目次 [表示]
- スリランカ紅茶は日本人になじみ深い味
- 紅茶の基礎知識
- 3タイプある紅茶の種類
- 紅茶の銘柄は産地名
- スリランカ紅茶の3つの特徴
- 特徴①:茶葉の種類が豊富
- 特徴②:バランスがよく飲みやすい風味
- 特徴③:良質な高級茶としても有名
- スリランカ紅茶がおいしい2つの理由
- 理由①:恵まれた気候と水
- 理由②:国による徹底管理
- スリランカの紅茶の歴史
- コーヒーがダメになり紅茶栽培へ
- 紅茶産業の発展に寄与した2人の英国人
- スリランカ紅茶の高級な銘柄:2選
- 1:ウバ
- 2:ヌワラエリヤ
- スリランカ紅茶の初心者におすすめの銘柄:2選
- 1:ディンブラ
- 2:キャンディ
- スリランカ紅茶のおすすめブランド:3選
- 1:トワイニング社
- 2:ジョージスチュアートティー社
- 3:ディルマ社
- スリランカ紅茶には7つの銘柄がある
スリランカ紅茶は日本人になじみ深い味
スリランカは世界で3位の紅茶生産量、2位の紅茶輸出量を誇る紅茶大国で、栽培を始めた当時の地域名にもとづく「セイロンティー」の名で知られています。日本の最大の輸入先であり、「午後の紅茶」や「紅茶花伝」などのペットボトル紅茶にも用いられ、日本人に一番なじみのある紅茶でしょう。
何気なく口にしていた紅茶も、知識を深めると味わいが増すので、紅茶好きでない方もご一読ください。
紅茶の基礎知識
スリランカ紅茶について見ていく前に、まずは、紅茶についての少しややこしい知識を簡単に解説します。紅茶の原料は、ほかのお茶全般と同じ植物「チャノキ」であり、中国発祥の緑茶やウーロン茶よりも発酵を進め、欧州人好みの風味にしたお茶が、大国の影響力により世界的に定着しました。
3タイプある紅茶の種類
名称 | 茶葉 | 代表的な銘柄 |
---|---|---|
ピュアティー | 1つの銘柄 | ダージリン |
ブレンドティー | 複数の銘柄 | ロイヤルブレンド |
フレーバーティー | 茶葉+香料 | アールグレイ |
紅茶には3種類あり、茶葉を配合するかどうか、茶葉に香付けをするかどうかで区別します。茶葉本来を楽しめる単一銘柄は、時期により品質・風味・価格が安定せず、複数を配合して補う紅茶が増え、香りを上乗せするフレーバーティーが生まれました。
紅茶の銘柄は産地名
紅茶の種類 | 銘柄とは |
---|---|
ピュアティー | 産地名 |
ブレンドティー | メーカーごと |
フレーバーティー | メーカーごと |
茶葉の個性を決める大きな要因は、産地の気候風土であるため、単一銘柄のピュアティーの多くは産地名を銘柄にしています。ブレンドティーやフレーバーティーの場合、ロイヤルブレンドやアールグレイなどの有名な銘柄は、多くの店が扱っており、配合が店の技術の見せどころです。
スリランカ紅茶の3つの特徴
世界中に多くのファンを持つスリランカ紅茶には、多くの人々に好まれる理由ともいえる3つの大きな特徴があります。スリランカ紅茶とは、どのような紅茶であり、人々を惹きつけている魅力はいったい何なのでしょうか。
特徴①:茶葉の種類が豊富
スリランカ紅茶の1つ目の特徴は、スリランカ産茶葉100%の紅茶の総称であり、茶葉には7つの銘柄があることです。セイロン島は、沿岸部から中央山岳地帯にかけて標高差が大きく、甘いフルーティ系からすっきり系まで、さまざまな種類の茶葉が育ちます。
それぞれの銘柄は、茶園の標高別に3種類に分けられ、高地の種類ほど高品質で高級とされます。
産地区分①:ハイグロウンティー(高地産)
スリランカ紅茶のうち、約1,220メートル以上の標高にある茶園で栽培される紅茶は「ハイグロウンティー」に分類され、おもな銘柄はウバ・ヌワラエリヤ・ウダプセラワ・ディンブラです。水色(すいしょく・茶の色合い)は明るく澄み、爽やかな渋み・かぐわしい香りがストレートにふさわしく、ミルクティーにも合います。
産地区分②:ミディアムグロウンティー(中地産)
スリランカ紅茶のうち、約610~1,220メートルの標高にある茶園で栽培される紅茶は「ミディアムグロウンティー」に分類され、おもな銘柄はキャンディです。暗めで鮮やかな水色・ハイグロウンティーより弱い渋みと強いコク・程よい香りを持ちます。
癖がなく、ほかの茶葉の引き立て役としてブレンドティーによく使われるほか、さまざまな飲み方でおいしくいただける万能茶葉です。
産地区分③:ロウグロウンティー(低地産)
スリランカ紅茶のうち、約610メートル以下の標高にある茶園で栽培される紅茶は「ロウグロウンティー」に分類され、おもな銘柄はルフナ・サバルガムワです。気候の変化がほぼなく、茶葉への刺激が少ないため、渋み・香りは弱く、高温多雨により濃い水色・濃厚な甘い味わいになります。
コクがあってミルク・砂糖・果汁と相性のよい種類で、甘くして飲むロシア・中近東の定番茶葉です。
特徴②:バランスがよく飲みやすい風味
スリランカ紅茶の特徴の2つ目は、銘柄が多く風味の種類は幅広い一方で、いずれもバランスがよく、紅茶を飲みつけない人でも飲みやすい風味であることです。銘柄ごとに個性はありますが、四季のあるインドや中国で育つ銘柄に比べると、気候の変化が小さい熱帯のスリランカ産は角のない味わいを持ちます。
特徴③:良質な高級茶としても有名
スリランカ紅茶の特徴の3つ目は、品質が良く、特にハイグロウンティ―は「おいしい紅茶」と称される要素を兼ね備えており、高級茶葉として知られていることです。そもそも色・香り・味の3つを楽しむ飲み物である紅茶は、飲む人の好み以前の段階で、3要素が優れている紅茶が高級品とされます。
スリランカ紅茶がおいしい2つの理由
スリランカ紅茶は良質な紅茶として知られ、なかでもハイグロウンティ―は、澄んだ水色・かぐわしい香り・爽快な渋みと程よいコクを持つ「おいしい紅茶」として有名です。スリランカ紅茶のおいしさは、どのようにして生み出されるのかを以下で見ていきましょう。
理由①:恵まれた気候と水
スリランカ紅茶のおいしさを生む1つ目の理由は、紅茶栽培にぴったりの雨・気温・土・日差しがそろい、おいしさを加える気候条件にも恵まれているためです。十分な降水・日本の春~初夏くらいの冷涼な気温・水はけのよい痩せた土・強い日差しが紅茶を育て、強い季節風や高山地区の霧が、茶葉に香りや渋みをつけます。
紅茶の名産地が多いティーベルト
紅茶栽培に向く気候風土は、亜熱帯や、熱帯の高山地区に多く、おもな産地が集中する一帯を「ティーベルト」と呼びます。茶葉の風味づけに重要な霧が発生しやすく、量・質ともに優れた産地帯で、世界の紅茶の8割は、ティーベルト上のインド・ケニア・スリランカ・インドネシア・中国産です。
理由②:国による徹底管理
スリランカ紅茶のおいしさを生む2つ目の理由は、国営の「スリランカ紅茶局」主導で厳正な管理をしているためです。栽培~製品化に細かく基準を設けているうえ、量産ではなく歴史ある手摘みや伝統製法を用いて、良質な茶葉のみを、風味を損なわずに製品化しています。
ちなみに、スリランカは環境対策が進んでおり、無機農薬栽培で、人だけでなく環境にもやさしいのも魅力です。
「ライオンロゴ」は安心安全な紅茶の印
「セイロンティー(Ceylon tea)」は、「スリランカ産の茶葉100%で、栽培~製品化まですべて国内作業である紅茶」として商標登録されています。鮮度の高い良質な茶葉で、本来の個性を堪能したい方は、スリランカ国旗と同じライオンが描かれた「ライオンロゴ」を目印にお探しください。
スリランカの紅茶の歴史
スリランカの紅茶栽培の歴史は、19世紀のイギリス植民地時代に、中国産しかなかった紅茶を自給するべく、イギリスが新たな産地として目を向けたことに始まります。植民地支配の歴史である反面、実はスリランカの産業を立て直す救世主でもあった紅茶産業について、簡単に見ていきましょう。
コーヒーがダメになり紅茶栽培へ
セイロン島は、貿易の中継地・生産地として、長らくヨーロッパの植民地にされていた歴史があります。19世紀にはコーヒーの輸出が世界上位になり、地域の主要産業でしたが、持ち込まれた病害で破綻。
支配国イギリスは、本国で流行中の紅茶を栽培しようと試み、適した気候風土・イギリス人の試行錯誤・スリランカ人農家の尽力により、スリランカは紅茶名産国になりました。
紅茶産業の発展に寄与した2人の英国人
イギリス植民地時代に始まったスリランカの紅茶産業が、世界規模に成長した歴史には、2人のイギリス人功労者の存在があります。1人は、品種や栽培・製茶技術を改良し、産業の土台をつくったジェームズ・テイラーです。
もう1人は、スリランカ産にこだわり、莫大な売り上げを誇ったリプトンの創業者トーマス・リプトンであり、名を世界的にしたと語り継がれています。
スリランカ紅茶の高級な銘柄:2選
品質の良いスリランカ紅茶のなかでも、見た目・香り・味ともに優れた高級品とされるハイグロウンティ―の銘柄が2つあります。紅茶を飲みつけない人は、次の章の「初心者向け」銘柄から始めるのがおすすめですが、紅茶好きであれば一度は試してみたい個性ある高級茶葉です。
1:ウバ
水色 | 澄んだ濃いオレンジ色 |
---|---|
香り | ★★★★★ |
渋み | ★★★★★ |
コク | ★★★★☆ |
甘み | ☆☆☆☆☆ |
スリランカ紅茶の有名な高級銘柄「ウバ」は、インドのダージリン・中国のキームンとともに、世界三大紅茶に名を連ねています。澄んだ水色・爽やかな香り・心地よい渋みとコクはミルクティー向きですが、7~9月の旬に現れる独特のメンソール香は、ストレートで味わうのがおすすめです。
2:ヌワラエリヤ
水色 | 澄んだ淡いオレンジ色 |
---|---|
香り | ★★★★★ |
渋み | ★★★☆☆ |
コク | ★☆☆☆☆ |
甘み | ★★☆☆☆ |
スリランカ紅茶の高級な銘柄の2つ目は、スリランカ最高地で作られる「ヌワラエリヤ」で、すっきりとしたストレートティー向きの茶葉です。澄んだ淡い水色・清々しく繊細な香り・程よい渋みで、緑茶のように後味がさっぱりしており、日本人には飲みやすいでしょう。
スリランカ紅茶の初心者におすすめの銘柄:2選
紅茶を飲みつけていない人にとっては、香りや渋みの強い紅茶は、飲みにくく感じることも少なくありません。角のない風味が特徴のスリランカ紅茶の中でも、特に紅茶初心者や、「紅茶の香りや渋みがあまり得意ではない」という人にも飲みやすい銘柄が2つあります。
1:ディンブラ
水色 | 澄んだ鮮紅色 |
---|---|
香り | ★★★★☆ |
渋み | ★★★★☆ |
コク | ★★★☆☆ |
甘み | ★★☆☆☆ |
紅茶初心者におすすめの銘柄の1つ目は、日本でも定番の「ディンブラ」で、癖のない味わいは、飲み方を選びません。ハイグロウンティ―の中では低地であり、寒暖差・日差しなどの刺激が小さい分、まろやかです。澄んだ水色・優しい花香も持ち合わせ、高品質と飲みやすさを両立しています。
2:キャンディ
水色 | 濃い赤橙色 |
---|---|
香り | ★★★☆☆ |
渋み | ★★☆☆☆ |
コク | ★★★☆☆ |
甘み | ★★★☆☆ |
紅茶初心者におすすめの銘柄の2つ目は、中~低地で栽培されている「キャンディ」です。癖がなくまろやかな味はディンブラと近いですが、渋みや香りがより弱く、誰でも飲みやすいでしょう。ほのかな甘い香りとさっぱりした味は、何と合わせてもおいしく、澄んだきれいな水色を楽しむアイスティーもおすすめです。
スリランカ紅茶のおすすめブランド:3選
数あるブランドの中でも、スリランカ紅茶を扱うブランドの、シーン別のおすすめと商品をご紹介します。自分用に、プレゼント用にどのブランド・商品がよいか悩んでいる方、紅茶に興味のある方は、ご参考にお使いください。
1:トワイニング社
紅茶初心者におすすめの紅茶ブランドは、紅茶大国イギリスでもっとも歴史のある紅茶専門店「トワイニング」です。ロンドンで紅茶が流行る前に開業し、ヴィクトリア女王時代以降は英国王室に献上している一級品ですが、スーパーやネットで手ごろに買えます。
紅茶は淹れ方も重要で、リーフタイプより、時間を計るだけのティーバッグの方が確実に味を楽しめるため、初心者にはおすすめです。
2:ジョージスチュアートティー社
プレゼントにおすすめの高級な紅茶ブランドは、イギリス人兄弟が開いたスリランカ最古の紅茶専門店「ジョージスチュアートティー」です。1835年創業の老舗で、スリランカ茶葉100%・製品化まですべて国内作業の2つを徹底するブランドの1つであり、イギリス本土のお墨付きでもあります。
風格のある木箱がプレゼントにぴったりで、リーフタイプの缶は丸みのある形がおしゃれです。
3:ディルマ社
スリランカ土産の定番になりつつあるスリランカ紅茶ですが、お土産におすすめの紅茶ブランドは「ディルマ」です。独立国となってからも、スリランカ人には紅茶を売る権利のない状況を変えるべく、現地で立ち上げた初ブランドでした。
品質にこだわり鮮度抜群の茶葉を提供し、売り上げはスリランカ社会に還元する姿勢は、純スリランカ紅茶をリードしています。
スリランカ紅茶には7つの銘柄がある
スリランカ紅茶は飲みやすく、好みに合わせて銘柄を選べるのが魅力!
スリランカは島の標高差が大きいため、紅茶は産地次第で風味が大きく異なり、7つの銘柄に大別されます。紅茶のおいしさには、銘柄はもちろんですが茶葉の鮮度も重要ですので、本場スリランカへ足を延ばしてはいかがでしょうか。
スリランカ紅茶ってどんな紅茶?