目次 [表示]
- 本州のさいはて「尻屋崎」とは?
- 「本州最涯地尻屋崎」と刻まれた石標
- 尻屋崎の見どころを訪れる前に
- 東通村ってどんなところ?
- 尻屋崎へは、どう行けばいい?
- 車でのアクセスがおすすめ
- 尻屋崎の見どころ①:津軽海峡、太平洋の景色
- 尻屋崎灯台は硬い岩盤の上に立つ
- 尻屋崎の見どころ②:灯台の景色
- 2018年から灯台の一般公開開始
- 尻屋崎の見どころ③:コンブ漁の景色
- コンブ漁は遠くから見学を
- 尻屋崎の見どころ④:寒立馬の景色
- 見かけたら、静かに見守りましょう
- 冬の寒立馬を見るなら「アタカ」へ
- 尻屋崎からも近い!東通村の見どころ5選
- 見どころや名所①:猿ヶ森ヒバ埋没林
- 見どころや名所②:左京沼
- 見どころや名所③:野牛川レストハウス
- 見どころや名所④:物見崎
- 見どころや名所⑤:トントゥビレッジ
- 尻屋崎からも近い!下北半島の見どころ5選
- 時間があれば訪ねたい見どころ①:大間崎
- 時間があれば訪ねたい見どころ②:薬研温泉
- 時間があれば訪ねたい見どころ③:恐山
- 時間があれば訪ねたい見どころ④:仏ケ浦
- 時間があれば訪ねたい見どころ⑤:下風呂温泉
- 寒立馬に会いに尻屋崎へ行きましょう!
本州のさいはて「尻屋崎」とは?
青森県下北半島は本州の最北にあり、「まさかり」の形をしているのが特徴的な半島です。尻屋崎は「まさかり」の柄の根元部分にあたり、対岸の北海道との間には津軽海峡、西側には太平洋の大海原が広がる絶景の地。岬の先端に尻屋崎灯台があり、周辺の草原には尻屋崎の象徴である「寒立馬(かんだちめ)」が暮らしています。
「本州最涯地尻屋崎」と刻まれた石標
尻屋崎は青森市から車でのアクセスが2時間近くかかり、下北半島北東部の突端にあるため、本州のさいはてと言われています。灯台の近くにある石標には、「本州最涯地尻屋崎」と刻まれており、海の絶景と大地が広がる光景を見れば、誰もが石標に納得できるでしょう。アクセスは遠いですが、わざわざ観光に訪れるだけの価値がある、見どころや名所がそろっています。
尻屋崎の見どころを訪れる前に
尻屋崎は人口約6300人の東通村にあり、村の西側は下北半島の中核都市である「むつ市」です。村内の観光スポットへ行く場合、むつ市の中心部にある下北駅や下北交通むつバスターミナルが拠点となります。尻屋崎をご紹介する前に、東通村の概要や尻屋崎へのアクセス方法をご案内します。
東通村ってどんなところ?
東通村は、広大な土地を利用した農業や畜産業、豊かな漁場を持つ漁業が盛んな村です。最近では、地域資源を有効活用した観光にも力を入れています。村内に小さな集落が点在しているのが特徴で、尻屋崎に最も近い尻屋集落もその一つです。気候は、太平洋からの湿った東風「ヤマセ」の影響もあり、夏でも平均気温が20度ほどしか上がりません。
尻屋崎へは、どう行けばいい?
車でのアクセスは、岬入口の尻屋崎ビジターハウスから海岸線に沿って、灯台を経由して尻屋漁港まで周回する道路があります。入口にはゲートが設けられ、12月から3月は冬季閉鎖し、岬には行けません。シーズンも日中のみの開放です。バスでのアクセスは、むつバスターミナルから下北交通尻屋線で約50分ですが、尻屋崎までの運行は5月から10月末までとなります。
車でのアクセスがおすすめ
尻屋崎を含む東通村の観光スポットへのバスは便数が少ないため、効率よく巡るのなら車を使ったドライブでのアクセスがおすすめです。むつ市の下北駅近くには駅レンタカーをはじめ、複数のレンタカー会社の営業所があります。下北半島観光を含むアクセスプランが決まったら、早めに車を予約しましょう。
尻屋崎の見どころ①:津軽海峡、太平洋の景色
灯台の駐車場で車を降りると、目の前に広がる津軽海峡と太平洋の景色、巨大な灯台、運が良ければ寒立馬の姿も見られます。北海道と本州の間にある津軽海峡の潮流と、太平洋からの海流がぶつかり合い、激しく波立つことも珍しくありません。大パノラマに広がる海の絶景に目を奪われ、時間が過ぎるのを忘れてしまいます。
尻屋崎灯台は硬い岩盤の上に立つ
海に突き出した三角すいのような尻屋崎の地形は、海洋プレートが大陸のプレートの下に沈み込む時にできた、硬い岩盤から作られています。硬い岩盤だからこそ、高さ約33メートルの大きな灯台を建設できました。岬は小さな起伏があるだけなので、常に海からの強風にさらされ、海岸沿いは高木のない草原が広がっています。
尻屋崎の見どころ②:灯台の景色
まわりに高い木がない尻屋崎で、ひときわ目立つ真っ白な建造物が尻屋崎灯台です。尻屋崎の沖合は、津軽海峡と太平洋がぶつかり合い、海面下の地形は岩礁が多くて複雑なうえ、濃霧も発生しやすい航海の難所。明治9年に点灯を始めた尻屋崎灯台は、船の安全を150年近く見守ってきました。
2018年から灯台の一般公開開始
尻屋崎灯台は内部非公開でしたが、2018年からは灯台関係者の協力を得て一般公開が始まりました。レンガ造りでは高さ日本一で、灯台からの眺めは、津軽海峡や太平洋を一望できる絶景です。灯台には明治から続く歴史が刻まれ、文化財としての価値も感じられます。参観期間は春から秋までです。
尻屋崎の見どころ③:コンブ漁の景色
尻屋崎から海岸線の道路を走っていると、浜でコンブを採取している漁師さんの姿が見られます。尻屋崎周辺の海底は浅いため、コンブなどの生育に適している絶好の漁場。太平洋の荒波によって流れ着いたたくさんのコンブを、漁師さんが時間をかけて丹念に拾い上げる漁は、尻屋崎の風物詩といえます。
コンブ漁は遠くから見学を
「拾いコンブ漁」は、地元集落の方に許可されている漁です。誰でも簡単に採取できそうですが、無断での漁は厳禁となっています。密漁と疑われることがないよう、不用意に漁場まで近づくのはやめておき、遠くから漁の様子を見学しましょう。
尻屋崎の見どころ④:寒立馬の景色
さいはての岬で、のどかに草を食べる寒立馬の姿は、尻屋崎を代表する景色です。ずんぐりむっくりした体が特徴的で、馬としては短い足には、大地をしっかり踏みしめる力強さがあります。小柄ながら厳寒の気象条件にも耐えられる寒立馬は、江戸時代の南部藩のころから放牧され、農用馬として重宝されてきました。
見かけたら、静かに見守りましょう
尻屋崎に来たら、「灯台と寒立馬」「津軽海峡や太平洋と寒立馬」といったシーンを見たいものですが、いつも岬周辺にいるとは限りません。現在は30頭ほどが生息しているといい、春には子馬の姿が見られることもあります。寒立馬は比較的人慣れしていますが、野生の馬なので不用意に近づくのは避けた方がいいでしょう。
冬の寒立馬を見るなら「アタカ」へ
寒立馬がいる景色で有名なのが、名前の由来でもある「厳寒の吹雪に耐えている馬」の姿ですよね。冬は岬周辺が閉鎖されるため、馬たちは12月に放牧地の「アタカ」へ移動し、春先までそこで過ごします。雪をかきわけて牧草を食べる姿には、厳寒を生き抜く生命力の強さを感じずにはいられません。「アタカ」は尻屋漁港から約1キロの場所です。
尻屋崎からも近い!東通村の見どころ5選
東通村で最も有名な観光地が尻屋崎ですが、そのほかにも観光名所がいくつかあります。太平洋沿岸にある猿ケ森のヒバ埋没林(猿ケ森砂丘)、南の六ケ所村との境にある物見崎、観光PR施設の野牛川レストハウスなどです。車ならアクセスが容易で、尻屋崎散策と併せて訪れていただきたいのでご紹介します。
見どころや名所①:猿ヶ森ヒバ埋没林
尻屋崎から太平洋沿いに南下すると、猿ケ森砂丘とヒバの埋没林があります。ヒバの大森林が、太平洋から打ち上げられた砂によって埋まり、立ち枯れしてしまったヒバが、化石となって残った場所です。立ち枯れヒバは松林の中に点在しており、まるで「生と死の世界」を演出した景色のように見えます。
猿ケ森砂丘には立ち入れません
ヒバの埋没林を作り上げた太平洋沿いには、日本で最大級の猿ケ森砂丘が続いています。南北の距離は約15キロもある圧巻の景色なのですが、砂丘のほとんどの場所が防衛設備庁の下北試験場となっているため、一般の人の立ち入りはできません。
見どころや名所②:左京沼
猿ケ森砂丘内には、大小さまざまな湖沼が点在していますが、その一つの左京沼は、東通村の観光スポットになっています。砂によって海が閉じ込められてできた沼で、希少な生物のヒメマリモの生息地です。訪れる人が少ない穴場スポットですが、地元漁協が管理しており、コイやウナギ釣りができます。
見どころや名所③:野牛川レストハウス
尻屋崎へ向かう途中にある野牛川レストハウスは、東通村の観光PR施設です。津軽海峡の景色を眺める展望スペース、休憩所、観光案内などがあり、ブルーベリーのソフトクリームが人気商品。特産品販売コーナーにある、東通村ブランドの東通牛も見逃せませんね。
見どころや名所④:物見崎
東通村と六ケ所村の境にあり、太平洋に突き出した岬が物見崎です。猿ケ森砂丘からの海岸線とは異なる、険しい断崖の岬で、真っ青な太平洋の大海原を眺める絶景が広がります。周辺は磯魚が豊富な漁場になっており、多くの釣り客が訪れる人気のスポットです。
見どころや名所⑤:トントゥビレッジ
東通原子力発電所PR施設「トントゥビレッジ」も、村の見どころの一つです。原子力発電の仕組みを学ぶコーナーのほか、緑豊かな森の遊歩道や太平洋を眺める展望室があります。ボルダリングや滑り台など遊べる施設も充実しており、親子で一日楽しめるスポットです。
住所 | 〒039-4223 青森県下北郡東通村大字小田野沢字見知川山1-809 |
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電話番号 | 0175-48-2777 |
営業時間 | 午前9時30分~午後4時30分 |
定休日 | 毎週月曜日(月曜日が祝日または振替休日の場合は翌火曜日)および年末年始(12月29日~1月3日) |
アクセス | むつ市の下北駅から車で約30分。バスは下北交通尻屋線か尻労線で野牛沼下車 |
公式サイトURL | http://www.tonttu-village.jp/cgi-bin/index.cgi |
尻屋崎からも近い!下北半島の見どころ5選
むつ市街地から尻屋崎へのアクセスは約2時間あれば往復できますので、せっかく下北半島を訪れたのなら、絶景や名湯がたくさんある、半島内の観光名所を巡ってみたいですよね。そのなかでも、人気スポットの大間崎、薬研温泉、恐山、仏ケ浦、下風呂温泉をご紹介します。
時間があれば訪ねたい見どころ①:大間崎
下北半島の突端であり、本州最北端の地が大間崎です。岬は街中にも近い平たんな場所にあり、津軽海峡をはさんで北海道の函館を眺められます。大間といえば、一本釣りのマグロがブランドとして有名で、機会があれば高級品の本マグロを現地で味わいたいですね。
時間があれば訪ねたい見どころ②:薬研温泉
下北半島内陸部にある秘湯「薬研温泉」は、大坂夏の陣で敗れた落ち武者が発見した開湯400年以上の名湯。森林に囲まれた温泉郷は、森林浴と渓谷美、そして温泉の湯が同時に楽しめる癒しのスポットです。奥薬研温泉にある露天風呂「かっぱの湯」は、無料で入浴できます。
時間があれば訪ねたい見どころ③:恐山
日本を代表する霊場「恐山」を訪れると、岩場が広がる殺伐とした景色に圧倒され、通り抜けた先の宇曽利湖の美しい景色に感動します。死の世界をイメージしがちの恐山ですが、日帰り温泉や食堂もあり、観光にもおすすめのスポットです。冬季は恐山への道路が閉鎖されますので注意してください。
時間があれば訪ねたい見どころ④:仏ケ浦
下北半島西側の津軽海峡に面し、奇岩が連続する海岸線は「仏ケ浦」と呼ばれ、日本の秘境100選にも選ばれた絶景です。青い海と奇岩のコントラストを楽しめる遊覧船が、春から秋まで佐井港から運航されています。遊覧船は海上観光に加え、仏ケ浦に上陸してミニ散策ができるので人気です。
営業時間 | 4月25日から10月末日まで運航。9時~14時半(臨時便あり) |
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住所 | 〒039-4711 青森県下北郡佐井村字八幡堂28 |
電話番号 | 0175-38-2244 |
アクセス | むつ市の下北駅から車で約1時間20分。バスは下北交通佐井線で佐井下車 |
公式サイトURL | https://hotokegaura.jp/ |
時間があれば訪ねたい見どころ⑤:下風呂温泉
大間崎へ向かう途中にある風間浦村の「下風呂温泉」は、室町時代から続く情緒あふれる温泉地として知られています。老舗の旅館やホテルが立ち並ぶほか、日帰り入浴ができる公衆浴場の温泉もあり、地元の方々と触れ合うチャンスも。夏から秋にはイカ、冬にはアンコウを名物グルメで味わえます。
寒立馬に会いに尻屋崎へ行きましょう!
本州さいはての尻屋崎には、広大な海と大地と灯台しかありません。ほかに何もないからこそ、多くの人の旅情を駆り立てるスポットになっています。下北半島や東通村の観光スポットを巡りながら、寒立馬に会える幸運に期待して、尻屋崎を訪れましょう。
出典:ライター撮影