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国字とは?日本で独自に作られた漢字をご紹介!

国字とは?日本で独自に作られた漢字をご紹介!

国字とは、中国以外で漢字をまねて作られた文字のことです。日本固有のものや、中国以外の国から入ってきたものを示すために作られました。代表例のほか、人名漢字や国字と勘違いしやすい漢字などもわかりますので、国字を知りたい方は必見です。

目次 [表示]

国字の種類①:日本固有のものを示す

フリー写真素材ぱくたそ

国字を大別すると、示すものの違いで2種類に大別でき、1つ目の種類は日本固有のものを示す漢字です。気候風土・生活・考え方など、中国にはなく日本にしかないものを表すために古くから作られ、地名や人名にも多く使われています。

特に多いのは生物の名前や生態を表す漢字で、魚・木・鳥偏などが目立つほか、おもに道具や部品を表す金偏も多いです。

例①:魚の名前

  読み 由来
いわし ウロコがもろい・腐りやすい
たら 豪雪地域でよくとれる
さわら 春に旬がくる
なまず ぬるぬるしている(念:ねばる)
すけとうだら* 海中の底層に多くいる
きす 「きす」の「き」の音
*「佐渡鱈」「助宗鱈」「助惣鱈」のように「鱈」と漢字の組み合わせで書かれることもあります。

例②:植物の名前

Photo by coniferconifer

  読み 由来
かし 木が堅い
くぬぎ 別名「くのき」から「区(門)の木」
さかき 神道で神に捧げる木
ささ 葉(世)の多い竹
とち 「とち(十×千=万)」からきた杤の新字
もみじ・かば 木の葉が花のように色づく

例③:文化や風土

  読み 由来
しつけ 身の振る舞いを美しくさせること
こうじ 米を発酵させて、菌が花のように咲く
たこ 風力で揚がる巾
なぎ 風が止まった状態
おろし 山を吹き下ろす風
こがらし 木を吹き枯らす風
とうげ 山道の上り坂・下り坂の分岐点

国字の種類②:外来のものを示す

Photo by Scouse Smurf

国字を大別した場合の2つ目の種類は、中国以外の外国から輸入したものや概念を示す国字です。明治期の文明開化にともなって入ってきた概念・考え方を表すために作られたものが多く、重さ・長さ・体積・通貨などの単位や、医学に使う用語があります。

例①:単位

  読み 由来
ミリグラム 「グラム(瓦)」の1000分の1
キログラム  〃 の1000倍
トン  〃 の1000倍の1000倍
ミリメートル 「メートル(米)」の1000分の1
センチメートル  〃 の100分の1
キロメートル  〃 の1000倍
ミリリットル 「リットル(立)」の1000分の1
キロリットル  〃 の1000倍

例②:体の部位の名前

Photo by Dick Thomas Johnson

  読み 由来
セン 身体(月)内で水分を出す(泉)器官
スイ 語源の成り立ちにあわせた。肉(月)+すべて(萃)

国字ではない漢字

Photo bypaulracko

国字ではありませんが、一見すると国字のようで紛らわしい漢字も多くあり、字形がすでに中国にあった場合は国字ではありません。読み・意味を日本で独自に作った場合は「国訓」と呼び、現在の中国で使われていなくても国字とはせず国訓とします。

国訓の読みは、名前からすると訓読みだけと思いがちですが、国字と同じで音読みを持つ漢字もあり、限定されません。

種類①:輸入した漢字を日本で派生・転用させた

国字ではない漢字の種類1つ目は、中国から輸入した漢字の読み・意味を土台にして、日本固有の読みや意味をつけくわえた漢字です。代表的な例は、番(バン+見張りの意味)・旬(10日間→一番よい時期)などがあります。

種類②:中国にあるのを知らずに、日本で創作

Photo by 楊尚潔

国字ではない漢字の種類の2つ目は、日本固有の字形・読み・意味の国字を作ったけれど、実は中国にすでに同じ字形で違う意味・読みの漢字が存在していた文字です。「鮎」は、日本では占いに使った小魚「アユ」にあてて定着しましたが、すでに中国では「ナマズ」という意味を当てて使われていました。

ほかには、鮭(さけ・フグ)・芝(しば・キノコ)・椿(つばき・霊木)などがあります。

国字を知ると日本が見えてくる!

Photo by torisan3500

日本で独自に作られた漢字がわかった!

国字は日本固有のものや、中国以外の国から入ってきたものを表すために日本で作られた漢字ですので、表すものや漢字の成り立ちから、日本らしさが見えてきます。地名や名前など意外と身近なところで使われていますし、おもしろい発見もあるので、調べるだけでも楽しいですね。

国字(和製漢字)一覧表
Sato
ライター

Sato

森林浴が好きで、旅先では各地の自然に触れるのが一番の楽しみです。 自然や街並みを切り取った風景画も好きなので、題材になりそうな景色を探して歩くことや、古くからの街並みの散策や美術館巡りも好きです。

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