ヌタウナギの生態は?
和名 | ヌタウナギ(沼田鰻) |
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分類 | 無顎口上綱ヌタウナギ綱 |
ヌタウナギはウナギと名が付きますが、分類・生態ともにニホンウナギとはかけ離れています。ヌタウナギはせきつい動物の祖先ともいわれる古代生物の1種で、分類上は魚類ではありません。ヌタウナギには骨が一切なくて背中には軟骨が通っており、ヒレは尾ビレだけで、目は皮ふの下に埋まっています。
日本近海では浅場に生息
生息地 | |
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日本近海 | 中部地方以南の沿岸部 |
世界 | 温帯域の深海 |
ヌタウナギ類は世界の温帯域の深海に生息しますが、日本の近海における生息地は水深が数~数十メートルの浅場です。日本の近海に生息するヌタウナギは中部地方から南の沿岸に多く、夜行性で夜の漁港・堤防・漁船などからよく釣れます。
大量の粘液で身を守りエサをとる
ヌタウナギはまとまった量の粘液を出すことで生き物を窒息させ、身を守ったり、エサを捕まえたりするのが特徴です。
粘液は体の側面にならんだ多くの粘液腺から放出されるとゲル状にふくれ上がり、近づいた生き物の器官にまとわりつきます。ヌタウナギは基本的に死んだ大型魚をエサにしますが、生きた多毛類・頭足類・甲殻類なども粘液で捕まえて食べるそうです。
釣り人には嫌われがち
ヌタウナギはアナゴを狙うときにかかる外道として有名で、釣り人には嫌われています。ヌタウナギは重たいほどの量の粘液で網をこわしたり、かかった網の中で別の魚を食うためです。ヌタウナギは生命力は強いものの繁殖力は弱いので、今後もむやみに捕りすぎないようにしましょう。
粘液のせいで大きな交通事故に発展
アメリカでは2017年にヌタウナギの粘液のせいでハンドルをとられ、自動車を複数台も巻き込む大きな事故が起こりました。大量のヌタウナギはトレーラーで水槽に入れられて運ばれている最中で、トレーラーが横転したため道路にまき散らされたそうです。
粘液の成分はムチンと繊維
ヌタウナギの粘液の成分はムチンと、大量の細かい繊維であり、成分のなかの繊維の強度が注目されています。
ナイロンは石油から合成するため代わりの素材を求められていて、ヌタウナギの粘液はふくまれる繊維の成分がナイロンより丈夫です。ヌタウナギの粘液は実用された例はありませんが、新しい素材の可能性が研究されています。
味が絶品のヌタウナギを食べてみよう!
ヌタウナギはウナギといいつつ、タコやホルモンのような食材!骨がなくてさばき方や料理法も簡単!
ヌタウナギはコリコリとした歯ごたえがあってうま味も強く、おいしい食材の1つです。ヌタウナギの生態には変わった特徴が多く、粘液や見た目の気持ち悪さも手伝って、日本では一部の人にしか食べられていません。ヌタウナギは骨が一切ないのでさばきやすく、食べ方はコチュジャン炒めや干物が人気です。
出典:Pexels