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幻想的な現象「けあらし」はなぜ起きる?見れたらラッキーな珍しい絶景を解説!

幻想的な現象「けあらし」はなぜ起きる?見れたらラッキーな珍しい絶景を解説!

「けあらし」は北海道で起こる、超がつくほどの珍しい自然現象です。大気の温度より海水の温度が高い時に起こる、とても珍しい蒸気霧のことです。そんな見られたらラッキーな、けあらしが起こる場所や条件を解説します!

目次 [表示]

「けあらし」ってなに?

「けあらし」は天気を表す気象用語のひとつで、大気の温度より海水の温度が高い時に起こる、とても珍しい「蒸気霧」のことです。冬の早朝の冷え込みが厳しい時間帯に、水面に起こる白い湯気のような霧のことをいいます。

秋や冬の放射冷却によって冷え込みが強い厳しい朝に発生する、とても寒い朝でないと海で見られない現象のことです。

「けあらし」の発生条件

けあらしが発生しやすい目安になる条件が5つあります。①天気は晴れていること②気温がマイナス15度前後であること③気温と海水の温度差が15度以上あること④東南東の風が吹いていること⑤風速は3~5メートルあることです。

東南東の穏やかな風が吹く気温が下がった早朝に、海面から蒸発した水蒸気が凝結して、けあらしが発生し、海面が幻想的な風景になります。

発生しやすい場所

けあらしが発生する場所は、海岸から1キロメートルから数キロです。大きさは2~3メートルのものから、最大10メートル位とさまざまです。けあらしは大変珍しい、北海道でも一部の地域だけにしか見られません。留萌・函館・釧路・浦河などの地域でよく見られます。

なぜ「けあらし」が生まれるのか

厳しい冬の朝、冷たい空気が陸から海へゆっくりと流れ、海面の水蒸気が冷やされて、その後で蒸発し霧のような現象が起きます。これが「けあらし」と呼ばれる現象です。「東南東に吹く風の時に、けあらしが発生する率が高い」といわれています。けあらしが発生した後は、気温が上昇するので、けあらしは消滅するのです。

「けあらし」を目撃するにはどうすればいいの

神秘的な光景を目撃するためには、天気予報をチェックする必要があります。気象条件を入念に確認が必要です。海へお出かけになる際は、気温が低いので服装には十分気を付けるようにしましょう。

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霧の分類と「けあらし」

海・盆地・山・川に霧が発生します。けあらしは海に発生するので分類では海霧ですが、気象学では一般に海霧とは逆の条件がけあらしです。

海霧は暖かい気流が、冷たい海の上に発生する霧のことをいいます。海霧は初夏から夏にかけて発生しますが、けあらしは厳しい冬の朝に発生するので、海霧と同類ではありません。

海霧

海霧は海の上で発生する霧のことで、蒸発霧よりも移流霧の方が多いです。暖かい湿った空気が冷たい海面の上を移動している間に、下から知らされて飽和して発生します。夏場に三陸沖から北海道の南東部にかけて発生していることが多いです。

川霧

川霧は川の水面に発生する霧のことです。気温より水温が高いときに発生する蒸気霧のひとつになります。夜に放射冷却されて気温が低くなった空気が、弱い風で水面に運ばれると水温が高いので水蒸気が冷却し、再び凝結し霧状になり上空で起きやすいです。

霧の種類

霧の種類は大きく放射霧・移流霧・蒸気霧・前線霧・上昇霧の5つにわけられます。霧は、地表面の水蒸気が凝結して小さな水滴になります。水滴が空気中にフワフワと浮遊している状態のことです。霧の濃さによって、霧と靄に分けられます。

蒸気霧

蒸気霧は水蒸気を多く含んだ空気が、まわりの冷たい空気と混ざりあって飽和まで達したときに発生する霧です。混合霧とも呼ばれることもあります。寒い日、外で吐く息が白く見える湯気と同じ原理です。大きな湖が凍結する前に、非常に冷たい北風が吹くと蒸気霧が現れます。

放射霧

風が弱くてよく晴れた日の夜に、地面が冷えて明け方になり、太陽が昇ると地表面近くの温度が下がり、水蒸気が凝結して放射霧が発生します。風の強い日や雲の多い夜などは放射冷却は弱いので、放射霧は発生しにくいです。山間部の盆地に発生しやすくなります。

移流霧

移流霧は、暖かい空気が温度の低い地面や海面に移り冷やされ、できた水蒸気が凝結してできる霧です。移流というのは気象用語のひとつで、空気の塊が水平に横移動することを言います。

暖かい黒潮の気流の上にあった空気が、南の方から流されて、冷たい黒潮の気流の海面に移り発生する霧で、一般に「海霧」と呼ばれているものです。北海道の東側の海で、多く発生します。

前線霧

前線霧は、温暖前線で長い時間雨が降り続け、空気の湿度が高くなったところに上空からの暖気が、高温の雨粒が地上に落ちてくると発生する霧のことです。風呂場でシャワーを使うと、湯気が立ち込めるのと同じ現象になります。シャワーの温かい水滴が蒸発し、風呂場の空気が飽和して霧が発生するのです。

上昇霧

上昇霧は、空気が風に流されて山の斜面に沿って上昇すると、空気の温度が下がります。透明な水蒸気は冷やされると、水滴へ変わる性質があるので霧が発生する霧のことです。水蒸気が凝縮して霧になるので、滑昇霧とも呼ばれています。

海面を覆う「けあらし」の様子

厳しい寒い朝に出現する「けあらし」の発生する貴重な映像です。発生する条件が揃うと、とても神秘的な光景を見ることができます。けあらしが発生すると高気圧に覆われるので、漁師さんたちは喜びますが、視界が悪くなるので船の航行に支障がでます。

「けあらし」は方言なのか

「けあらし」は北海道の留萌地方の方言です。北海道の方言で大量に発生する水蒸気の意味します。漢字では「気嵐」「毛嵐」と書き「嵐」いうと漢字を使われていますが、実際にはとても穏やかな天気や現象です。北海道の留萌地方で、海上に生まれる霧のことを指すもので、天気に関係する気象用語ではありません。

「けあらし」を表す気象用語

「けあらし」という珍しい現象と同じような意味を持つ気象用語は、蒸気霧になります。蒸気霧は、海だけではなくて湖や沼、川にも発生する霧のことです。現象は似ていますが、意味に違いがあります。「けあらし」は海面に発生する霧のことを指します。

「けあらし」は季語

「けあらし」は地貌季語(ちぼうきご)になるので、俳句などに使われる季語です。俳句を詠んだ土地の方言となるので、季節と結びつく季語として定められています。普通に霧だけだと秋の季語になるのですが、「けあらし」は冬の季語であり、冬に入って立ち込めている霧のことです。

「けあらし」は条件が揃うとみられるのか

立山連峰が望める雨晴海岸で、けあらしの現象が確認されています。「けあらし」は、北海道のような極寒の地に起こる現象イメージが強いですが、必ずしもそうではないということです。冬になると空気と海水が冷えて温度差が小さくなることもあります。温度差が少ないと、けあらしは発生しません。

けあらしとダイヤモンドダストの関係

けあらしが発生した朝は、ダイヤモンドダストが発生するといわれています。霧となって空に舞い上がった水蒸気が凍って、それが太陽に照らされてダイヤモンドのようにキラキラと輝いて見える現象が起こることです。ある日突然、とても幻想的な光景に出会える可能性があります。

「けあらし」以外に真冬の朝に起きる神秘的な光景

真冬の厳しい朝には普段では見られないような、神秘的なことがいろいろと起こります。その現象のひとつが「けあらし」です。他にも神秘的な光景が冬の朝に見ることができ、どのような現象か起こるのかそれぞれ紹介します。

凍った湖面がお花畑に「フロストフラワー」

フロストフラワーは冬になって湖が氷で覆われてくる頃に現れます。白い花のように見えるこのフロストフラワーも発生するのに条件が必要です。フロストフラワーは水蒸気が結晶したもので、霜の花になります。

霜の花ができるのには「気温がマイナス15度、風がまったくない無風で湖面の氷が厚くない、積雪なし」という条件です。阿寒湖では条件が揃うと3月まで見られます。

冬の風物詩「波の花」

波の花も厳しい寒い冬の朝、荒波にもまれて発生するものです。海中にフワフワと浮遊する植物プランクトンの粘液が、石鹸上になり白い泡になって時間が経つと薄い黄色に変わっていきます。見どころは11月から2月頃の寒くて波の高い日です。

「けあらし」を一度は見てみたい

けあらしは、条件が揃わないと見ることのできない珍しい現象です。留萌市では、けあらしに関する予報なども市のホームページに記載があります。珍しい「けらあし」を見れるチャンスは少ないので、けあらしについての情報を得て幻想的な光景をご覧になってみてはいかがでしょうか。

sadia
ライター

sadia

バスガイドという職業をしていたせいか、旅行に行くことが大好きです。京都が好きで、月に一度は訪れています。海外へは年に3~5回は出かけ、特によく行くのが韓国で、チェジュ島には散歩に行くみたいによく行きます。アジアが好きなので、タイ・ベトナム・カンボジアなど世界遺産に登録されてる場所には、必ず行くようになりました。今では遺跡巡りをするのがライフスタイルになっています。遺跡を見て感動したのは、古代ヒッタイトの遺跡があるトルコのボアズカレとインダス文明が栄えたパキスタンのモヘンジョダロなどはもう一度時間をかけて訪れてみたいです。

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