目次 [表示]
- そもそも国際観光旅客税とは?
- 国際観光旅客税が徴収されるのはいつから?
- 国際観光旅客税の対象者は?
- 国際観光旅客税 非課税対象者は?
- 国際観光旅客税の金額は?
- 1名で2席購入した場合の税金額は?
- 納税方法は?
- ストップオーバーで日本に立ち寄る場合は?
- チケットを買う前に条件などを確認しましょう
- 海外出張の場合の国際観光旅客税の納税義務は?
- 急な予定変更!旅行キャンセルの場合の返金条件は?
- 国際観光旅客税は何に使われる?
- 入国、出国時の顔認証ゲートの増設(法務省 )
- 税関検査などの環境整備(財務省 )
- 外国人観光客誘致のための環境整備(文化庁)
- 国立公園の環境整備(環境省)
- 皇居内三の丸尚蔵館の整備(宮内庁)
- 情報通信技術の活用などによる観光プロモーション(観光庁)
- 公共交通機関利用環境の革新など (観光庁)
- 観光戦略推進の核となるDMOの改革(観光庁)
- まとめ
そもそも国際観光旅客税とは?
国際観光旅客税(出国税)とは、日本に新たに導入された税制度です。世界の観光先進国トップ3のフランス、スペイン、アメリカに続き、日本は現在11位にランキングしています。日本では2019年10月の天皇即位イベント、そして2020年の東京オリンピック開催など、今年から来年にかけて世界中から大注目されることになるでしょう。これを機に「日本の観光の質を見直し、より豊かな観光先進国に発展させていこう」というのが税の目的です。
国際観光旅客税が徴収されるのはいつから?
国際観光旅客税の導入開始は、2019年1月7日です。航空券料金に含めて徴収されるので少し分かりづらいのですが、国際観光旅客税は、2019年1月7日以降に購入される国際線の航空券、もしくは船舶旅客券が対象となります。それ以前に購入した航空券には適用されません。乗り継ぎ地として日本を経由する航空券も対象です。
国際観光旅客税の対象者は?
日本人、外国人関わらず日本を出国する全ての人が対象です。日本に住む私たちが、旅行で海外へ出国する場合にも適用されます。ただし、乗り継ぎ経由地として日本の空港を利用する場合は、24時間以内に乗り継ぎ便に搭乗し、出国することを条件に「納税対象外」とされています。その他、納税の義務が無い非課税対象者については下記でご確認ください。
国際観光旅客税 非課税対象者は?
以下、非課税対象者のリストです。
- 船舶又は航空機の乗員
- 強制退去者など
- 公用船又は公用機(政府専用機など)により出国する者
- 乗継旅客(入国後24時間以内に出国する者)
- 外国間を航行中に、天候その他の理由により本邦に緊急着陸などした者
- 日本から出国したが、天候その他の理由により本邦に帰ってきた者
- 2歳未満の者
国際観光旅客税の金額は?
税金額は、1回の出国につき1,000円です。航空券料金に含まれて請求されますので、1名1回の出国につき1,000円が徴収されます。格安航空券など、比較的海外渡航が手頃になった現在では、1,000円の税金は割高な印象を受ける方もいらっしゃるかもしれませんね。この後、しっかり国際観光旅客税の使用用途や政府の取り組みについて説明していきます。
1名で2席購入した場合の税金額は?
例えば、楽器の持ち込みや広めに席を利用するため、1名で2席分の航空券を購入する場合はどうでしょうか。1名で2席分の座席を購入した場合でも、入国するのは実際には1名のため、国際観光旅客税は1名分の1,000円のみとなります。
納税方法は?
国際観光旅客税は、航空券を購入する際に含まれる燃料サーチャージ、空港施設使用料、空港諸税などと同様に航空券料金に含まれています。航空券を販売する側が、旅行者に代わり納税します。乗り継ぎで日本に入国し、24時間以上滞在する場合も同様です。導入日である2019年1月7日以降に販売される航空券料金には、すでに国際観光旅客税が含まれています。基本的には旅行する私たちが直接納税する必要はありません。
ストップオーバーで日本に立ち寄る場合は?
例えば、外国から日本の空港を経由して、その他の外国に乗り継ぎを行う場合には、24時間以内に日本を出国することを条件に、国際観光旅客税が免除されます。ストップオーバーで乗り継ぎ時間を利用して日本に一時入国、24時間を超えて滞在する場合には納税対象です。
チケットを買う前に条件などを確認しましょう
各航空会社のホームページにも、国際観光旅客税についての説明が記載されています。航空券料金そのものの返金以外に、税金類の払い戻し手数料など、キャンセル時の条件の記載もありますので見ておきましょう。フルサービスの航空会社とLCCで大分対応が異なるようです。購入後の予定が変わる可能性がある人はしっかりと確認しておきましょう。下記は主要な航空会社のホームページリンクです。
海外出張の場合の国際観光旅客税の納税義務は?
「国際観光旅客税」なので観光目的の旅客のみ対象に思われがちですよね。しかし日本に住む私たちが海外出張のために出国する場合も対象となります。決して「観光客」に限った税金ではありません。日本に住む外国人がビジネスで出国する場合や、乗り継ぎで日本を経由する場合の条件も同じです。天候などの緊急着陸などを除き、日本に入国する外国人、もしくは日本居住者が出国する場合には、国際観光旅客税が徴収されます。
急な予定変更!旅行キャンセルの場合の返金条件は?
航空券購入後に予定変更となった場合、航空券料金以外に国際観光旅客税は払い戻されるのか、いつからいつまでが返金対象なのかなど条件が気になるところです。航空会社によって若干条件や対応が異なるため、これから航空券を購入される方は、事前に各航空会社や旅行会社に確認しておくことをお薦めします。もちろん日本を乗り継ぎの経由地として、一時的に入国する場合も同様です。参考までに主要な航空会社の方針をご紹介します。
航空会社 | 国際観光税返金対応 | 手数料 |
---|---|---|
JAL | 可 | 無料 |
ANA | 可 | 無料 |
ジェットスター | 可 | 3,000円 |
ピーチ | 可 | 3,300円 |
バニラエア | 可 | 4,000円(シンプル・わくわくプラン) |
国際観光旅客税は何に使われる?
日本人、外国人旅行者によって収められる国際観光旅客税の収益が、具体的にいつから何に使われるのか見てみましょう。スタートしたばかりの税金制度ではありますが、国際観光旅客税による税金収入は、約500憶円程度と見込まれています。その税金収入は、観光庁とその他5省庁に振り分けられます。では、その税金収入はいつから、何に使われるのでしょう。現在発表されている国際観光旅客税の使い道は以下の通りです。
入国、出国時の顔認証ゲートの増設(法務省 )
法務省は「顔認証システム」の増設を打ち出しました。2020年にオリンピックを控えた日本では、その年に4千万人、2030年には6千万人の外国人旅行者の獲得を目指しています。今後、いかにスムーズに外国人観光客を受け入れられるかが重要なポイントです。「顔認証システム」機材を増設することで、日本人の出国、入国手続き及び外国人の出入国手続きをスムーズにすることができます。
税関検査などの環境整備(財務省 )
財務省の取り組みのうちの一つが、税関申告アプリを使った申告システムです。旅行者は自分のタイミングで、いつからでもアプリで税関申告することができます。表示されるQRコードとパスポートを、検査場の電子申告端末にスキャンさせるだけで審査を通過できます。現時点では成田空港の第3ターミナルのみでの運用ですが、今後も設置場所を拡大する予定です。税関ホームページに詳細が掲載されていますのでご参照ください。
外国人観光客誘致のための環境整備(文化庁)
文化庁は、外国人観光客受け入れ環境の整備を強化する予定です。例えば、文化財施設の案内版に表示されるQRコードを携帯で読み込み、指定された場所に携帯のカメラを向けます。そうすると、当時の人々が実際にその場所を歩いている映像や、合戦で闘う兵士の様子など、リアリティーのある映像で楽しむことができます。日本の文化に興味を持ってもらい、一度のみならず何度も日本に訪れてもらうきっかけにもなると良いですね。
国立公園の環境整備(環境省)
環境省は、約50憶8千万円を国立公園の環境整備に投じます。外国人観光客向けの多言語解説はもちろんのこと、新しい施設の導入を前提とした、土地の整備や廃屋の撤去などを行う予定です。また外国人観光客がよく訪れる「新宿御苑」において、国立公園に関する情報発信の強化も予定しています。一つの観光地で次の観光地情報を提供することで、日本の「おもてなし」を発信すると同時に、観光客の満足度の向上に繋がると素敵ですね。
皇居内三の丸尚蔵館の整備(宮内庁)
宮内庁は、2025年の完成を目途に三の丸尚蔵館の新館の建築を進めます。三の丸尚蔵館には皇室に代々受け継がれた美術品が保存・管理されています。皇居東御苑内にあり、一般客にも展示公開されています。現在保存されている美術品は約9800点ですが、皇室からの寄贈により、今後更に美術品が増える予定です。より多くの美術品の保管と展示、引き続きの一般来場数の増加に対応するための新館の建築です。
情報通信技術の活用などによる観光プロモーション(観光庁)
観光庁は、外国人観光客の「まちあるき」の満足度向上を目指し、無料Wi-Fiエリアの拡大やデジタルサイネージを使用したマルチ言語での観光案内板の導入を行います。その中にはタブレットを利用した翻訳や、免税対応のレジシステムなど、言葉のバリアを無くすための、さまざまなアイディアも含まれています。その他、公共施設への洋式トイレの導入や、観光地の古くなった壁の補修など、衛生面、環境整備へも税金収入が費やされます。
公共交通機関利用環境の革新など (観光庁)
SNSなどの普及と伴に、主要都市のみではなく地方にも足を延ばす外国人観光客が増えています。主要都市から地方に移動する観光客のニーズに合わせ、アプリや翻訳機を使った公共交通機関案内の多言語化など、さまざまな改革が行われる予定です。大荷物の収納に対応できるタクシーサービスの導入も改革の一つです。いつからか日本が遅れをとってしまった観光地でのキャッシュレス化の推進にも、税金収入の一部が使われます。
観光戦略推進の核となるDMOの改革(観光庁)
DMOとは、コンセプトや条件に基づいた観光地域づくりを実現するための戦略づくりとその後の調整を担う法人のことです。次の3点の重視点を公表しています。
- 負担者の納得が得られること
- 先進性が高く、費用対効果が高い取組みであること
- 地方創生をはじめとする重要な政策課題に合致すること
まとめ
約27年ぶりに導入された新しい税金制度「国際観光旅客税」。チケット代金への上乗せが基本なので、いつから徴収されているのかなど、いわゆる「納税」という意識は持ちづらいかもしれません。しかしこれらは日本の観光を発展させるための取組みや、新機材の導入に使われます。日本の文化や歴史、そしておもてなしの心を世界にアピールする手段として、国際観光旅客税が有効に使われ、日本ファンがますます増えると良いですね。