目次 [表示]
- 国産ジェット機「MRJ」とはどんな飛行機?
- MRJはYS-11以来となる国産ジェット機
- MRJはMitsubishi SpaceJetに名称変更
- 国産ジェット機MRJを製造するメーカー
- MRJは三菱航空機が開発製造する小型機
- 国産飛行機MRJのスペック
- 国産飛行機MRJのスペック①:サイズ
- 国産飛行機MRJのスペック②:座席数
- 国産飛行機MRJの特徴①:機体形状
- 低騒音化を実現
- 国産飛行機MRJの特徴②:コックピット
- 安全性の向上
- 国産飛行機MRJの特徴③:エンジン
- 低燃費と低騒音
- 国産飛行機MRJの特徴④:スリムシート
- 快適な乗り心地
- 国産ジェット機MRJの国内線運行
- ANAの国内線運行は?
- JALの国内線運行は?
- 国産ジェット機MRJの運行時期
- 国産ジェット機MRJは納入遅れが多発
- ANAの運行時期は2020年夏以降
- JALの運行時期は2021年ごろ
- まとめ
国産ジェット機「MRJ」とはどんな飛行機?
国産ジェット機のMRJは、日本で開発製造されている純国産の飛行機です。近年国内外で製造されて運航されている飛行機の多くは、ボーイングやエアバスなど外国製が主流ですが、MRJは国産の飛行機として注目が集まっています。MRJのRJはリージョナルジェットの頭文字で、短距離ターボエンジンが搭載された短距離路線に適した飛行機です。
MRJはYS-11以来となる国産ジェット機
現在も外国製が主流となっている飛行機ですが、過去には国産の飛行機として日本航空機製造が製造していたYS-11が、1962年から運行していました。しかし、その後は半世紀以上にわたり国産機の製造はなく、2015年11月にYS-11以来53年ぶりとなる国産旅客機の初飛行を実現。日本期待のMRJは多くの航空会社が購入契約をしており、国内外の短距離路線を運行する日も遠くはない現実です。
MRJはMitsubishi SpaceJetに名称変更
MRJは三菱リージョナルジェットの頭文字を組み合わせた名称です。三菱が製造するリージョナルジェットで、開発や製造段階からMRJの名前で親しまれていましたが、2019年6月からは名称が変更。変更後の名称は、MitsubishiSpaceJetで三菱の名前は残して、元々の「地域の」という狭い印象を与えるリージョナルを外して、空間を感じさせるスペースが追加されています。
国産ジェット機MRJを製造するメーカー
半世紀ぶりとなる国産ジェット機運行を目指すMRJを製造するメーカーは、三菱重工業です。三菱重工業は三菱グループに属する日本最大の機械メーカーです。船舶やエネルギー事業などさまざまな分野で、製品を生み出す三菱の航空機事業は、ボーイングなどの航空メーカーの製造作業も手がけるなど、国内の航空機製造におけるエキスパート集団です。
MRJは三菱航空機が開発製造する小型機
MRJは三菱重工業の子会社三菱航空機が製造する小型機です。MRJの開発および販売目的で設立された会社です。小型機事業は、カナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエルのツートップの独走状態でしたが、ボンバルディアの小型機事業を三菱が買収、エンブラエルも事実上ボーイングの傘下に入っており、今後世界の小型機事業は三菱航空機とエンブラエル、ボーイングの競合になります。
国産飛行機MRJのスペック
国産飛行機のMRJは今までにないさまざまな面で優れている純国産の飛行機です。最先端の空力設定や最新技術を取り入れることで、乗り心地の快適さやコスト削減に効果的。日本が独自開発する飛行機としてはYS-11以来となり、日本の優れた技術が詰まった次世代のリージョナル機として、国内外の路線で運行される予定です。
国産飛行機MRJのスペック①:サイズ
純国産ジェット機のMRJのサイズは3種類あり、日本の航空会社が受注しているM90は、全長が35.8メートル、全幅が30.9メートル、全高10メートルです。このサイズは現在も国内で運行している主要な小型機、ボンバルディアDHC8-Q400、エンブラエル170に近いサイズですが、比較すると長さ・幅・高さの全てでMRJが上回るのです。現在運行中の機体のサイズを若干上回っており、機内は広く快適な乗り心地が提供されます。
国産飛行機MRJのスペック②:座席数
MRJの座席数は機体の種類で異なり、日本の航空会社がメインで受注している種類M90の座席数が90席クラスです。90席クラスでも、広い機内で座席幅や通路幅が広く、天井も高い快適な機内で空の旅を楽しむことが可能。国内で運行中のリージョナルジェットでは、ボンバルディアを約20席上回り、エンブラエル190とほぼ同じ座席数です。
国産飛行機MRJの特徴①:機体形状
MRJの機体は円筒形の外観、主翼の下にエンジンをセットしたベーシックな仕組みですが、機首や主翼には空気抵抗を考えたフォルムが採用されているのが特徴です。MRJは新幹線のようなシャープなボディ、主翼や主翼の高揚力装置であるフラップの形状を研究して製造されているのです。緻密な設計で作りだされている機体形状は、飛行機の問題点である騒音問題を減らしています。
低騒音化を実現
飛行機に搭乗している人だけでなく、空港近くなどで暮らす人の問題となっているのが航空機の騒音です。MRJは機体形状から騒音の減少化を実現しており、主翼やフラップなどの形状を研究してこだわることで、飛行中に発生する風切り音を減らすことが可能。風切り音を減らすことで、搭乗中の騒音を減らすことが可能となり、低騒音化によって快適に飛行機に乗ることができます。
国産飛行機MRJの特徴②:コックピット
MRJの大きな特徴がパイロットが飛行機を操縦するコックピットの大型モニターです。従来の航空機のコックピットは、小さなモニターに計器類が映し出されていたのが主流です。対してMRJは近年主流となっている、グラスコックピットで大型のモニターに主要計器が集約され、内部がすっきりとシンプルな仕様になっているのです。ディスプレイによって、必要な情報を適切なタイミングでパイロットに届けることが可能です。
安全性の向上
MRJは4つの大型液晶ディスプレイに主要計器が集約されたシンプルな構造です。1枚1枚が大きなモニターは、色彩がはっきりして見やすく、飛行に必要な情報の確認が瞬時に確認できる優れたシステム。パイロットが利用しやすいように考えられたディスプレイは、飛行情報に認識が容易になり、情報認識性の工場でヒューマンエラーを引き起こさないようにするなど、安全性の向上に効果的。
国産飛行機MRJの特徴③:エンジン
飛行機が飛ぶのに重要な動力で、推進力を生み出す装置エンジンは最新技術を導入。MRJで採用されているエンジンは、ジェットエンジンの中でもGTF(ギアドターボファン)と言われる新開発のエンジンです。MRJで使用されているエンジンは、他社の小型ジェット機よりも3割の低燃費、低騒音を実現されている優れた性能です。
低燃費と低騒音
MRJに採用されているGTF(ギアドターボファン)は、航空エンジンの世界三大メーカーであるアメリカのプラットアンドホイットニー開発のエンジンです。エンジン内部にギアを入れると、吸気装置のファンと動力源のタービンの回転を適切に制御。最適な回転数に制御する運転が可能になったことによって、燃費を向上させて、排出物や騒音の減少にも役立つのです。
国産飛行機MRJの特徴④:スリムシート
最新技術を用いていることによって機内の快適性を高めているのもMRJの特徴です。頭と天井の空間のヘッドクリアランス、足元の空間フットクリアランスを実現。座席頭上の客室内荷物収納(オーバーヘッドビン)スペースも非常に広く、快適に楽に荷物の収納可能です。他にも空間を広く感じる工夫が施されており、新幹線並みの快適な空間を空の上でも楽しめます。
快適な乗り心地
快適な機内が提供されているMRJは、広さを演出する内装構造や大型の客室窓が採用されており、狭い機内も広く感じる作り。天井も高くLED照明も空間の広さを引き立てるのです。座席は、新構造のスリムシートが採用されており、快適な座り心地と広い足元を確保することによって、B787大きな機体にも劣らないゆったりとした座り心地を実現。
国産ジェット機MRJの国内線運行
純国産で最先端の技術を詰め込み、多くの人の期待の高まるMRJは、国内の航空会社では全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の2社が導入予定です。両社はすでに正式契約を済ましており、後は納入されるだけです。MRJはトラブルなどが重なり、当初の計画から大幅に納入が遅れていますが、順調にいけばいずれ両社に受け渡さし可能です。
ANAの国内線運行は?
ANAは運行している中型機の後継機としてMRJの導入を考えている会社です。中型機は伊丹空港と東北方面や九州方面、中部国際空港や福岡空港などの基幹都市から地方の路線へ導入が考えられる。これらの路線は多すぎず少なすぎない座席数で運行され、地方路線搭乗率の向上に期待されています。また、ボンバルディア機路線への導入も想定されているのです。
JALの国内線運行は?
JALはJALグループで伊丹空港をベースに、JAL国内線の3割近くを運行しているジェイエアの運行路線が導入に有力視されているのです。羽田から地方を結ぶ路線や伊丹空港、中部国際空港、福岡空港の発着路線などが候補地。JALは他にMRJと規模が合致する、エンブラエル機の後継として導入される可能性も考えられるとされているのです。
国産ジェット機MRJの運行時期
国産ジェット機は航空会社への納入時期が度々遅れることでも話題になっている飛行機です。2008年に事業化決定以降は、計画は順調に進まず初号機の納入時期に関しては、2013年の導入を予定していましたが、さまざまな理由で時期が延期となっている。
国産ジェット機MRJは納入遅れが多発
初号機は安全性の向上や設計変更を理由に、トータルで5度に渡って納入時期が変更されています。2019年時点では2020年半ばごろの時期に納入が予定。2019年3月には国土交通省のパイロット搭乗の試験飛行をアメリカで開始して、運航に必要となる認証取得に向かっている。試験は1年ほどの期間が必要で納入時期までに認証が取得できるかが問題です。
ANAの運行時期は2020年夏以降
ANAはMRJを初めて受注したローンチカスタマーです。MRJの導入は納入の遅れに連動して遅れており、具体的な運航時期は未定です。最新の計画では、ANAに対して2020年夏ごろの納入を予定ですが、設計の変更や安全性の確認で納入が困難な状態です。予定通り納入できても、その後の過程もあるため実際の運行時期は2020年夏以降です。
JALの運行時期は2021年ごろ
MRJの性能や納入後の運行支援に対してなど、三菱航空機からの提案を高く評価しているJALは、MRJ購入を正式契約をしています。JALは32機の導入を決めており、納入時期は2021年です。2020年内に引き渡しが始まらない場合には、納入だけでなく運行自体が延長する可能性も考えられる。これによってJALの運行時期は2021年以降です。
まとめ
YS-11以来約50年ぶりとなる純国産ジェット機、MRJについてご紹介していきました。MRJは、三菱航空機が開発製造する飛行機で低燃費や低騒音など、優れた性能が魅力で国内外の航空会社が導入を予定。納期の遅れなどが発生していますが、着実に納入に近づいており、日本の空を国産ジェットが飛行する日は遠くはありません。