短期滞在ビザとは
短期滞在ビザとは、外国籍の方が日本に短期間(90日以内)で観光や訪問する際に必要になる在留資格のことです。俗に「観光ビザ」とも呼ばれ、海外を訪問する際に取得したことがある方も少なくないでしょう。今回は日本の短期滞在ビザを中心に、申請方法や要件、手順などについて解説していきます。
日本の短期滞在ビザ
日本の短期滞在ビザには、90日、30日、15日以内の、日数に違いがあるこの3種類に分けられます。この期間、就労活動は認められておりません。報酬を得たい場合は、要件を満たし、改めて就労ビザを取得する必要があります。また、ビザの申請は、申請者本人が現地の日本総領事館、または日本大使館にて行わなければなりません。
短期滞在ビザの必要条件
短期滞在ビザの申請要件は国や理由、期間などによって違いますが、原則的に以下の条件を満たしている必要があります。
①申請人がパスポートを持っていて、帰国することが国に許可されていること。
②提出書類が揃っていること。
③申請人の滞在理由が「入管法」が定める項目に当てはまること。
④申請人が入管法第5条第1項各号(日本上陸拒否の項目)のいずれにも該当しないこと。
延長はできる?
延長は、原則として特別な理由がない限りできないようになっています。ビザは事前に申請した日数に対して許可が下りているものなので、簡単に延長はできないのです。しかし、一応「人道上の真にやむを得ない事情」がある場合は、延長を許可するとされています。怪我をした・病気になったなどの理由がない限りは無理だと考えていいでしょう。
短期滞在ビザ不許可の理由
一度滞在が不許可になると、再申請まで6カ月開けなければなりません。これは何としてでも避けたいことですよね。事例としては、収入を得ようとした・嘘の記載があるなど、ビザについて理解していないせいで不許可になることがあるようです。申請前にきちんと流れを理解し、必要な条件や書類、招へい人との滞在計画の準備などをすることをおすすめします。
招へい人(日本人)が用意するもの
日本に短期滞在するにあたり、求められるのが招へい人と身元保証人です。招へい人とは日本に招待する方のこと・身元保証人とは外国人が日本にいる間に金銭面で面倒を見る方のことをいい、これらは1人で兼任することもできます。招へい人は、いくつか申請書類を書き、申請人(外国人)に送らなければなりません。
用意するもの一覧
用意するものは、親族であるか否かなどの条件でも変わってきますが、主な書類は以下の通りです。これらは外務省のHPでダウンロードできます。
・身元保証書
・招へい理由書
・滞在予定表
・招へい人が複数の場合、その名簿
全て日本語ですし、自署や名前の記入などだけなので、それほど難しいものはありません。
親族・知人訪問
親族・知人訪問の場合、さらに追加で書類が必要になります。親族訪問では銀行通帳や出生証明書など、血縁関係を証明できる書類を揃えなければなりません。知人訪問の場合、双方が知人であるという証明書は存在しませんので、メッセージ履歴や写真などを提出し、信ぴょう性を深める必要があります。
申請人側(外国人)が用意するもの
次に、申請者側(日本に来る側)が現地で用意するものです。こちらも少し複雑で、流れを理解しているかどうかがカギになります。また、申請時に招へい人が用意した書類も提出しなければなりませんので、申請前までに送ってもらいましょう。
申請人側(外国人)が踏む手順・流れ
申請人が踏む手順は、以下の通りになります。
渡航の計画を立てる
↓
必要書類を準備する
↓
最寄りの大使館・総領事館で申請
↓
審査される
↓
旅券を取りに行く
↓
査証発給
↓
日本入国(三カ月以内にすること)
当たり前ですが、審査が通らなかった場合は査証が発給されません。その後半年間は申請ができませんので注意しましょう。
必要書類リスト
主にビザ申請に必要な書類をリスト化しました。ぜひご活用ください。
・ビザ申請書
・パスポート
・写真
・飛行機のチケット(往復)など
・渡航費用を賄えることを証明する書類など
大体はこのような書類が必要ですが、国により異なりますので、必ず外務省のホームページにて申請者の国をご確認ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/index.html#section3
再入国にビザは必要?
短期滞在ビザでは、長期的に滞在する方とは違い、再入国許可は下りません。一度日本を出たら、もう一度査証を取り直す必要がありますが、日本に来る前に一度出国することが分かっていれば数次査証を申請でき、これを発給してもらえると「〇回まで出国し、その後再入国していい」という決まりができます。それ以外で再入国は認められていません。
日本パスポートの短期滞在ビザ事情
観光するだけで短期滞在ビザが必要な国というのも存在し、その場合入国を許可してもらわなければなりません。国によってはESTAなど、独自のシステムを利用するところもありますから、計画の段階でしっかりとビザの要否・入国システムの確認をしておきましょう。
ヨーロッパ
ヨーロッパにある28か国のうち、入国するために査証が必要な国はわずかで、ほとんどがビザなしで短期滞在できます。大半がシェンゲン協定加盟国なので、移動する際に出入国審査がありません。しかし、2021年からはETIA(渡航認証システム)が導入されることが決定し、少々複雑化するので注意しましょう。
アメリカ
実はアメリカは、入国が厳しい国なのをご存じでしょうか。ホームページにも、太い文字で「決して」不要な書類は提出しないでくださいと書かれています。不審な行動を取ると、永久に入国資格をはく奪されてしまうのだとか。ESTAという独自の渡航認証システムや厳しい入国審査、種類豊富なビザがあるのが大国アメリカの特徴と言えます。
短期滞在でビザが必要な国々
日本のパスポートで査証が必要なく、短期滞在ができる国はなんと190か国。数字にしてみると、その多さがわかりますね。しかしその最強の日本パスポートを持っていても査証が必要な国が存在します。以下、アジア付近で観光にビザが必要な国々です。
・北朝鮮
・カンボジア
・インド
・ブータン
・バングラディッシュ
・ネパール
・アフガニスタン
など
ビザ取得までに…
旅行は期間が長くなればなるほどお金がかかり、なるべく節約したい方にとってビザ取得にかかる費用や時間は気になるところです。ビザ取得に時間がかかるとは知らず、出国の日までに間に合わないなんてことは避けたいはずですから、ビザが必要な国には、ビザをしっかり取得してから航空券を購入しましょう。
かかる費用
短期滞在ビザ取得にかかる費用は渡航先によってさまざまです。多くは申請料と手数料を合わせた金額を支払わなければなりません。取得代行などを利用すると、もう少し必要になるでしょう。日本の短期滞在ビザは以下のようになります。
一次有効ビザ | 約3,000円 |
数次有効ビザ | 約6,000円 |
通過ビザ | 約700円 |
これらは申請人のいる地域の大使館・総領事館で現地通貨を使って支払いましょう。
必要な期間・日数
短期滞在ビザ取得までにかかる日数は、通常1週間~10日程度です。書類を揃える時間を合わせると、出発の1か月以上前から準備を始めた方が無難でしょう。日本の短期滞在ビザは、通常申請受理の翌日から起算して5業務日が必要です。業務日ですから、休日は含まれていないことに注意しましょう。慎重な審査が必要になると1か月程度かかることもあるそうです。
まとめ
いかがでしたか。今回は短期滞在ビザについて解説しました。日本に来てもらう場合も、日本から出る場合も必要になる査証。申請前にはきちんと書類・流れに関して理解を深め、滞りがないように努めましょう。