甲州弁の特徴
甲州弁はさまざまな方言の中でも、インパクトが強い方言です。しかし目立った訛りはほとんどないことでも知られています。地域や世代によって少しずつ違いはありますが、語尾やイントネーションを変えるだけでも甲州弁ぽく聞こえるでしょう。
特徴①:語尾
甲州弁で使われる代表的な語尾には「〜ずら」「〜ちょし」「〜じゃん」「〜け」などがあります。語尾の種類がとても豊富な甲州弁ですが、ひとつひとつきちんと意味があることを理解しておきましょう。語尾一つで否定・肯定・命令などの文の意味が変わってくることがあります。
特徴②:イントネーション
甲州弁のイントネーションとして一番特徴的なのは、第一音にアクセントをつけることです。例えば、「イちご」「ヤまなし」「二ほん」とカタカナの部分の第一音にアクセントがつきます。人名も第一音にアクセントをつけることが多いのですが、世代とともに標準語に近くなりつつあることも事実です。
イントネーションが特徴的な理由
山梨県は山に囲まれた地域です。そのため、山々からの強い風の音で言葉がかき消されないように、第一音にアクセントをつけたと言われています。語頭がはっきりしていると聞き取りやすいですよね。地域ならではの理由があることも、甲州弁の魅力のひとつです。
甲州弁を使った有名な表現
甲州弁には可愛らしい響きの語尾が多く、標準語や他の方言とは違った魅力も数多くあります。有名な方言を聞いて「甲州弁だったんだ」と新たな発見があるでしょう。ですが、間違った使い方をしてしまうと伝えたい意味と全く違った意味になってしまう表現もありますので注意が必要です。
有名な表現①:〜じゃん
比較的よく耳にする甲州弁「〜じゃん」は、「〜でしょ、〜だね、〜だよね」という意味で使われています。相手に意見を述べる時や共感を求める時に文末にくっつけて使います。「〜じゃんね」と語尾につけることで柔らかい響きに聞こえるでしょう。
有名な表現②:〜ちょ、〜ちょし
「〜ちょ、ちょし」は「〜するな」と否定的な意味で使われます。例をあげると「行っちょ」は「行くな」、「見ちょ」は「見るな」、「触っちょ」は「触るな」です。「〜ちょし」もほとんど同じ意味ですが「〜ちょし」は、強く否定するときに使われることが多いです。
使う時には注意が必要
意味を知らずに「それやっちょし」と言われるとうっかりやってしまいそうですが、「それやるな」という否定的な意味なのです。甲州弁は、否定・肯定を表す表現が難しいことがあるので、覚えておくといいでしょう。
有名な表現③:ほーずら(〜ずら)
日常的に使われる「ほーずら」は「そうですね」の意味にあたります。「ずら」は「でしょう、だろう」という意味なので、とても使いやすい言葉です。「ずら」を少しキツくした言い方にすると「〜つら、〜つれ」になるので「言っつら」は「言っただろう」と少し怒った感じに捉えられます。
「そう」は甲州弁で「ほう」なる
「そうだね」は甲州弁では「ほうだね」と柔らかい響きに代わります。「そ」が「ほ」になるのが特徴的なため、「そして」も「ほして」と表現されます。