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日本全国に点在する狐の妖怪たち

狐の妖怪を取り扱う伝説は、古来の中国より伝わった伝説から、日本発祥の伝説まで日本全国に点在しています。狐の妖怪は時に神様であったり、預言者であったり、女性に化けて人間の男性と結婚したり、取り憑いて幸福にしたり不幸にしたりと種類は千差万別です。知っているとこれから狐の見方が変わってきます。
人に化ける狐の妖怪
狐の妖怪の伝説や昔話では、人に化けたり人に幻覚を見せたりとする類がほとんどです。中でも人に化ける狐の妖怪は、神様のごとく力を持つものや人間社会に溶け込んで学びを得ようとする真面目な妖狐もいれば、美女に化けて男を籠絡しようとしたり悪さをして陥れようとしたりするものまで存在します。
葛の葉
葛の葉は、稲荷大明神第一の神の使いとされ、陰陽師で有名な安倍晴明の母として有名です。
ある時、狩人に襲われていた白狐は安倍保名と呼ばれる人物に助けられ、保名は白狐を逃したせいで狩人に責められ怪我をしてしまいます。葛の葉という女性がやってきて介抱され、共に暮らすうちに恋仲となり子供をもうけルのですが、童子丸と呼ばれる後の安倍晴明です。
玉藻前
玉藻前は、妖狐の化身と言われる尻尾が九つの狐であり、永きにわたり中国や日本で残虐の限りを尽くした化狐です。
紀元前17世紀の中国殷の時代に帝の寵愛を受けた妲己として暴政を尽くし、妖狐とバレて逃げ、遣唐使の船に乗り来日し、やがて鳥羽上皇の寵愛を受けるに至ります。上皇の体調不良が玉藻前が原因であると知られ、討たれた後に変化するのが那須湯本に現存する殺生石です。
宗旦狐
宗旦狐は、京都の相国寺に伝わる化狐です。千家茶道に伝わる千宗旦に化けて茶席に顔を出していたことが由来と語られます。
宗旦狐は幕末に相国寺に雲水に化けて修行をしつつ寺のために尽力しました。ある時豆腐屋が財政難だったため蓮の葉を売って金に替えるよう勧め、豆腐屋を救いました。お礼にと振る舞われた鼠の天ぷらを食べてしまい神通力を無くしてしまいました。
おとん女郎
おとん女郎は、鳥取市にある立見峠という場所で、「おとみ」と名乗る女郎に変化しよく人を騙したことが由来でおとん女郎と呼ばれていました。商人を騙して肥壺に浸からせたり、狐討伐しようとした青年二人を騙して坊主にさせたりと幻覚を魅せて人を惑わせたという伝説が残っています。おとん女郎は桂蔵坊の女房です。
桂蔵坊
桂蔵坊は、鳥取県に伝わる飛脚狐とも呼ばれる化け狐の名前です。
昔、池田の殿様に使える桂蔵坊と名乗る狐がおり、若い侍に化け、江戸を3日で往復できる能力を持っていたため大変可愛がられました。しかし、ある江戸からの帰り道、道端に仕掛けられていた狐用の罠にかかり死んでしまいます。殿様は桂蔵坊の死をとても悲しみ、中坊神社を造り慶三坊を祀ったとの伝説があります。
憑依する狐の妖怪
狐の妖怪には人に化けるだけでなく、人に憑依をして悪さをする狐もいます。日本各地に伝承がありますが、代表的なのは管狐です。関東地方では尾崎狐が有名になっており、いずれも家や人に憑依して影響を与える狐の種類とされます。いずれも憑きもの筋という民間信仰であり、特に山村や農村に多くみられる信仰です。
管狐
管狐は、東海地方や中部地方によく聞かれる人や家に憑依する狐の妖怪です。名前の由来は竹筒に入ってしまうくらいの大きさであることとされます。
管狐は家に憑き、憑かれた家は「くだもち」などと呼ばれ忌み嫌われます。主人の意志に従い他人の家から物を盗み、初めのうちはくだもちは裕福になりますが、管狐が増え続けることで最終的には却って貧しくなるというオチです。
尾崎狐
尾崎狐は、主に関東地方に伝わる人や家に憑依して悪い影響を与える狐の妖怪です。那須野で打ち倒された九尾の狐の尾の金毛が散らばって生まれたとする説や、殺生石に化けた後に曹洞宗の僧に破られ飛び散った破片の一つから生まれたとする説などがあります。
尾崎狐を持つ家は「オサキモチ」と呼ばれ、家筋に憑いた尾崎狐は家から離れることはありません。
狐の妖怪って、九尾以外にもいるんだ!