香港ってどんなところ?
香港は中国の特別行政区です。1997年に中国に返還されるまでは、約150年イギリスの植民地だったため、英語を話せる人も多くいます。イギリス植民地時代が長かったこともあり、中国の文化とはまったく異なる文化をもつ香港。言語は広東語がメインでそのほか英語と、返還後は北京語を話す人も増えてきました。中国本土から出稼ぎに来ている人などは北京語が多いようです。日本文化に興味を示す親日の人も多くいます。
香港の治安
西洋文化と東洋文化が交じり合った香港。アジアの中では、地価が非常に高く富裕層が多いのも特徴です。イギリスのレガタム研究所の2015年版「世界で最も安全な国ランキング」では、22位の日本を抜き、1位を獲得するなど、治安が良い国と評価されています。どんなに治安が良くても香港は「外国」。特に日本人はどの国でも、カモにしやすいと思われています。この記事では、香港の治安状況や犯罪・旅行の際の注意点などを紹介するので、旅行に行くときの参考にしてください。
香港の治安①デモ
2019年6月以降、香港では逃亡犯罪人条例等改正問題をめぐる抗議デモが行われています。基本的にデモは、数日前から日時や時間がニュースなどで知らされますが、ゲリラ的な抗議活動も絶えません。11月に区議会議員選挙が行われ、民主派が大差をつけ勝利しましたが、デモは継続。一部のデモ隊は暴徒化し、街中や地下鉄の駅を破壊するなどの行為も見られます。特に警察との衝突に巻き込まれると非常に危険なので、デモがいつ行われるのかチェックが必要です。2019年12月現在、外務省の海外安全ページでは「十分注意」のレベル1となっています。
デモで気を付けること
2019年11月、香港ディズニーランドに行った後、デモを見学しに行った日本人大学生が逮捕されました。空港でのデモも収まったとはいいがたい状態です。香港旅行に行くなら、以下のことに注意してください。
- デモがいつどこで、何時から行われるのか常にチェック
- デモ隊に近づかない・写真や動画撮影をしない
- ゲリラ的暴徒がいる可能性があるので、デモ隊以外の衝突現場などに近づかない
- デモ隊と同じ黒い服装をしない・マスクをしない
- 地下鉄閉鎖の可能性があるので、外出の際はホテルまでの帰り方をいくつか調べておく
- 万が一の空港の閉鎖に備え、ほかの帰国手段を調べる
香港の治安②犯罪率
2019年12月現在は、まだデモが行われているため、安全とは言い難い香港ですが、もともとは非常に治安がいいところ。香港は観光だけでなく、アジアの金融や貿易の中心地のひとつなので、危険度が低いのです。香港のニュースによると、2018年1月~10月の間でロンドンと香港の犯罪件数を比較したところ、強盗件数は「香港130件に対しロンドン27,096件」と大きな差が出ていました。2018年の香港警察発表データでは、犯罪件数は5万4225件で、前年度の5万6017件から減少。この中で日本人は80件ほど窃盗など被害にあっています。
香港の治安③夜の外出
治安がいい香港は、夜もほかの国などと比べれば安全性が高いといえます。深夜ではない限り、表通りなどは女性同士で歩いていても、それほど怖いことはありません。しかし、それは表通りだけ。人気がない暗い道や、エリアによっては昼間の喧騒が嘘ではないかと思うほど、人通りがなくなるところもあります。こういう場所には近づかないようにしましょう。女性の一人旅の場合は、明るい道を選ぶ・暗くて風紀が悪そうな地域には近づかないことが必須です。空港に着いたのが夜の場合は、ホテルまでタクシー移動をおすすめします。
香港の治安④ナンパ
香港島側のランカイフォンは、バーやナイトクラブが集まっていて、外国人観光客や居住者が多い地域。ハメをはずして騒ぐ人も多く、日本人女性はナンパの対象になりやすくなっています。お酒を一緒に飲むだけでも要注意。お酒に薬を入れられて、性的な被害にある可能性がないとは言い切れません。その気がない場合は、きっぱりと断ってください。
マッサージ店のセクハラも注意
香港の街中を歩いていると、マッサージ店が多くあることに気がつくのではないでしょうか?もちろん、ほとんどのマッサージ店は、きちんと営業していますが、中にはマッサージ中にセクハラしてくる店もあります。香港のみならず、マッサージ店でのセクハラは密室のため被害にあいやすいのが現状。マッサージ店に行くときは、事前に旅行サイトなどでの口コミをしっかりチェックしておきましょう。
香港の治安⑤女性の一人旅はホテルに注意が必要
治安がいいため、女性一人でも気軽に旅行を楽しめる香港ですが、1点注意したほうがいいことがあります。香港のホテルは電車の駅へのアクセスが良い観光地などにあることが多いのですが、裏通りに面したところにホテルがあるケースもあるのです。裏通りは女性の一人旅なら避けたほうがいいエリア。ホテルを選ぶときに、明るい表通りや大通り沿いにあるのかチェックしましょう。めったにありませんが、ホテルのドアをノックされた場合も要注意。決してドアを開けずフロントに連絡してください。
香港で治安に気を付ける地域
どんなに治安がいい国であっても、気をつけたほうがいい地域というのは存在します。治安がいいといっても香港は海外です。ここでは、治安に気をつけたほうがいい地域を紹介します。ホテル選びなどの参考にしてください。
治安に気を付ける地域①チムサーチョイ
チムサーチョイは、九龍側のメインの繁華街。地下鉄の駅やフェリーターミナルなど常に人で賑わっています。チムサーチョイ全体が危険エリアというわけではないのですが、こういった込み合っている駅で、切符を購入する・エスカレーターに乗っているときなどにスリや置き引きにあるケースが多発。中には複数人で声をかけ、盗みを働くグループもあるので、貴重品の管理はしっかりしておきましょう。
重慶大廈(チョンキンマンション)は特に注意
両替の率がいいと人気の重慶大廈は、バックパッカーが集まるところとしても有名です。建物内の雰囲気も独特なので、海外慣れしていない人は、ぼったくり被害にあう可能性があります。中にはしつこい客引きもいるので気をつけてください。
ネイザンロードも注意が必要
九龍地域のメイン通り・ネイザンロードは、夜でも人が多くにぎわっていますが、悪質な客引き被害が出ています。特に日本人の場合、偽ブランド品を売りつけられるなどの詐欺にあうケースも。日本語で話しかけられたら、無視したほうが安全です。
治安に気を付けるエリア②ランカイフォン・ナッツフォードテラス
香港島側のランカイフォンと九龍側のナッツフォードテラスは、人気のナイトスポットエリアです。雰囲気のいいバーなども多く、夜になるとお酒を楽しむ人でにぎわっています。酔っ払いが多いエリアはどうしても、トラブルがおきがち。喧嘩に巻き込まれる、お酒を飲んでいる間に置き引きにあうなど、さまざまな被害が考えられます。
治安に気を付ける地域③女人街
香港の観光ではずせないのが、両側に露天がズラリと立ち並ぶ女人街。通路が狭く、人が多いためすれ違うのがやっとという状態です。そのため女人街は、スリだらけ。気がつくと貴重品が盗まれているということになりかねません。女人街は歩いているときはもちろん、商品を見ているときも、しっかりと貴重品を持っておきましょう。一番にぎわう午後8時から午後10時の間は、もっとも注意が必要な時間帯です。
マフィアがいる地域に注意
香港には、三合会(トライアド)などと呼ばれる複数の香港マフィアや犯罪組織がいます。インスタ映えすると人気の深水埗や、下町エリアのモンコックなどが、これらマフィアが集まる場所として知られているエリアです。特に深夜に一人で歩くことはやめてください。深水埗やモンコックを夜歩く場合、観光客の多い22時くらいまでが安全な時間帯です。
香港の犯罪
どんなに治安がいい香港でも、そこは海外。日本と同じ感覚でいると犯罪に巻き込まれてしまう可能性が高くなってしまいます。特に日本人は治安のいい日本と同じ感覚でいると、トラブルにあってしまうので注意しましょう。気を抜いていると、空港に降り立った瞬間からトラブルに巻き込まれてしまいます。
香港の犯罪①スリ・置き引き
香港でもっとも多い犯罪がスリや置き引きです。人の多い観光地だけでなく、空港から出ている電車のエアポートエクスプレスや、MTR(地下鉄)の駅で切符を買っているときにすられたりもします。電車のホームやエスカレーター・階段も要注意。すれ違う瞬間に貴重品が盗まれてしまうことも。電車に乗っているときも、女性はバッグから手を離さず、男性は財布をポケットに入れっぱなしにしないなど注意をしましょう。
香港の犯罪②タクシーのぼったくり
香港はタクシーが安いので、空港からの移動で電車を使わずタクシーでホテルに向かう日本人が多くいます。アジア圏をはじめ海外でよくみられる犯罪のひとつがタクシー料金のぼったくり。これは、香港でも同じです。香港のタクシーのぼったくりは他国と比べるとかなり少ないのですが、わざと遠回りして料金をぼったくるケースが見られます。タクシーのぼったくりにあっても、言葉がわからず泣き寝入りになるのを避けたい場合は、空港から電車を使ったほうが無難です。
香港の犯罪③クレジットカード詐欺
「クレジットカードを使って買い物をしたら、後日、覚えのない買い物の請求がきた」というクレジットカード詐欺が香港をはじめ、海外で横行しています。これはクレジットカードの機械から、カード情報を盗むシステムがついていて、覚えのない買い物に使われてしまうというものです。以前ほど多くはありませんが、現在でもクレジットカード詐欺は存在しています。カードは信頼できる店でのみ使いましょう。
香港の犯罪④パスポート盗難
日本のパスポートは190カ国をビザなしで渡航でき、この数は世界1位です。そのため日本人観光客のパスポートは海外で狙われやすくなっています。香港では、フェリーターミナルや九広鉄道でパスポートの盗難事件が多発。電車の場合は、主に切符を買う際に盗まれています。またホテルのチェックイン後に、従業員を装った人物が「チェックインにミスがあった」など話し、パスポートを預かって盗んでしまうケースも。一流ホテルでも、この犯罪はおきています。「チェックインにミスがあった」といわれたら、パスポートを渡す前にフロントへ電話をして、確認してください。
香港の治安を知って安全な旅をしよう
もともと治安がいい香港は、女性の一人旅も楽しめる観光地。油断さえしなければ、犯罪に巻き込まれることもまれです。2019年12月現在、デモはまだ行われていますが、外務省の危険情報では、レベル1の「十分注意」なので、デモのエリアや時間帯を避ければ、旅行を十分に楽しめるでしょう。香港旅行に行く前は、外務省の危険・スポット・広域情報をチェックして行ってください。