シュラスコとは
ブラジルを代表する肉料理「シュラスコ」は、元々スペイン・バスク地方の言葉で火・炎を意味する「Sukara」が語源といわれています。大きな肉の塊を豪快に焼く料理のシュラスコにピッタリの言葉ですね。日本ではブラジル料理の代表として知られていますが、実は南アメリカでは比較的一般的に食べられていて、さまざまな種類の食材を串焼きにします。日本のレストランでは焼いた肉をテーブルに運んで削りますが、ブラジルの家庭ではバーベキューのようにな串焼きにした食べ方が一般的です。つまりブラジルの家庭でいうシュラスコとはバーベキューのことを指しています。
シュラスコは種類も豊富
日本ではシュラスコといえば大きな牛肉を焼くイメージが強いのですが、ブラジルのシュラスコは牛肉だけでなく、豚肉やチキンをはじめフルーツなどさまざまな食材を串焼きにしています。これらをじっくりと炭火で焼いて食べています。串焼きにしておいしい食材は基本的にシュラスコで使われていると思っていいほど、食材の種類も豊富です。
ケパブとは
シュラスコに似た料理としてあげられるのが「ケパブ」です。ケパブはトルコを中心に中東などで食べられている肉料理です。ケパブとは「焼いた肉」を意味していますが、魚や野菜を焼いたもの全般に対してケパブと呼んでいます。トルコをはじめ中東はイスラム教徒が多く、宗教上豚肉を食べることが禁じられているので羊肉を使うのが一般的。だから、トルコではチキンや牛肉のケパブも多く見られるのです。シュラスコのような串焼きスタイルのものはシシュ・ケパブと呼ばれています。
ドネルケパブとケパブは違う
日本で一般的に知られているケパブは串に大きな肉の塊を刺し、回転させて焼いているものが多く見られますが、これは「ドネルケパブ」と呼ばれている料理です。ドネルケパブは味付けした薄焼きの肉を何重にも重ねているため1つの塊肉ではありません。「焼いた肉」を意味するケパブの一種ではありますが、ドネルケパブはトルコ料理です。
シュラスコとケパブの違い
シュラスコは肉をはじめとした食材を串焼きにする料理で、ケパブは肉など食材を焼いた料理を意味しています。肉を焼くという点での共通点はありますが、ドネルケパブにいたっては薄切り肉を重ねて焼くなど、元々の食材の使い方に大きな違いがあります。シュラスコはバーベーキューのような料理で、ケパブは肉などを焼いた料理という風に覚えておけば間違いません。
シュラスコに使う肉の部位や種類
さまざまな食材を串焼きにするシュラスコですが、人気の部位や肉の種類はどういったものなのでしょうか?ここではシュラスコに使われている人気の牛肉の部位やその他の食材などについて説明していきます。
①ピッカーニャ
岩塩などをふって串焼きにするというシンプルな料理法のシュラスコでは、ジューシーな部位が人気です。最もメジャーで人気なのが「ピッカーニャ」と呼ばれる牛肉の部位です。これは「イチボ」と呼ばれるお尻の肉で、1頭あたり5~10キログラム程度しか取れない柔らかくて希少な部位です。脂がのっているので、噛むと肉のうまみが詰まった脂が口の中に広がります。
②アルカトラ
アルカトラは牛のお尻からももにかけての部位にあたる赤身。脂質が少なくさっぱりとしているのに、肉の旨味を感じられることから人気の高い部位です。また脂質が少ないので女性ファンが多いのも特徴になっています。シンプルに岩塩だけで食べると肉の旨味や甘さを存分に感じることができます。
③ソーセージ
日本のソーセージと違い、ブラジルのソーセージは大きめでたっぷりのハーブとスパイスがきいています。「そのままガブリ!」と噛み付くと肉やスパイスなどのおいしさが口いっぱいに広がるシュラスコ定番の食材です。
④ハラミ
焼肉では特に若い人に人気のハラミはシュラスコでも人気の高い部位。ハラミは牛の背中側の横隔膜で内臓の一種です。内臓なのに臭みがなく肉のような味わいと食感があるハラミは適度な歯ごたえと脂分が持つ甘みがおいしいと評判ですね。内臓が苦手でもハラミは大丈夫という人は、じっくり炭火で焼かれたシュラスコノハラミが持つおいしさを味わってみてください。焼肉とは違うおいしさを発見できますよ。
⑤チキン
あっさりした肉を好む方におすすめなのがチキンです。チキンはもも肉などを岩塩でローストしたものなどが一般的ですが、店によってはソースなどでマリネしてしっかりとした味付けのチキンを提供しているところや、チキンを丸ごと焼いている店などもあります。チキンは牛肉と比べるとカロリーも低いので特に女性におすすめです。
おいしいシュラスコの食べ方
日本でのシュラスコは店が焼いた肉の種類の中から好みの部位などを注文し、削ってもらい、その肉を食べるということが多いのですが本場のブラジルでは日本とはちょっと違う食べ方をしています。せっかくシュラスコを食べるなら、本場ブラジルのおいしい食べ方を知っておきましょう。
ブラジルでのシュラスコの食べ方
ブラジルのシュラスコはいわゆるバーベキューなので、炭火で串焼きにして、シンプルの岩塩で食べることが多いのです。日本ではそのまま削った肉を食べますが、ブラジルでは焼いた肉をそのまま、もしくは削った肉をフランスパンとコッペパンの間のような食感のパンに挟んでサンドイッチのようにして食べています。シュラスコレストランに行ったら現地のような食べ方にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
焼き加減を注文する
ブラジルではシュラスコに使われる肉の焼き加減にとても拘っていて、現地ではレアに近いものが好まれており、焼きすぎた肉が出ると怒る人もいるといいます。そのため現地では焼き加減に気を使っているのです。焼き過ぎないようにするコツは炭火に直接水をかけること。水をかけて水蒸気が生まれることで蒸し焼き状態にしています。実は日本のシュラスコレストランでも、焼き加減を注文することが可能な店が多くあるので、自分好みの焼き加減を注文してみてはいかがでしょう?今まで以上にシュラスコをおいしく味わえますよ。
フルーツと一緒に食べる
どうしても牛肉がメインとなってしまうシュラスコでは、肉の脂で胃が疲れてしまいます。そこでおすすめなのがフルーツと一緒に肉を食べることです。ブラジルではバナナやパイナップルなどのフルーツを串焼きにし、肉と一緒に食べています。フルーツには酵素がたっぷり含まれているので消化を助けてくれる働きがあります。もちろん、焼いたフルーツのおいしさも発見できますよ。
シュラスコの歴史
シュラスコはスペイン・バスク地方の言葉が語源となっていることがわかりましたが、いつ頃からこういったスタイルで食べられるようになったのでしょうか?シュラスコの本場ブラジルの歴史に深く関わっていました。
原型は移民料理
ブラジルはその昔、ポルトガルなどヨーロッパ系の人々やアフリカ系の人が集まってできた他民族国家です。その中でも17世紀ごろヨーロッパ系移民が、荷馬車を使って商品を運んでいるときに家畜を火であぶって食べるようになったのがルーツとされています。特にブラジル南部のリオ・グランデ・ドスール州で盛んだったといわれています。お祭りの時には、牛肉を塊のまま焼いて食べていたそうです。これが原型となり現在のシュラスコへと発展していきました。
シュラスコが食べ放題なのはなぜ?
シュラスコレストランでは、店員が焼けた串焼きにした肉をテーブルに持って来て肉を削ってくれるスタイルをとっています。そして何より肉好きにとって嬉しいのが、この肉が食べ放題だということではないでしょうか?この食べ放題というシステムにもブラジルのある出来事が関係しています。食べ放題になったのは1960年代半ばといわれていて、シュラスコレストランで注文と違う料理を出されたことに怒った客からクレームが殺到。これを収めるために店のオーナーが「好きな料理を食べていい」と提案したことが始まりとされています。ブラジルではこの食べ放題スタイルと「ホオージオ」と呼び、現在までそのスタイルが続いているという訳です。
おいしいシュラスコを堪能しよう
思う存分、あらゆる種類の肉を味わうことができるブラジルの代表料理シュラスコ。本場ブラジルで焼き加減に拘った肉を食べるのも良いでしょうし、日本にあるシュラスコレストランでおいしい肉を食べるのも良いでしょう。豪快に肉を味わうならシンプルなシュラスコ料理がぴったり。人気の部位やフルーツと一緒に思う存分シュラスコの肉を味わってください。