目次 [表示]
- プラナカン文化とは
- プラナカン文化の歴史
- プラナカン文化の起源
- プラナカンによって生まれた様々な文化
- プラナカンの文化が見られる地域
- プラナカン文化の特徴
- プラナカンの建物はとても豪華
- プラナカンは服も特徴的でオシャレ!
- プラナカンの陶器はとてもカラフル
- アートなプラナカンのビーズ工芸品
- プラナカンは料理も絶品!
- シンガポールとマレーシアでプラナカン文化に出会える街
- シンガポール【カトン地区】
- シンガポール【エメラルド・ヒル周辺】
- マレーシア【マラッカ】
- マレーシア【ペナン】
- シンガポールとマレーシアを代表的するプラナカンの建物
- シンガポール【ババ・ハウス】
- シンガポール【プラナカン博物館】
- マレーシア【マラッカ:ホテルプリ】
- マレーシア【ペナン:プラナカン・マンション】
- マレーシア【ペナン:ブルー・マンション】
- 注目のプラナカンの文化と歴史に触れてみよう
プラナカン文化とは
プラナカンは東西貿易の拠点シンガポールとマレーシアの一部地域に生まれた文化で、マレー語で「混血」という意味を持っています。主に中国人など他国人とシンガポール人やマレーシア人が結婚し、生まれた子孫のことをプラナカンと呼び、マレーシアでは「ニョニャ」とも言います。彼らは生活の中で建物や服装・アートのような工芸品など独自の文化を築き上げてきました。古くはアジアの交易の中心地でもあったシンガポールやマレーシアだからこそ生まれた文化とも言えるでしょう。
プラナカン文化の歴史
プラナカンの歴史は古く15世紀後半まで遡ります。15世紀後半から19世紀にかけ、マレーシアとシンガポールは欧米の統治下で東西貿易の拠点となっていました。主にマレーシアはピューターとゴム栽培が盛んで、人員が足りないことからイギリスが中国やインドに声をかけ、現地に中国人が増えました。そこで現地人と中国人や欧米・インド系の人たちが結婚し生まれた混血の子供らを現地語で「ニョニャ」、現在のプラナカンと呼ぶようになりました。
プラナカン文化の起源
プラナカンと一言で言ってもその起源となった民族は様々です。最も多いのが中華系プラナカンで、続いて多く見られるのがインド系プラナカンです。プラナカンの起源は中国人と現地人の結婚によるものと思われていることが多いのですが、実はそのルーツにより違いがあるのです。また欧米系を起源とするプラナカンはユーラシアンとも呼ばれています。プラナカンは父方と母方の文化を受け継いだいわゆる文化の融合が起源となっています。
プラナカンによって生まれた様々な文化
東西の文化の融合が起源となっているプラナカンの文化ですが、数世紀にわたる歴史の中、マレーシアやシンガポールの文化とは違う独自の文化を生み出しています。大きく違うのが建物や服、陶器などをはじめとした工芸品です。特に工芸品に関しては細かな手作業で作り上げられていてひとつのアート作品の様な美しさを誇ります。
プラナカンの文化が見られる地域
プラナカンの文化はシンガポールやマレーシアのどこでも見られる訳ではありません。シンガポールなら市内、マレーシアでは南部のマラッカやペナン島に特徴的で華やかなプラナカン文化が息づいています。建物は博物館や商店などとして公開されているほか、現在も人が住んでいるものもあります。
プラナカン文化の特徴
プラナカン文化は東西の文化を取り入れ、建物や服装・食事に使われる陶器など工芸品に至るまで独自の文化を築き上げています。その歴史の中で生まれた見るものすべてがアート作品の様なプラナカンの文化が持つ特徴について紹介していきます。
プラナカンの建物はとても豪華
プラナカンには裕福層が多く建物は西洋建築と中国的なデザインを取り入れたものが多く見られます。外観はパステルカラーが多く見られ、建物の正面にはレースは花模様などアートを感じさせるレリーフが埋め込まれています。また商家が多く、1階部分が店舗や事務所、2階が住居で奥行きがあり、中庭がある建物が多く見られます。大きな建物では、入り口入ってすぐの部分に応接間などを作っていて、美しく豪華な工芸品で彩られているのが特徴です。
プラナカンは服も特徴的でオシャレ!
ハッと息を呑むような美しく繊細な刺繍が施されているのが、プラナカンの女性が身に着けている服です。全体的に体のラインが出るデザインが多く、プラナカンの女性はアクセサリーを多くつける為、ブレスレットなどが見えるよう袖は短くなっています。細かで美しい刺繍が施されたブラウスは「ケバヤ」と呼ばれていて、「クロサン」という繊細は細工を施したブローチで留めるようになっています。プラナカンの女性は花嫁修業のため刺繍を身につけるという習慣があったため、全体的に華やかで優雅なデザインの服が生まれたと言えるでしょう。
プラナカンの陶器はとてもカラフル
プラナカンの陶器は中国で演技がいいと言われる牡丹や鳳凰をモチーフに、東南アジアらしいピンクやグリーン・イエローなどポップで鮮やかな色合いが加わっていて、当時は中国陶器の最高峰でもある景徳鎮窯で作られていたそうです。プラナカンの陶器は「ニョニャ・ウェア」とも呼ばれていて、一目でその鮮やかさに目を奪われます。ニョニャ・ウェアは現在も作られていて土産店などでも購入可能ですが、多くの陶器は未だ手描きのため比較的高価です。
アートなプラナカンのビーズ工芸品
プラナカンの女性は花嫁修業として子供の頃から刺繍を行ってきました。そこにヨーロッパ由来のビーズが登場したことで、刺繍はより繊細で豪華なビーズ刺繍へと変化します。ポーチの様な小さな雑貨から靴に至るまで繊細なビーズ刺繍が施されていて、今では観光客の土産品としても高い人気を得ています。驚くほど繊細なビーズ刺繍の工芸品はまさにアートです。ぜひ、手にしてみてください。
プラナカンは料理も絶品!
プラナカンの料理は「ニョニャ料理」と呼ばれています。中華料理とマレーシアやシンガポールの料理を融合したもので、基本は母から娘へ受け継がれる家庭料理なのですが、現在はレストランでも味わえるようになりました。東南アジアらしいハーブやスパイス・ココナツミルクをベースに中華料理の食材を合わせたものが多く見られ、幅広いメニューがあるのも特徴的です。また、東南アジアの料理の中でも辛さが控え目という点が、ニョニャ料理が持つ特徴のひとつです。
シンガポールとマレーシアでプラナカン文化に出会える街
とにかく魅力的で、一度は見る価値がある華麗なプラナカン文化ですが、シンガポールやマレーシアに行けばどこででも文化に触れられるという訳ではありません。ここではプラナカン文化が残るエリアを紹介していきます。
シンガポール【カトン地区】
シンガポール市内のカトン地区にはプラナカンのコミュニティが古くからある場所でした。特にユーラシアンと呼ばれる欧米系が多く、裕福だったプラナカンが多く住んでいました。そのため華やかな建物が多く残っている地域です。ひとつひとつの家のファサードに特徴があり、見ていて飽きません。
シンガポール【エメラルド・ヒル周辺】
シンガポール市内の保護地区「エメラルド・ヒル」は、当時から裕福なプラナカンが住んでいた地域です。中でもエメラルド・ヒル・ロードに建つ建物群は裕福なプラナカンだけに豪華そのもの、見ているだけで時間が経つのを忘れてしまいます。現在も住人がいる建物が多く、シンガポールで豪華なプラナカンの建物を見るならエメラルド・ヒルは欠かせない地域です。
マレーシア【マラッカ】
マレーシアでプラナカンの文化が花開いたのはマレーシア南部のマラッカとペナン島です。マラッカの歴史は古く世界遺産にも指定されている地域で、街中にプラナカンの建物があるだけでなくニョニャ料理店も点在しています。マラッカのプラナカンの建物は多くが商店などとして現在も利用されています。
マレーシア【ペナン】
マラッカ海峡の島・ペナン島は世界有数のリゾート地として有名ですが、観光の中心となる世界遺産のジョージ・タウンには多くのプラナカン文化が今も根づいています。イギリス植民地時代の建物とプラナカンの建物が街に融合、街歩きをしながらプラナカン文化を楽しむのにぴったりなエリアです。東西の文化が入り混じる魅力満載の町並みは時間が経つのを忘れてしまうほど魅力的です。
シンガポールとマレーシアを代表的するプラナカンの建物
プラナカン文化に触れられる地域に中にはいくつもの訪れるべき建物があります。ここを訪れれば人々を未だ魅了し続けるプラナカンの文化とはどういうものなのかが解ることでしょう。シンガポール・マレーシアの各地域ごとに紹介しますので、観光の際の参考にしてください。
シンガポール【ババ・ハウス】
ブルーの外観が印象的なババ・ハウスは元々20世紀初頭の中国系プラナカンの名家の住宅でした。シンガポールの中でも有数の美しい建物で伝統的なプラナカンの建物として当時のまま保存されています。プラナカンの歴史を物語る建物で、1階と2階には当時の様子がわかる装飾品や工芸品の見学が可能、3階はギャラリーとなっています。建物内は見学可能ですが完全予約制です。
シンガポール【プラナカン博物館】
プラナカン博物館は、東南アジアのプラナカンの文化を調査、所蔵品などを見学することが出来ます、真っ白な建物の美しさはもちろん、プラナカンの文化を宗教や服・工芸品などの生活文化などといったテーマごとに展示しているため、プラナカンの文化への理解を深めるのにもってこいの場所です。ここでプラナカンの文化を知り、街中を散策すると更に楽しさも倍増します。プラナカン博物館では宝飾品や工芸品などの販売も行っています。
マレーシア【マラッカ:ホテルプリ】
プラナカンの建物をホテルとして利用しているのがホテル・プリです。ホテルの中にはプラナカン文化を感じさせる調度品が置いてあり、カフェや中庭の見学は宿泊客以外も利用することが出来ます。中でも注目したいのがホテルの中庭です。プラナカンの建物は中庭がある物が多いのですが、ホテル・プリの中庭はプラナカン文化の中庭そのもの、優雅な気分を味わえます。またホテル内には展示コーナーもあるため工芸品などを見ることも出来ます。
マレーシア【ペナン:プラナカン・マンション】
ペナン島のプラナカン文化は主に世界遺産でもあるジョージ・タウンに存在しています。その中でも代表的な建物が「プラナカン・マンション」です。中国系の豪商の元住まいで現在は博物館として公開されています。エメラルドグリーンの建物を一歩入ると、中は豪華そのもので、当時の華麗な生活がわかる工芸品を展示、その数の多さに圧倒されてしまうほどです。美しく広がる中庭をはじめアートの世界に入り込んだ様な空間が広がっています。
マレーシア【ペナン:ブルー・マンション】
プラナカン・マンションとともにペナン島で外せないのがブルー・マンションです。シンガポールのババ・ハウスより鮮やかで濃いブルーの外観が目を惹くだけでなく、パワースポットしても有名です。元は中国系の有力者の住宅でしたが、現在はホテルとして営業しています。また1日に3回ガイドツアーが開催されているので、こちらに参加すればブルー・マンション内を見学することが可能です。またホテル内のレストランも宿泊客以外の利用が可能です。
注目のプラナカンの文化と歴史に触れてみよう
現地人と他国人の混血を起源に持つプラナカンの文化は、東西文化が見事に融合し出来上がった文化です。他に類を見ない繊細さと優雅さを持つプラナカンの文化を目で見て楽しむだけでなく、受け継がれてきたニョニャ料理もぜひ味わってみてください。