始発9:00・上り終発17:10・下り終発17:30/12月1日~3月31日:上り始発9:00・上り終発16:10・下り終発16:30 |
公式サイトURL | http://www.shousenkyo-r.jp/ |
住所 | 〒400-1217 山梨県甲府市猪狩町441 |
おすすめ観光スポット④:新府城
甲府盆地北端の釜無川と塩川に、はさまれた小高い山に、武田信玄の子である勝頼が「新府城」を築きました。城として機能したのは、わずか1年ほどですが、今も残されている土塁や曲輪跡を見ると、その広さが実感できます。国史跡に指定されており、本丸跡は藤武神社の境内です。
おすすめ観光スポット⑤:恵林寺
武田信玄の菩提寺であり、徳川幕府からも厚い庇護(ひご)を受けた「恵林寺」は、甲府盆地指折りの名刹です。国指定名勝の庭園をはじめ、武田家ゆかりの文化財も多数あり、見どころは豊富。土曜日の早朝や第2日曜日には座禅会を開いており、だれでも参加できます。
おすすめ観光スポット⑥:西沢渓谷
笛吹川の上流にあり、絶景の渓谷美を誇る「西沢渓谷」は、首都圏から身近なハイキングコースとして人気のスポット。七ツ釜五段滝をはじめとする滝の数々を見ながら、遊歩道を森林浴すれば、身も心もリフレッシュできます。平成の名水100選である渓谷の清らかな水も魅力ですね。
おすすめ観光スポット⑦:勝沼ぶどうの丘
ワインで有名な甲州市勝沼の「ぶどうの丘」は、レストランや日帰り温泉、宿泊施設を持つ人気スポットです。甲州市推奨の約200銘柄を取りそろえた貯蔵庫「ワインカーヴ」では、専用の試飲容器を使ってワインの試飲ができます。購入することも可能ですので、お好きなワインを探してみてはいかがでしょうか。
住所 | 〒409-1302 山梨県甲州市勝沼町菱山5093 |
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電話番号 | 0553-44-2111 |
アクセス | JR勝沼ぶどう郷駅から徒歩約20分。駅前から勝沼地域バスも利用できます |
公式サイトURL | https://budounooka.com/ |
おすすめ観光スポット⑧:かいてらす
甲府盆地のお土産を買い求めるのなら、甲府市の山梨県地場産業センター「かいてらす」がおすすめです。特徴ある自然環境や産業が生み出したジュエリー・印伝・絹織物などの工芸品や、ワイン・地酒・煮貝・銘菓などの特産品を取りそろえています。
住所 | 〒400-0807 山梨県甲府市東光寺3-13-25 |
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電話番号 | 055-237-1641 |
営業時間 | 9:00〜17:00 |
定休日 | 毎月第4火曜日(祝日の場合、翌水曜日) 年末年始:12月27日〜12月31日 |
アクセス | ・JR中央線甲府駅(北口)からタクシ−で10分 ・JR中央線酒折駅から徒歩15分 ・中央道一宮・御坂インターチェンジより車で20分 |
公式サイトURL | http://www.kaiterasu.jp/ |
富士山を展望する甲府盆地へどうぞ!
甲府盆地の地形や気候が持つ特徴は、魅力あふれる観光地を作ったり、豊かな地場産業を育んだりするのには、欠かせません。盆地のどこからでも見える日本一の名峰「富士山」を眺めながら、甲府盆地の特徴を体感する旅を楽しんでみましょう。
出典:ライター撮影