耳抜きを簡単にする方法は?
耳抜きってうまくいかないんだよなぁ。何かコツはないのかな?
耳抜きは耳抜きの仕組みを理解することが大切で、動きの意味を意識して行うと簡単にできる場合が多いです。耳抜きは意味をわからずに力任せに行ったり、立て続けに行ったりするとうまくいかないばかりか、耳を傷めます。
耳抜きに失敗する原因には体質や、ダイビングであればタイミングが遅すぎることなども多いです。
耳抜きの仕組み
耳抜きのメカニズムを知る前に耳から鼻の大体の構造と、耳が詰まる仕組みを押さえましょう。
耳は外耳と中耳を鼓膜が隔て、中耳は耳管という細い管で鼻・喉へとつづいています。耳管の入口は基本は閉じて中耳を密閉していて、周囲の気圧が急変すると中耳の気圧だけが変わりません。外耳と中耳で気圧が違うと鼓膜は気圧の低いほうにへこむので、聞こえの違和感や耳の痛みを覚えます。
耳管を開いて気圧をそろえる
耳抜きは耳管を開いて肺からの空気を中耳に送ることで、中耳の気圧を外耳とそろえるメカニズムです。中耳と外耳の気圧がそろうと、鼓膜にかかっていた片側からだけの圧力がなくなり、へこんだ鼓膜は垂直に張った状態に戻ります。
空気を送ったり周囲を動かしたりして耳管を開く
耳抜きで耳管を開くには耳管へ肺からの空気を送ったり、耳管の周りの筋肉を動かしたりします。地上では鼻をかんだり、あくびをしたり、つばを飲んだりした拍子に耳の詰まりが治ることも多いです。
鼻や喉に炎症があると「耳管狭窄症(きょうさくしょう)」という耳管が腫れて狭まる病気になりやすく、耳抜きが難しくなります。
耳に水が入ったときは水を出すか乾かす
耳の中に水が入って聞こえに違和感があるときは、耳抜きとは異なり耳の水を出すか乾かすかします。水を出す場合は水の入った耳を下に向けて軽く飛ぶか、耳の後ろを引っ張って頭をかしげてみてください。水を乾かす場合はドライヤーで、やけどしないように耳からしっかりと離しつつ温めましょう。
水の入った耳に綿棒やこよりを入れると外耳を傷つけて、外耳炎になる恐れがあります。
耳抜きの簡単な方法
耳抜きは鼻をつまんで行う方法が簡単で、なかでもバルサルバ法が広く知られており耳抜きを初めてやる人におすすめです。耳抜きには複数の方法があるので、バルサルバ法に限らず試してみて一番やりやすい方法を見つけましょう。
鼻をつまんで行う方法は力任せにやったり、立て続けにやったりするとかえって耳を傷めるので注意してください。
バルサルバ法
バルサルバ法は肺の空気を耳管まで送りこみ、空気を送った圧力で耳管を押し開ける方法です。口から息を軽く吸って口を閉じ、鼻をつまんで鼻をかむつもりで力み、空気を鼻ではなく耳へ送ります。力むときは耳を傷めないように弱く始めて徐々に強めていき、耳の感覚が変わったら成功です。
フレンツェル法
フレンツェル法は口の中に含んだ空気を耳管へ送り込む方法で、3つの方法のなかでは耳にかかる負荷がもっとも小さいです。息を吸って口を閉じて鼻をつまんで、声門も閉じたら舌の根元を上あごに付ける感覚で持ち上げます。声門が閉じた状態とは「あー」と言いながら喉に力を入れ、声が出なくなった状態です。
トゥインビー法
トゥインビー法は耳管の近くの筋肉を動かすことで耳管を開き、鼻にあった空気を耳管に送り込む方法です。鼻をつまんでつばを飲みこみ、耳のあたりで何かが動く感覚があり耳の違和感がとれます。似た方法には鼻をつままずにつばを飲みこむえん下法があり、トゥインビー法・えん下法はともに体質によってはできません。
地上や飛行機での耳抜きのコツ
地上や飛行機内にいるときに耳抜きをするコツは3つで、コツを実践するだけで耳の詰まりがとれる場合もあります。地上で耳が詰まる場面は、登山・高層階のエレベータ・鉄道や高速道路のトンネルなどです。飛行機内では機体が離着陸するときに、高度とともに気圧が一気に変わって耳が詰まります。
ガムやアメを食べる
ガムやアメを食べるとあごを動かしたり、飲みこんだりする動きによって耳管の近くの筋肉を動かし耳管を開きやすくします。食べるときは口やあごの周りの筋肉をほぐすことを意識して、ガムは30分くらいかけて奥歯でよくかみましょう。
ガムやアメは高度が大きく変わる前にあらかじめ食べておくとよく、違和感を覚えてから口にする場合は飲み物も効果的です。
鼻通りをよくする
鼻通りをよくすると鼻から耳管へ空気が行きやすくなるので耳管を開きやすくし、鼻をかむ動作で耳が抜けることもあります。風邪や鼻炎を患っているときは数日前から薬を服用して鼻や耳管の炎症を抑え、鼻水・鼻詰まりもなくしておくのがおすすめです。
耳の裏や首をほぐしておく
気圧の変化がある前に耳の裏や首をほぐしておくと、顔の筋肉のこわばりが解けて耳管を開きやすいです。首は耳の付け根から首筋を指で優しくなぞり、耳は耳たぶの裏の頭蓋骨の先にある柔らかい部分を指の腹で優しくさすりましょう。
小鼻のふくらみの脇にある迎香というツボを指で押さえ、ツボと同じ側の耳を上部・中央部・下部に分けて引っ張る方法もあります。
ダイビングでの耳抜きのコツ
ダイビングでの耳抜きのコツは潜るまでに体調を整えておくことと、水中では正しい方法で耳が痛む前に行うことです。
ダイビングはマスクをつけタンクの乾いた空気を吸っているので、地上よりも耳抜きに苦労します。ダイビングをする前に地上で苦もなく耳が抜けるまで練習し、潜る前には地上での3つのコツも済ませておきましょう。
前日はアルコールを控えて睡眠を十分にとる
ダイビングの前日はアルコールを控え、しっかりと睡眠をとって体の疲れをとっておきましょう。アルコールは前日に大量にとった場合、耳管はむくんで狭まり開きにくくなってしまいます。体に疲れが残っている場合は筋肉がこわばってしまうので、うまく力が伝わらず耳抜きがしにくいです。
呼吸を整えて鼻と口をしっかりと閉じる
水中で耳抜きをするときは呼吸を整えて力を抜き、空気を軽く吸ったら鼻と口から空気が逃げないようにしっかりとふさぎましょう。
口は舌を上あごにつけて「ん」と発音するときのようにし、鼻は下方から指を添え、マスクの上から鼻をつまんで軽く押しつけます。鼻をつまむのが難しいときは、鼻の下に指をあて鼻の穴をふさぐ方法も試してください。
水面から耳抜きをこまめにしつつ潜る
潜る前に水面で耳抜きをして耳管を開いておき、潜り始めてからは耳が痛む前にこまめに耳抜きを行ってください。耳抜きをせずに潜っていくと鼓膜にかかる圧力が大きくなって耳抜きにもより強い力が必要になり、さらに進むと鼓膜が破れます。
耳抜きが必要な回数は体質によって異なりますが、一般的には1メートルにつき1回が目安です。
抜きたい耳を上向きにする
耳抜きがうまくできないときは、「水中の空気は上へ昇る」という性質を使い、抜きたい耳上に向けて耳抜きをしてみましょう。抜きたい耳の側が上になるように頭をかしげて、反対側の手でしっかりと鼻をつまんでください。潜るときの姿勢も頭を上にしたほうが耳を抜きやすく、耳抜きが苦手な人におすすめです。
浅い場所に戻って行う
すべてのコツを試してもうまくいかないときは、浅い場所に戻って耳抜きを行ってください。浅い場所に戻ると水圧が弱まりますし、心理的にも幾分か余裕が生まれるので、呼吸を整えて体の力を抜いて耳抜きをします。耳抜きをしないままで進むのは危険ですので、耳抜きができる水深まで戻って確実に耳抜きをしてください。
耳抜きはコツをつかめばすぐできる!
耳抜きは耳管を開く作業!やりすぎには注意!
耳抜きは動作の意味とコツを押さえるとすぐに体得できますので、要点をふまえて練習しましょう。
耳抜きとは耳管を開いて耳の中の気圧をそろえる作業で、耳管を開けるために空気を送ったり、周りの筋肉を動かしたりします。コツはまえもってあごや耳をほぐし、鼻通りもよくしておくことで、ダイビングの場合は耳抜きを正確に何度も行ってください。
出典:写真AC