長野の方言には独特の表現がある
長野の方言は独特の表現を持っています。周囲を囲む埼玉・富山・静岡など8県の言葉が、長野県の方言に影響を与えているためです。北信エリアには新潟の方言が、中信や南信エリアには、尾張(愛知県)や遠州(静岡県)の方言が混ざっているのが特徴です。
標準語と異なるアクセントやイントネーション
長野の方言は、アクセントが標準語と異なり、語頭が高くなるのが特徴です。「いちご」は「い」、「服」は「ふ」、「半そで」は「は」とそれぞれ語頭にアクセントがきます。疑問文のイントネーションは、標準語の多くの語尾が上がるのに対し、信州弁は語尾が下がるのが特徴です。
他県の人にはけんかや早口言葉に聞こえる
南信エリアでは、標準語の「やらない」を「やらねぇ」などときつい口調の方言で話されるときがあります。他県民が聞くと、まるでけんかをしているようです。気心が知れた地元の人同士の日常会話で、決してけんかをしているわけではありません。
北信エリアには「言う」の方言で「せう」があり、「せう」をいくつも使ったなまり混じりの表現はまるで早口言葉に聞こえます。
長野のかわいい方言8選
長野の方言は、優しくおだやかなイントネーションで、かわいい方言がたくさんあって人気です。Lineスタンプになるほど注目されています。中には相手に好きだと告白するのに便利な方言や、なまりがあって他県の人には通じにくい方言もありますが、一度試してみるのも楽しい経験です。
①ごしたい
「ごしたい」は、「疲れた」の意味で、北信・南信を中心に使われます。普段より疲労感が強かったり、慢性的な疲れに使われるケースが多く、話し言葉では「ごしてぇ」となまります。「今日は一日力仕事だったで、ごしてぇな」という長野弁は、「今日は一日中力仕事だったので疲れた」という標準語と同じ意味です。
②ちょんこずく
「ちょんこずく」は、北信・東信・中信で使われる方言で、標準語の「調子に乗る」「浮かれる」にあたります。信州弁では「ちょんこずいたらダメよ」と、親が小さな子をたしなめる感じです。
標準語の「調子に乗るな」が強い響きで叱ったり、注意したりするのに対し、「ちょこんずく」は語感にぬくもりがあり、かわいらしく聞こえます。
③ずく
「ずく」は、「やる気」や「根性」の意味です。長野県民の共通語といえるほどポピュラーで、地元の信越放送は「ずく」を番組名に付けて、『ずくだせテレビ』を放送しています。
「ずく」は「ずくなし」(面倒臭がり、怠け者)と否定形で使われることが多いです。小さい子どもが母親から「この、ずくなしっ。早く手伝いな」(この怠け者、早く手伝いなさい)と叱られます。
④ずら
「ずら」は、推量、同意、確認を求める語尾で、ほぼ全県で使われる信州弁です。意味は「~だろう?」「でしょ」で、LINEスタンプでも人気があります。「私のこと好きずら?」は、標準語の「私のこと好きだよね?」で、疑問と同意両方の意味です。告白するのに便利なかわいい方言で、若者にもよく使われます。
⑤おつくべ
「おつくべ」は、標準語で「正座」を表す方言で、東信や中信で使われます。動詞形は「つくばう」か「つくべる」です。信州弁の「おつくべしなさい」は、標準語の「正座しなさい」より柔らかなイントネーションのため、かわいらしく穏やかに聞こえます。
⑥しみる
「しみる」は、標準語で「冷える」「凍りつく」の意味です。「今夜はしみるから、大根しみないようにしろ」は、標準語で「今夜はぐっと冷え込むから、大根が凍らないようにしなさい」になります。大豆の旨味を凍結乾燥させた保存食・凍み(しみ)豆腐(「高野豆腐」)は名物です。
⑦めた
「めた」は、長野県全域で使われる副詞です。標準語の「すごい」や「やたら」を表した言葉で、強調したい時に用います。若者を中心に使われる言葉として定着した「超」と同じ意味です。すごくかわいいことを「めたかわいい」と言います。相手に好きだと伝えたいときには「めた好き」と、かわいく告白しましょう。
⑧けん
「けん」は、標準語の「けれど」や「けれども」と同じ意味を表す方言です。北信を中心に日常会話でよく登場し、語尾に付けて使います。「今日は雨だけん、傘持ってこなかった」と言えば、「今日は雨だけれども、傘は持ってこなかった」の意味になる言葉です。
長野のおもしろい方言8選
長野の方言は、エリアによってさまざまです。ギャグのように聞こえたり、YESかNOかわからないもの、早口言葉に聞こえるおもしろい言い回しなどがあります。なまりが混じって、他県の人はもちろん県内の他のエリアの人にも通じず、戸惑うケースもあって、独特です。
①するしない
「するしない」は、「する」と正反対の意味を持つ「しない」をあわせており、どちらの意味なのかわかりづらい信州弁です。「カラオケいくしない?」は標準語で「カラオケいかない?」という勧誘で、「フツー、そうするしない?」は「フツー、そうだよね」と同意の意味です。北信を中心に若者によく使われます。
②いただきました
「いただきました」は、標準語で「ごちそうさまでした」の方言です。食事前の「いただきます」に呼応する言葉として、長野県全域で使われます。他県での使い方とは異なりますが、長野では小学校の給食で食べ終わった後、「いただきました」と声をそろえて挨拶するのが日常です。
③こわい
「こわい」は、漢字で「強い」と書き、標準語で「硬い」や「濃い」の意味で主に北信で使われます。「硬い」の意味で使う場合、普段よりご飯がかたく炊けた時などに「今日のご飯ちょっとこわいね」です。「濃い」の場合、「もっと色をこわく塗ってください」と言います。
④しょうしい
「しょうしい」は、北信を中心に使われる形容詞です。標準語の「はずかしい」にあたります。ばかばかしくおかしいことの意味を持つ漢語「笑止千万」の「笑止」が変化したものです。
相手にほめられた時に、「そんなにほめられたら、しょうしいわ」などと、謙遜や恥じらいを表します。柔らかいイントネーションがかわいい印象を与える方言です。
⑤わにる
「わにる」は、中信や北信で飛び交う動詞で、標準語の「はにかむ」や「人見知りをする」などと同じ意味です。決して動物のワニを指す言葉ではありません。子どもに対して多く用いられる言葉です。初対面の相手の前で、親の背後に隠れて尻込みしたり人見知りしたりする際に、「ちょっとわにてるね」などと表現します。
⑥なから
「なから」は、全県的に使われる副詞です。標準語で「だいたい」「ほとんど」「ほぼ」の意味で使われます。「この作業はなから終わりだもんで、撤収しよう」は、「この作業はほぼ終わったから撤収しよう」の意味です。広辞苑には「半ら」とあります。
⑦せう
「せう」は、北信エリアの方言です。標準語の「言う」「話す」にあたります。基本活用は「せわない」「せいます」「せう」「せうとき」「せえば」「せえ」です。使い方は「せったか、せわねか、せってみろ」(言ったか、言わなかったか、言ってみろ)とまるで早口言葉のように聞こえます。
⑧くれる
「くれる」は、他者から何かを自分に与えられるという意味ではなく、標準語の「与える」と「もらう」のどちらの意味も兼ねる長野の方言です。「花に水をあげた?」と聞く時は、長野では「花に水をくれてくれた?」と言い、どちらの意味なのか判断しづらい方言の一つです。南信エリアで頻繁に使われます。
長野の方言には味がある
長野の方言は、各エリアで言い回しが異なり、バラエティー豊かです。他県の人には意味が通じない表現や、かわいい語感を持つ方言・おもしろい方言、早口言葉に聞こえる方言など味わいもあります。長野県に出掛ける前に覚えておいて、実際に使ってみましょう。