観光英語検定とは?
「観光英語検定」は全国語学ビジネス観光教育協会が主催する検定です。観光業や旅行業に特化した、実用的な内容が注目されている英語資格試験。英語力と観光業務の向上、プロフェッショナルな人材育成を目的として、平成元年から行われています。
観光英語検定の受験メリット
英語資格試験がたくさんある中で、観光英語検定を受験する価値は何なのでしょうか?それは英語力の向上だけでなく、観光に関する知識も深まることです。また職場での評価につながったり、就職や転職に有利など、数多くのメリットがあります。
観光業界での社内評価につながる
外国人旅行者の増加に伴い、旅行業や飲食業などの観光業界で、英語によるコミュニケーション能力が求められるようになっています。業務に直結する知識を習得できる資格として、スキルアップが見込めるため、受験が奨励されたり、合格者を優遇する企業も増えています。
海外旅行で役立つ英語力が身に付く
観光だけでなく、空港やホテルなどの場所での手続きや、両替、ショッピング、食事などで使える、実用的な表現を学ぶことができます。海外旅行で活かせる内容が詰まっているため、旅行好きの方も受験する価値あり。必要な知識を深めながら、英語力アップが見込める魅力的な資格です。
資格取得の結果、就職や転職に活かせる
観光案内など、旅行業務に必要な基本分野と合わせて、国際情勢や世界の文化についての専門的な知識を深めることが可能。英語の語彙力もつき、文法についての理解も求めることができます。履歴書に記入することで、評価の対象となり、旅行業や観光業での就職や転職に有利な資格となります。
観光英語検定の概要
観光英語検定は1級、2級、3級と3つのレベルに分かれています。1級は年1回、2・3級は年に2回、全国の会場で行われ、どの級も試験科目は筆記(60分)とリスニング(約30分)。共通する内容は、観光業や旅行業に関する専門用語や表現方法、海外の生活習慣やマナーとなります。
試験内容
1級
8,000語以上の語彙力と正確な英文法や構文の理解が必要です。海外旅行の専門知識、旅行業務(最低2~3年以上の業務経験)で求められる一般知識や国際関係、世界情勢、国内外の観光や文化についての基本知識などになります。
2級
約5,000語の語彙力と高等学校修了程度の英文法や構文の理解が必要です。観光案内などの旅行業で必要な基本知識と海外旅行で求められる場面別の対応について、知識が問われます。
3級
約3,000語の語彙力と基本的な英文法や構文の理解が必要です。海外旅行の際、さまざまな場所で求められる基本表現についての知識や空港やホテルでの手続きや両替、食事、買い物、観光、交通機関に関するものになります。
検定レベル
公式サイトによると、各級の検定レベルは以下のとおりです。
1級
TOEIC 600~860レベル、英検準1級・1級程度になります。国内外において、観光客をさまざまな場所に英語で案内でき、観光・旅行関連の一般常識や教養を保ち、海外の習慣や文化を英語で理解できるレベルが求められます。
(1)海外で日本人客を接遇し、英語で添乗業務が出来る。
(2)国内で外国人に観光地や名所旧跡等を英語で通訳ガイドが出来る。
(3)国内のホテルや他の場所で外国人に英語で充分な接遇が出来る。
(4)海外における風俗習慣や国際儀礼等の異文化を英語を介して理解、かつ紹介出来る。
2級
TOEIC 470~600レベル、英検2級程度。観光業や旅行業において、業務に必要な英語を使いこなせることが求められます。海外旅行で対応できる英語力や、外国人に日本の文化について英語で説明できる必要もあります。
(1)海外で個人旅行をする時、個人で旅程を組み、乗り物やホテルの予約、また単独で観光や買物等を英語で対処することが出来る。
(2)国内で外国人に観光地や名所旧跡等を英語で紹介出来る。
3級
TOEIC 220~470レベル、英検3級程度になります。海外旅行の際、少人数での移動や買い物、レストランなどにおいて基礎的な英語が使えることや、国内で外国人に対して、観光名所や文化についてやさしい英語で紹介できるレベルが求められます。
(1)海外グループ旅行の時、少数の同僚と一緒に英語を使って行動することが出来る。
(2)国内で外国人に道案内やパンフレット類を英語で説明出来る。
合格率
合格率は、1級が約4%、2級と3級は約58%となっています。2・3級は全体の半数以上の合格率ですが、1級は10人に1人以下という結果です。1級の難易度は高いといえるでしょう。
受験料
受験料は、1級 10,000円、2級 4,800円、3級 3,800円です。1・2級の併願は14,800円、2・3級の併願は8,600円になります。
試験会場
試験会場は、全国の主要都市となります。会場ブロックとして18都市の中から選択できます。札幌、仙台、東京、横浜、金沢、名古屋、京都、大阪、広島、松山、福岡、那覇など、お住まいに合わせて選びましょう。
申し込み方法
受験の申し込みは、願書の郵送のみになります。インターネットでの受付はできないため注意しましょう。願書(払込取扱票)に必要事項を記入し、受験料と合わせては、郵便局または、ゆうちょ銀行での申し込みとなります。願書などの資料請求は公式サイトから可能です。
主な英語資格試験と観光英語検定との比較
現在、さまざまな資格試験がありますが、その中でも「観光英語検定」は観光業や旅行業に特化した内容として注目されています。以下に、主要な英語資格試験の概要をまとめました。観光英語検定の受験を検討する際の参考にしてみてください。
英検
正式名称は「実用英語技能検定」。公益財団法人 日本英語検定協会が主催し、文部科学省が後援する検定試験です。1級~5級(準1級、準2級含む)までの7つの級があります。レベルは中学初級から大学上級程度で、幅広い年齢層が対象。筆記、リスニング、スピーキング、面接の形式で、年に3回実施されます。
TOEIC
世界各国で行われており、英語を母国語としない人を対象としています。英語のコミュニケーション能力を測る試験で、「聞く・読む・話す・書く」といった分野別に5種類のテストがあります。中でも「TOEIC® Listening & Reading Test」は社会人のキャリアアップに必要となることが多く、結果の合否判定はなく、スコアを認定する試験です。
TOEFL
TOEICがビジネスで評価される試験に対して、TOEFLは教育機関での認定目安で、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど多くの国で、スコアが大学入試や卒業の基準となっています。TOEIC同様、英語を母国語としない人を対象にした英語能力測定試験。結果の合否判定はなく、スコアを認定します。海外の大学への入学や留学に必要とされ、会場にあるコンピューター上で受験します。
観光英語検定は観光業に特化した資格
主な英語資格試験が英語力の学習成果を測ることを目的としているのに対し、観光英語検定は観光業に関する専門性も学ぶことができるという利点があります。海外旅行でも活かすことのできる知識と英語力が身に付くため、より実用的な資格といえるでしょう。
観光英語検定の試験対策について
ここでは試験対策として、合格のための有効的な勉強方法をご紹介します。おすすめの過去問題集や参考書も載せていますので、ぜひ活用してください。観光業務や旅行をイメージして、楽しみながら取り組むことが、モチベーションを保つコツです。
試験勉強法は?
過去問題や参考書の対策問題を繰り返し解きましょう。出題傾向を把握しながら、観光業の専門的な知識や英語表現を身に付けます。日本の観光名所について、英語で書かれている本を読んだり、海外に行った際は、現地での会話内容に意識を向けておくことも効果的です。「世界遺産検定」や「旅行地理検定」、「旅行業務取扱管理者試験」などの問題集で、関係している箇所を学習する方法もよいでしょう。
観光英語検定1〜3級の過去問題
公式サイトには、1~3級それぞれの過去問題が掲載されています。リスニング試験の音源も聞くことができるので、試験会場をイメージしながら解き進めることができます。解答も載っていますが、解説はないため、理解を深めるためには参考書の過去問題を解くことをおすすめします。
おすすめの参考書紹介
より詳しく分析された試験の傾向と、筆記・リスニング問題が載っています。解説も分かりやすく、内容も幅広くカバーされているため、十分に理解を深めることのできる一冊です。
観光英語検定3回分の過去問題が載っている公式問題集です。問題ごとに解説が付いているため、問題内容を正確に理解し、知識を深めるのに役立ちます。
観光英語検定2~1級に対応した用例集。観光や旅行に関連した英単語がカバーされています。3~2級対応の初級英単語シリーズもあります。合格に向けた英語の語彙力をつけることができます。
検定合格者が語る資格の価値
ここでは実際に検定を受けた方の体験談をご紹介します。観光業従事者だけでなく、さまざまな職種や年齢層の方々が挑戦している資格試験です。
「旅行業に直結した内容の試験」
旅行業で勤務して7年。職場での評価を意識し始めた頃、観光英語検定という資格があることを知りました。あまり馴染みのなかった試験でしたが、調べていくと仕事内容に直結する価値があることが分かり、気づけば試験会場に足を運ぶに至っていました。あれから3年、3級、2級、1級と、結果全ての資格を取ることが出来ました。職場での評価も想像以上で、マンネリ化した仕事内容が価値あるものに変わり、私にとって楽しい仕事場所となっています。(30代 女性 旅行会社勤務・1級合格)
「資格取得の結果、英語力に自信がついた」
観光業に勤めている友人から観光英語検定を勧められました。私は仕事柄、外国人観光客と多く接するため、この資格に価値を見出し受験会場に行くことにしました。結果として2級を取得しましたが、コミュニケーションがスムーズに進むことが多く、外国人観光客からの評価も上々です。様々な場所で活かせる英語力が身に付くので、観光業に特化した人たち以外にもおすすめです。(40代 女性 市役所勤務・2級合格)
「世界の文化や観光名所を学べる」
定年退職して6年。特にこれといった趣味も特技もなかった私が、同窓会で会った旧友から観光英語検定という資格内容の話を聞きました。彼は、色々な場所に旅行に行くことを趣味としており、この資格の2級を取ったと言います。私も時間を持て余していたので、評価や価値に縛られない自由気ままな気分で、気軽に学び始めました。3級を取得した結果、海外に行きたい気持ちが芽生え、今では私の居場所もリビングだけでなく広大な場所に広がっています。(60代 男性 無職・3級合格)
まとめ
グローバル社会をむかえ、仕事や日常生活において外国人とのコミュニケーションが必要となる機会が増えてきました。2020年には東京オリンピック、2025年には大阪・関西万博の開催を控え、英語力だけでなく、観光業についての知識の必要性がますます高まっています。「観光英語検定」は仕事や海外旅行に活かせる知識が満載で価値のある資格です。ぜひ挑戦してみてください。