ドバイとは?
お金持ちの多く集まる都市としても有名なドバイは、整備が行き届き、日本よりも治安が良いと評判です。しかし、テロや紛争の絶えない中東にあって、にわかには信じがたく、詳しい治安情報が気になります。そもそもどんな国なのか、お金持ちが多いなら物価は高いのか、中東なら宗教事情はどうなのかも知りたいです。
ドバイはアラブ首長国連邦の都市
ドバイは、アラビア半島のペルシャ湾岸にあるアラブ首長国連邦の都市で、7首長国の1つでもあります。中東の貿易拠点として急成長した国際都市であり、住民の8割以上は働きにきた外国人移住者である超多国籍都市です。
お金持ちは一部の自国民や欧米人のみですが、観光客が主要な税収源であるため物価は高く、日本と同じか若干上回ります。
ドバイの主な宗教はイスラム教
アラブ首長国連邦は、他の中東諸国と同じで戒律を重んじるイスラム教国ですが、ドバイは例外的です。宗教の異なる外国人が大多数であるためイスラム色は弱く、豚肉・お酒は条件付きで飲食でき、女性観光客の服装は私服が認められています。
しかし、日本とはマナーが違ううえに、観光大国として規制が厳しいので注意が必要です。
ドバイの治安は良い?悪い?
ドバイは観光が主要産業であり、治安の維持が国の経済を左右するため、国によって厳しく管理しており、日本よりも治安が良いともいわれます。徹底管理された都市とはいえ、周囲にはテロや紛争のつづく国が多く、いつ波及するかわからない点では危険です。
ドバイに関する外務省発表のデータ
日本の外務省からは、アラブ首長国連邦の危険情報はありません(2020年4月20日現在)。しかし、集団強盗・銃器による犯罪・女性や子供への暴行事件などの凶悪犯罪は起きており、特に性犯罪が多いです。近年テロはありませんが、周辺国は情勢が不安定ですので、渡航前に中東一帯の治安の最新情報を確認してください。
ドバイは世界治安がいい国ランキング53位
アラブ首長国連邦は、紛争・テロ・暴行などの少なさを指標化した「世界平和指数」では163か国中53位で、世界の上位3分の1です。中近東では3番目で、同じくペルシャ湾岸にある小国カタールとクウェートにつづきます。都市ドバイだけで見ると、「numbeo」というサイトによる犯罪指数は低く、世界6位です。
ドバイと日本を比較した治安はどう?
都市の犯罪指数の低さはドバイが世界6位、東京は31位で、犯罪の危険はドバイのほうが小さいようです。しかし、日本人観光客として滞在するドバイの治安と、自国民として暮らす日本の治安でくらべると断定はできません。紛争やテロのつづくイエメンやサウジアラビアなどと地続きである点では、日本より危険は高いです。
ドバイの危険性
日本人旅行者にとっての危険性をくらべると、大きな違いは、ドバイは紛争やテロのつづく国と地続きであり、いつ波及しないとも限らない点です。性犯罪や窃盗が多いのは日本と同じですが、ドバイの場合は観光客が標的になりやすいため、日本人にとってはより危険が大きいと考えてもよいでしょう。
ドバイの安全性
紛失物は返ってくることが多く、荷物を置いて席を立つ人もおり、日本の感覚と似ています。ドバイにはイスラム教の教えにもとづく規制があり、公共の場での酔いつぶれ・公共交通での飲酒・ギャンブル全般などは法的に禁止です。外国人の違法行為に厳しく、移住者は事を荒立てにくいため、激しいデモもありません。
ドバイの治安が悪い地区と良い地区
安全性の高いドバイの中でも、居住者の経済的な豊かさで治安の良し悪しが異なります。南アジア・東南アジア人の低所得層が多く暮らす地区は、金品の窃盗や性犯罪の危険が高いです。一方、お金持ちの集まる高級ホテルやマンションの多い地区は、基本的に治安が良いでしょう。
治安が悪い地区とその理由
デイラ地区とゴール・ドバイ地区は、ドバイの中でも良心的な物価で低所得層が多く、生活感も強い下町エリアです。ドバイは、国籍により職種・給与・手当が極端に異なる格差社会であり、低所得層は厳しい生活をしているため、軽犯罪が発生しやすいでしょう。
混雑する場所は観光客ねらいのスリが多く、観光客で1日中にぎわうスーク(市場)やショッピングモールが代表的です。
治安が悪い地区①:デイラ地区
生活感の強い下町エリアのデイラ地区は、スークでスリが多いほか、スパイス・スークでは、女性観光客をねらった痴漢も多いです。ゴールド・スークは周辺に風俗店が多く、男性観光客は客引きに注意が必要で、女性も露出の高い服装で近づくのは賢くありません。
治安が悪い地区②:バール・ドバイ地区
バール・ドバイ地区も生活感の強い下町エリアであり、オールド・スークでのスリや客引きに要注意です。店員がかなり強引であるうえ、市場の道幅が狭く込み入っているため、客引きには十分注意しましょう。店の前に引き戻される、店内に引っ張り込まれる、買わないと暴言を吐かれるなどもあるようです。
治安が悪い地区③:ザ・ドバイ・モール
ザ・ドバイ・モールは世界最大のショッピングモールで、観光の定番であり、多くの海外旅行者が集まります。買い物や遊びに夢中になっているところを狙ったスリが多く、荷物に注意を向けておくことが特に大切である場所です。
治安が良い地区とその理由
ドバイの中でも高級住宅街や高級ホテル群のある地区は、治安を保つために力を入れていて、安全性が高いと考えられます。お金持ちの多い地区のうち、ドバイ観光での主要なスポットはドバイマリーナ地区・ジュメイラ地区・ダウンタウン地区の3つです。
治安が比較的良いとはいえ、過信はせずに荷物の管理や周囲の状況確認を行ってください。
治安が良い地区①:ドバイマリーナ地区
ドバイマリーナ地区は高級な高層コンドミニアムやホテルの立ち並ぶ海岸地区で、お金持ちが多いこと、維持管理が重視されることから、窃盗が起こりにくいです。もともと高級住宅街として開発されましたが、透き通ったきれいな海を楽しめるほか、アクティビティも多く、何でもそろうモールもあって女子旅に人気でもあります。
治安が良い地区②:ジュメイラ地区
ドバイマリーナ地区東側の海岸に広がる高級住宅街であり、お金持ちの多さ、警備の厳重さから安全性が高いでしょう。ドバイの中でもっとも豪華なエリアであり、高級なリゾートホテルが数多く立ち並んでいます。近くにあるジュメイラ・モスクは、イスラム教徒でなくても入れるドバイ唯一のモスクとして人気です。
治安が良い地区③:ダウンタウン地区
ダウンタウン地区は都市の中心地であるため、整備が行き届いていて、安全性が高いでしょう。観光・宿泊・居住いずれにも人気の地区であり、夜遅くまで住民・観光客の人出が多く、にぎわっています。「バージュ・ハリファ」や「ザ・ドバイ・モール」など、ドバイ観光の定番がそろう地区です。
ドバイ観光で日本人が気をつける5つの注意点
治安の良いドバイですが、日本と同じ感覚でふるまうと危険やトラブルに巻き込まれる恐れがあります。テロの危険があること、観光客は狙われやすいこと、イスラム教国の常識にあわせる必要があることを頭に入れて、海外にいる緊張感を持ちましょう。
注意点①:テロ
ドバイ観光ではテロの危険性も頭に入れ、宗教施設や人の多い場所では周囲に不審な動きがないか確認しましょう。一般に、宗教的なものは標的になりやすいため、金曜正午の一斉礼拝の時間にモスクを訪れるのは避けた方が安心です。
注意点②:夜
多くの観光スポットは夜もにぎわい、安全ですが、すいている場所や暗い場所は、すぐに助けが呼べず危険ですので避けましょう。ドバイは日中の気温が高く、夏は40度以上にもなるため、夜10時ごろから人出が増えます。夜もにぎやかな雰囲気は日本とも似ていますが、楽しむ際は海外にいる緊張感を持ちましょう。
注意点③:女性
女性観光客は、各国共通で性犯罪に注意が必要であり、ドバイも人混みでの痴漢やタクシーで連れ去られて暴行された事例があります。マナーの違う異教徒は後腐れしない、露出が高く目立つなどで狙われやすいため、肩・胸元・膝上は隠す服装にしましょう。
注意点④:イスラム教のルール
ドバイでは公共の場における泥酔、男女間のキス・ハグは違法であり、観光客は注意が必要です。ラマダンというイスラム教徒の禁欲期間は、観光客も公共の場で飲食・飲酒・喫煙をするのは日没まで自粛します。店・観光スポットは営業時間を変更する場所もあるため、期間中は利用前に確認するとよいでしょう。
注意点⑤:移動手段
ドバイメトロは「ドバイ地下鉄」と表記されることもありますが、正確には地下鉄ではなく、地上を走る自動運転の電車です。電車内でも禁止事項が多く、居眠り・飲食や、女性・子供専用車両への男性の乗車は罰金が科されます。
タクシーは、国の認可済み車両であれば安心のメーター制ですが、故意かミスか、遠回りで高額を請求される件もあり、地図を確認しながらが安心です。
気をつけるポイントを押さえて楽しいドバイ観光に!
治安はいいけど注意が必要!
ドバイは治安が良いですが、日本人が旅行する際は注意が必要で、ポイントは3つです。「周囲は情勢が不安定な国、観光客はカモ、常識が違うイスラム教国」をふまえ、素敵な旅行にしましょう。地域の治安情勢は常に変わっていきますので、渡航する前にドバイや周辺国の最新情報を確認して、観光を計画してください。
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