甲府盆地の地形の特徴
甲府盆地には盆地に特有の地形が広がっており、おもな特徴は山と川によって生み出されています。甲府盆地の周囲の山は標高が高く険しいので川は急流で、土砂を削って運ぶ力が強いです。盆地の地質は八ヶ岳の土石流や、黒富士の火砕流などの上に、川の運んだ土砂があります。
川が多く集まっている
甲府盆地の地形の1つ目の特徴は川が多く集まっていることで、釜無川と笛吹川という大きな2本に加えて、中小のさまざまな川が山間部から流れ込んでいます。昔は盆地内のそこかしこに流路がありましたが、信玄公の治水工事で流路を整えました。
釜無川と笛吹川は盆地の南西端で合流し、富士川という日本の三大急流の1つとなって駿河湾に流れます。
扇状地が多い
甲府盆地の地形の2つ目の特徴は、南西端をのぞく全域にいくつもの扇状地ができていることです。
川は傾斜の急な山間部では周囲を削りながら石や土砂を運び、傾斜が緩やかになると川の流れも弱くなって運んできた石や土砂を積み残していきます。扇状地の斜面は粒が大きめの礫(れき)が積もっていて水はけがよく、水稲栽培には向きません。
洪水が起きやすい
甲府盆地の地形の3つ目の特徴は洪水が起きやすいことで、盆地は古くからたびたび水害にあってきました。山沿いは土石流が起きやすく、斜面は水無川が不規則に氾濫し、標高の低い底部は水はけが悪くてすぐに浸水します。
甲府盆地は古くから水害対策が進んでおり、信玄公が治水のために作った信玄堤・聖牛・将棋頭・万力林などもいまだに現役です。
湖水伝説がある
甲府盆地には湖水伝説があり、「昔は盆地が湖で、神々が耕作できる土地をもとめて南西端の山を切り開き水を抜いた」という逸話が伝わります。
由来は「盆地の南西端がたびたび浸水していたこと」と考えられており、過去には南西端の山幅を広げる工事もされました。盆地周縁部には伝説に登場する二神二仏をまつる寺社があり、水路を作る工事の記録も残っています。
甲府盆地の気候の特徴
甲府盆地の気候には山々に囲まれた盆地の地形が大きく影響しており、気候は内陸性の特徴を多く持ちます。甲府盆地の気候の特徴は1年を通して晴れる日が多く空気が乾燥していることと、朝晩や夏冬の寒暖差が激しいことです。
風は弱く雨が少ない
甲府盆地の気候の1つ目の特徴は風が弱くて雨も少ないことであり、雨をもたらす海風は標高の高い山々にさえぎられて盆地まで届きません。甲府の平均風速の平年値は毎秒2.2メートルで、1年に降る雨量は全国平均の7割を下回ります。
日照時間が長く空気が乾燥している
甲府盆地の気候の2つ目の特徴は1年あたりの日照時間が長く、空気が乾燥していることです。盆地には雨雲がめったに届きませんし、風が弱く空気もきれいで雲があまりできません。甲府市は年間の日照時間が47都道府県の県庁所在地のなかでもっとも長く、平均湿度は前橋・大阪に次いで3番目に低いです。
夏は猛暑で冬は寒い
甲府 | 東京 | |
---|---|---|
8月の最高気温(℃) | 33.0 | 31.3 |
1月の最低気温(℃) | -2.1 | 1.2 |
甲府盆地の気候の3つ目の特徴は、夏は猛暑になる一方で冬は冷え込みがきついことで、甲府盆地は東京にくらべて寒暖差が激しいです。
夏は涼しい海風が届かず熱気が盆地内にこもってしまい、甲府では気温が40度を超えることもあります。冬は冷たく乾いた季節風が「八ヶ岳おろし」として吹き降り、晴れて放射冷却も起きて盆地に冷気がたまるので、東京よりも寒いです。
1日の寒暖差も大きい
甲府 | 東京 | |
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1日の最高気温(℃) | 21.0 | 20.3 |
1日の最低気温(℃) | 10.4 | 12.1 |
甲府盆地の気候の4つ目の特徴は1日の寒暖差も大きいことで、原因は盆地に吹く風の動きにあり、とくに晴れの日に目立ちます。
日中は地面の熱で温まった空気が斜面をのぼり、山を越えず地面に戻ってくるため、平地より気温が上がりやすいです。夜は空気が地面に熱を奪われて重くなり盆地の底部に集まるので、平地より気温が下がります。
出典:ライター作成