バチカン美術館は予約必須！行く前に知っておきたい基本情報をご紹介！

美術に関心が薄い人でも「バチカン美術館」の名を知らない人はいないでしょう。「教科書で見た」ような世界的に有名な傑作が目白押しで、世界中から観光客をひきつけています。永遠の都・ローマを象徴するような荘厳な空間も、まさに感動的です。

コロッセオ、トレビの泉、スペイン広場。ローマの観光名所は数あれど、その魅力は「バチカン」にはかないません。世界中に信者がいるローマ・カトリック教会の総本山は、ローマとキリスト教の、2000年におよぶ歴史や文化が凝縮されています。まさに「ここにしかない」空間です。

バチカン美術館の展示室は、絶大な権力をふるったローマ教皇が、住居として使用していた宮殿を元に造られています。2000年の歴史を積み重ねてきたイタリア・デザインのセンスは、世界最高峰。豪華絢爛さと落ち着きが両立しており、見る者を疲れさせません。ギリシャ・ローマ時代の彫刻やルネサンスの巨匠たちの傑作とも完璧に調和しています。

「バチカン美術館」は、歴代の教皇が収集した美術品を展示する美術館です。一方「サン・ピエトロ大聖堂」は、ローマ・カトリック教会の総本山の祈りの空間で、室内には数多くの一級の美術品が展示されています。「バチカン美術館の展示だけでは、バチカンの美しさをすべて味わえない」と、頭に入れましょう。

見どころあふれるバチカン美術館には、世界中から観光客がやってきます。当日のチケット購入行列の長さはすさまじく、「世界最悪」という人もいるくらいです。ローマ旅行が決まったら最優先でスケジュールを立て、やり方は比較的簡単なのでチケットを予約しましょう。

バチカン美術館の入口から、美術館を取り囲む高い壁沿いの歩道に、数百メートルの行列が頻繁に発生します。セキュリティ・チェックに時間がかかる上に、予約チケット所持者の入館が優先されるため、行列は遅々として進みません。2時間以上待つことも頻繁にあります。

日本では美術館の入場チケット事前予約はほとんどありませんが、世界の著名美術館では「当たり前」になってきました。「当日の行列や混雑を避けられる」という鑑賞する側のメリットは、時間が貴重な海外旅行では絶大です。バチカン美術館でも、事前予約が強く推奨されています。

入場日時指定ができる観光スポットの事前ネット予約は、多くが現地語＋英語で公式チケット販売サイトが用意されています。バチカン美術館には日本語公式サイトはありませんが、中学生レベルの英語力で大丈夫です。少し手数料を上乗せすれば、日本語で安心して予約できる公認サイトもあります。

バチカン美術館の入場チケット料金は、大人17ユーロ（約2,000円）です。日本の美術展料金より少し高い感覚を受けますが、一日中楽しめることを思えば、かなりリーズナブルでしょう。

チケット販売サイトでは「バチカン美術館とシスティーナ礼拝堂」と選択肢が表示されますが、各々だけを鑑賞できるチケットはありません。

入場チケットの事前予約は、公式サイトが最もお得です。入場料金に追加されるネット予約手数料が、4ユーロ（約500円）で済みます。

英語ですが、日付／時間／人数といった基本的な情報を入力するだけです。クレジットカードで事前決済できるので現金不要。登録したメールアドレスに送られてくるバーコードを印刷するか、スマートフォンの画面を提示すれば入場できます。

英語に不安な方には、少しだけ料金がかさみますが、安心の日本語サイトもあります。世界中の現地ツアーチケットを日本語で予約できる「GET YOUR GUIDE」がおすすめ。

バチカン美術館公認のため安心、行列することなくスムーズに入場できます。追加料金は11ユーロ（約1300円）と、公式サイトより7ユーロ高いですが、日本語で完結できるメリットは大きいでしょう。

バチカン美術館は、パリのルーヴル美術館のように巨大な美術館です。そのため見どころの事前の予習をしておかないと、当日になって見学の時間配分にあわてかねません。バチカン美術館は、あくまで教会の付属施設です。行事や礼拝の都合による臨時休館が少なくなく、開館スケジュールも一定しないことにもご注意を。

バチカン美術館は、小さな建物でできた複数の美術館の集合体です。狭い通路や階段の移動も多いことから、一方通行も少なくありません。そのため海外の美術館では珍しく、見学順路が矢印で表示されています。半面、途中で引き返すのは難しいことにご注意ください。

日本語版はありませんが、英語の館内マップを必ず公式サイトからダウンロードしましょう。番号順に各美術館を進むと、見学順路が一周できるよう表示されています。見どころを事前に絞り込む、同行者との集合場所を決めておく、いずれにも必須です。バチカン美術館内の案内表示は、イタリア語と英語しかありません。事前に英語表示になれるためにも、ぜひ予習してください。

バチカン美術館の開館時間は「9～18時」が基本ですが、入館は16時までと早いのでご注意ください。休館は毎週日曜日です。毎月最終日曜日は14時まで開館、夏期の金曜日は夜間開館あり、礼拝の都合によるクローズ、と例外も多数あります。英語ですが、公式サイトで当日の開館情報を事前に必ず確認しましょう。

サン・ピエトロ大聖堂の開館時間は「7～19時」が基本、10～3月の冬季は閉館時間が30分早くなります。休館日はミサが行われる日曜。入場料金は無料です。アサイチ7時を除き、入場待ち行列はバチカン美術館と同じく「世界最悪」と思ってください。前述した「GET YOUR GUIDE」で、入場日時を指定できるチケットの事前予約を強くおすすめします。

日本の寺社では「脱帽」以外、ほとんどとがめられませんが、海外の宗教施設では注意が必要です。

• 肩を出すノースリーブ
• 足のひざ上が出る短パンやミニスカート
• 帽子の着用

ギリシャ・ローマ時代の彫刻に加え、イタリア・ルネサンスの二人の巨匠、ミケランジェロとラファエロ。バチカン美術館が世界に誇る傑作が最大の見どころです。障壁画や天井画など取り外せない絵画や、大きすぎて動かせない彫刻も少なくありません。まさに「日本で行われる展覧会」では絶対に見られない傑作が目白押しです。

世界で最も有名な美術館、パリのルーヴル美術館は、西洋美術のあらゆるジャンルを網羅しています。見どころは「百貨店」のように総花的です。一方、バチカンはさながら「ファッションビル」。聖書や神話のシーンを描いた古典絵画や、ギリシャ・ローマ時代とルネサンスの彫刻に、選択と集中がなされています。質の高さも世界最高峰です。

ルネサンスといえば「ミケランジェロ」、バチカンには彼の最高傑作が2つあります。

1. サン・ピエトロ大聖堂の「ピエタ」、聖母マリアがキリストを抱きかかえる姿は感動的
2. システィーナ礼拝堂の「最後の審判」、巨大な壁面に描かれた神々の躍動感は圧巻

16c初頭のサン・ピエトロ大聖堂の建て替えプロデュースを、ミケランジェロと共にリードしたのが、ラファエロです。「ラファエロの間」と名付けられた教皇のオフィスには、彼の最高傑作が集約されています。その一つは、教科書で見たことも多い「アテネの学堂」。イタリア人の世界観が見事なデザインで表現されています。

バチカン美術館を過去3回訪れたことがある筆者の体験に基づき、スケジュールに応じた見学コースをご紹介させていただきます。ご紹介するコースはいずれも「入場チケットを予約済み、入場行列の待ち時間を想定していない」が前提とお考えください。

1. 順路4.ピオ・クレメンティーノ美術館で古代ギリシャ彫刻の傑作「ラオコーン」
2. 順路10.ラファエロの間で「アテネの学堂」
3. 順路12.システィーナ礼拝堂でミケランジェロ「最後の審判」
4. 順路19.ピナコテカで、ダヴィンチ「聖ヒエロニムス」

バチカン美術館見学時間のおすすめは「丸一日」。隣接するサン・ピエトロ大聖堂とあわせ、見どころをほぼ押さえることができます。

• 順路4.ピオ・クレメンティーノ美術館、男性肉体表現の美しさに見とれる「ベルヴェデーレのトルソー」
• 順路19.ピナコテカ、カラヴァッジオによる生々しい描写「キリストの埋葬」

「バチカン美術館を堪能するには？」答えは丸2日です。館内の渋滞による時間ロスをふまえても、バチカン美術館への好奇心を完璧に満たす見学ができるでしょう。ミュージアムショップやカフェの時間も充分に取れます。サン・ピエトロ大聖堂の中心の円蓋の上「クーポラ」からローマ市街を見渡せる絶景も、余裕をもって楽しめるでしょう。

バチカン美術館を訪れると、ここにしかないセンスにあふれた建物空間と展示に、感動を覚えない人はほとんどいません。そんな感動の記憶をより鮮明にするために、おすすめのテクニックをご紹介します。楽しい思い出をしっかりと残してください。

約400点の展示品をカバーするオーディオガイドがあれば、バチカン美術館の見どころを聞き漏らすことはありません。当日のレンタルは、在庫が出払っていることがよくあります。入場チケットと一緒に事前予約しましょう。追加料金は、7ユーロ（約840円）です。

システィーナ礼拝堂など一部の展示室を除いて、私的利用の範囲でバチカン美術館の展示作品は写真撮影OKです。日本の美術館ではほとんどできない写真撮影を、バチカン美術館ではたっぷり楽しむことができます。フラッシュ／三脚／自撮り棒の使用はNGです。

ローマは世界有数の観光都市です。日本の京都と同じように、有名観光スポットの混雑は尋常ではありません。予約できないなら行列もやむをえませんが、予約できるなら使わない手はないでしょう。バチカン美術館は、ローマ観光の主役です。主役を押さえれば、ローマの楽しい思い出を残せること、間違いありません。