日本一危険な神社「太田山神社」とは？断崖絶壁を超えた先にある絶景

太田山神社が日本一危険と言われる理由は、本殿へと続く参道にあります。生半可な覚悟では登ることは叶わず、北海道民や地元住民ですら滅多に参拝には行きません。参拝者に万が一のことがないよう定期的に山の巡回が行われているとのことですが、管理側の危機意識の高さが参道の危険度合いを如実に表しています。

参道を進むより前に目に入るのが、鳥居横に設置された「お願い」と書かれた立て札です。立て札には落石などの危険を報せる幾つかの注意書きと「敷地内で発生した事故については当神社では一切の責任を負いません」という文字が赤字で大きく書かれています。

さらに山中ではクマやマムシも出没するため、常に注意喚起がなされているようです。

参道に足をかけて最初に目に映るのは、上段から下段まで伸びる「命綱」です。「どうして階段に命綱が？」と不思議に思うところですが、太田山神社参道の斜度は平均で45度とされており、登るごとに面積が狭まっていく階段を踏み外してしまう参拝者が多数いるため、転落防止として設置されています。

階段を登り切ると目の前には梯子が現れます。最早「獣道」と言って差し支えないような、生い茂る草の間にできた先程の階段よりもさらに急な土道と、そこに寝そべるように固定された梯子です。もちろん、梯子を登り切ったからといってもまだ序盤です。梯子の次はロープを手繰って、道なき道を登っていきます。

賢明に登り続けた先に鳥居と社が見えてきます。「到着した！」と喜びたいところですが、社は目的の本殿ではなく「女人堂」と呼ばれる社です。女人堂の位置が大体中間にあたりますので、一度到着したと思い込んでしまった参拝者には「まだ半分もあるのか」と精神的な圧がのしかかります。

終点前にある鳥居を潜って進むと見えてくるのが吊り橋です。赤字で「足元に注意」と書かれた看板が傍らに設置されており、錆び切った金属でできたボロボロの吊り橋は、一歩踏み出す毎にミシミシと音を響かせます。かなりの高さにあるため、もしも橋が壊れようものなら地上まで真っ逆さまに落ちることになるでしょう。

橋を渡り切った先に現れるのは最後の難関、90度の断崖絶壁です。手足をかけられるワッカ状の鎖が垂れ下がっており、後方には崖が待ち構えています。命綱など勿論なく、足を滑らせてしまおうものならおそらく命はないでしょう。途中で下を見てしまったなら動けなくなってしまう程度の高さがあります。

恐怖に打ち勝ち登り切ると、ついに目的の本殿が姿を現します。しかし本殿と呼ばれる社は非常に小さなものであり、ついつい「あれ！？これだけ？」とつぶやいてしまいそうになるほどです。本殿が鎮座する穴も人が数人入れる程度のわずかな空間であり、休憩こそすれど長居はしようと思えません。

参拝後に後方を見やると、太田山神社の絶景が堪能できます。

本殿までたどりついた方であれば問題ないとは思いますが、高所が苦手な方にとっては恐怖でしかない景色だと言えるでしょう。特に登ってきた絶壁の下を見て降りる時のことを考えると冷や汗ものです。しかし右方向に見える海岸沿いの景色は山並みの風景と相まって非常に美しく映ります。