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「ねぶた」と「ねぷた」の違い③:灯篭山車
ねぶたもねぷたも、武者や動物などをかたどった灯篭を屋台や車に載せて町を練り歩くのは同じです。青森ねぶた祭も弘前ねぷたどちらも同じく大きな灯篭ですが、それぞれに特徴があります。それは、形・山車の数・題材にあるといえるでしょう。
ねぶたの灯篭山車
青森ねぶた祭の灯篭山車は、細部にこだわった立体的な人形型が主流となっています。高さ5メートル・幅9メートル・奥行き7メートル・重さ4トンで、数は20基です。題材は、東北地方に伝わる神話や歴史のほか、テレビドラマや映画からも着想を得ています。
ねぷたの灯篭山車
弘前ねぷたまつりの灯篭山車は扇形で、高さ10メートル・重量4トンで、数は80基です。初めは人形型でしたが、明治中頃から扇形が主流になりました。理由は、津軽為信の幼名「扇」からとの説があります。
題材は、扇の表面に源平盛衰記や為信公を、裏面には唐美人などの女性が描かれ、絵巻物を見ているような美しさです。
「ねぶた」と「ねぷた」の違い④:掛け声
ねぶたとねぷたには、練り歩くときの独特な掛け声があります。多くのお祭りでよく聞く「わっしょい」や「どっこい」ではなく、青森ねぶた祭と弘前ねぷたまつりそれぞれに独自の掛け声です。同じ青森県でありながら、地域ならではの興味深い意味と由来があります。
ねぶたの掛け声
青森ねぶた祭の掛け声は「ラッセラー」ですが、語源は七夕祭りの「ろくそく出せ、出せ」といわれています。ねぶたを灯すろうそくを集めるため、子供たちが家々を回ったときの囃し言葉が変化したとの説です。
「出せ」が「ラセ」になり、掛け声の「アー」がついて「ラッセ、アー、ラッセ」から「ラッセーラー、ラッセーラー」に変化したと考えられています。
ねぷたの掛け声
弘前ねぷたまつりの掛け声は「ヤーヤドー」ですが、語源は二説あります。ねぷた歌にある「いやよいやよ」が変化した説と、喧嘩ねぷたが激しかった時代の「ヤァ!ヤァ!」という怒鳴り声から転じた説です。現代の掛け声のほうが、ゆったりのんびりした調子に聞こえます。
「ねぶた」と「ねぷた」の違い⑤:開催時期
ねぶたもねぷたどちらも開催時期は旧暦の七夕行事のため、8月に集中しています。早いものは7月中旬開催ですが、ほとんどのお祭りが8月上旬で、2・3日間だけの開催です。少し日程がずれているので、各地のねぶた・ねぷためぐりも楽しいのではないでしょうか。
ねぶたの開催時期
青森ねぶた祭の開催時期は曜日に関係なく、毎年8月2日から7日までの設定です。ほかのねぶたで早いものは、7月中旬の「浅虫温泉ねぶた祭」や7月下旬の「つがる市ネブタまつり」があります。一番遅いねぶたは、むつ市の「川内ネブタ祭」で、毎年8月14日と15日の開催です。
ねぷたの開催時期
弘前ねぷたまつりの開催期間は、毎年8月1日から7日まです。開催の早いねぷたでは、7月下旬の「黒石ねぷた」と8月2日と3日の「平川ねぷたまつり」があります。青森三大ねぶた祭りとして有名な、五所川原市の立佞武多(たちねぷた)は8月4日から8日までです。
「ねぶた」と「ねぷた」の違い⑥:コースと見所
ねぶた・ねぷたを見に行く際は、コースや見所などを押さえておけば楽しみが増すはずです。無料見学もできますが、有料の桟敷席からの見学が最も楽しめます。青森ねぶた祭と弘前ねぷたまつりのコースと見所についてチェックしておきましょう。
ねぶたのコースと見所
青森ねぶた祭のメイン会場は、JR青森駅から徒歩10分ほどの青森県庁付近です。コースは全長3.1キロメートルの車道で、灯篭山車が19時10分から21時までの2時間かけて一周します。灯篭山車の迫力と、跳人のリズミカルな動きと掛け声を堪能しましょう。
ねぷたのコースと見所
弘前ねぷたまつりは毎年2コースの設定ですが、開催日によってコースが異なるので注意してください。8月1日から4日までと7日は「土手町コース」、5日と6日は「駅前コース」で、運行は19時から20時30分頃です。子供たちが持って歩く灯篭を先頭に、小型ねぷた、大型ねぷたと続きます。
出典:イラストAC