グエル公園とは
スペインの誇る天才建築家「アントニ・ガウディ」が、バルセロナに設計した公園が「グエル公園」です。最初から公園として建築されたのではなく、自然と芸術が調和する住宅地として設計されました。そのため、園内には貯水槽設備や広場、自動車のための道路など、インフラが整備されています。ただ、この総合芸術の価値観は、当時はまだ理解されませんでした。住宅が売れず、工事が中断したあとはバルセロナ市の公園として寄付されます。その後、1984年に世界遺産として登録されました。現在は無料で見学のできるエリアと有料エリアに分かれています。
グエル公園の基本情報
営業時間
グエル公園に定休日はないので、年中無休で営業しています。大抵の観光施設が休みとなる休日や、スペインの祝日でも営業しているので安心です。ただし、その場合は観光客が空いている施設に集中することになるので、余裕をもったスケジュールを立てたほうがいいでしょう。
3月29日~5月3日 9月7日~10月24日 |
8時00分~20時00分 (最終入場は19時30分) |
5月4日~9月6日 | 8時00分~21時30分 (最終入場は21時00分) |
10月25日~3月28日 | 8時30分~18時15分 (最終入場は17時30分) |
有料エリア入場料
写真スポットとしてもおすすめの、人気の建築物のほとんどが集中する「モニュメントゾーン」への入場には料金がかかります。無料エリアにもヤシの木を模したプランターや、ロザリオの球が54個並ぶ「ロザリオの道」など、見どころはあり。ただ、滅多には来られないであろうスペイン旅行の、貴重な観光の時間を使ってしまうのはもったいない気も。ほかのガウディ作品に比べると、グエル公園の入場料は安めなので、有料エリアだけをじっくり見て回るのもおすすめです。
一般 | 10ユーロ |
6歳以下 | 無料 |
7~12歳 | 7ユーロ |
65歳以上 | 7ユーロ |
有料エリアのチケット予約方法
無料エリアをのんびり散策する、といった楽しみ方もいいですが、スペインにきたからにはガウディ作品を堪能したいですよね。有名なトカゲのモニュメントの写真を撮影するなら、有料エリアへの入場はかかせません。バルセロナの街中から少し離れているとはいえ、グエル公園は観光客に人気のスポット。真冬の閑散期でもない限り、時間の余裕のあるときに予約しておくのがおすすめです。
公式ホームページ(英語)から予約
残念ながら日本語のサイトがないので、スペイン語、もしくは英語サイトからの予約になります。ここで必要なのは、Eメールを受信できるアドレスと、支払いのためのクレジットカード。予約が完了すると、登録したアドレスにEメールが送られてきます。添付されているファイルを印刷、もしくはスマホなどの端末に保存しておきましょう。当日はそこに記載されている、QRコードを提示すれば入場できます。意外と簡単なので、時間のある方は辞書や、翻訳サイトを見ながらチャレンジしてみては?
代行予約サービスを利用する
「英語はよくわからないから不安」という方は、旅行代理店などに代行予約をお願いしましょう。代行手数料はかかりますが、最初から最後まで、日本語で予約ができるので安心です。代理店に依頼するのであれば、グエル公園を含む、バルセロナの主要観光スポットをめぐるツアーに参加するのもおすすめ。
グエル公園へのアクセス方法
グエル公園は、バルセロナの街中から少し離れた場所にあるため、アクセスには少し時間がかかります。アクセス方法は、バスや地下鉄、タクシーなど。方法は色々ありますが、ここではおすすめの順番にご紹介します。
直通シャトルバス
グエル公園の入場チケットを、ネットで事前購入していれば、直通のシャトルバスを利用できます。チケット代金にバス代も含まれているため、利用しない手はありません。チケット購入時に、シャトルバスのQRコードも一緒にメールで送られてきます。そのコードをバス乗車時に見せて、コードを読み取ってもらいましょう。乗り場は、地下鉄(L4)「Alfons X」駅。「Placa d Alfons el Savi」出口から出れば、青いバス、もしくは青い服の係員が立っています。バスは約5分間隔で運行していて、所要時間は15分程度です。
タクシー
スペインのタクシーは意外と安く、初乗り料金は2.2ユーロ(約264円・注1)ほど。サグラダファミリアや、カタルーニャ広場などの主要スポットを含む、バルセロナ市内からの料金は10ユーロ弱。所要時間も10分程度なので、グループ旅行であれば、タクシー代の方が安い可能性も。黒と黄色の派手な車がタクシーの目印ですが、流しのタクシーを拾うのに抵抗がある方は、宿泊先のフロントで手配してもらうのもおすすめです。
注1)1ユーロ120円で計算(2019年11月現在)
地下鉄とバス
グエル公園の地下鉄最寄り駅は、地下鉄(L4)「Joanic」駅と、地下鉄(L3)「Lesseps」駅のふたつ。どちらの駅を利用する場合でも、下車後「116番」のバスに乗れば、グエル公園に到着します。Joanic駅からバスを利用すれば、グエル公園の正面に停まるのでおすすめです。カタルーニャ広場から出ている「24番」のバスは、以前はLesseps駅を経由して、グエル公園で降りることができました。しかし、観光客の増加が市民の足に影響を及ぼしたため、グエル公園の停留所は廃止となっています。路線バスを利用する際は、地元の方にも配慮して観光しましょう。
地下鉄と徒歩
「路線バスに乗るのはハードルが高い…」という方は、地下鉄を降りて徒歩で向かう、という手もあります。その場合の最寄り駅は、地下鉄(L3)「Lesseps」駅、もしくは「Vallcarca」駅のどちらかがおすすめ。所要時間は約15~20分程度で、どちらのルートも標識があるので、迷うことはないでしょう。ただし、真夏は道中に日差しを遮るものもがありません。広い園内を見て回ることを考えると、タクシーなどを利用して体力を温存し、ほかの観光に備えるのもひとつの方法です。
グエル公園のおすすめの時間帯
おすすめの時間帯は、なんといっても朝一番。公園自体は、時間帯で区切って入場制限をしているので、どの時間を選んでも「混雑していて何も見られない!」ということはありません。ですが、写真撮影をするのであれば話は別です。「トカゲの噴水」や「タイルのベンチ」などは、人気の写真スポットなので、どうしても人が映り込んでくる可能性が増えます。ツアー旅行客が入場してくる前の、朝の時間帯であれば満足のいく写真が撮れるでしょう。
グエル公園の見どころ
見どころ➀ トカゲの噴水
「グエル公園」で検索すると、必ずと言っていいほど出てくるトカゲのモニュメント。「トカゲ」と言っていますが、ガイドブックによっては「ドラゴン」だったり、「サンショウウオ」だったりとさまざま。園内でもらえるパンフレットには、ドラゴンと記載がありますが、竜には見えないような…。モデルとなったのは伝説の生物「サラマンダー」なので、ドラゴンでもトカゲでも正解の気はします。どちらが正しいのか、確かめてみる楽しみ方もありですよ。
見どころ② 大階段
正門から、ギリシャ神殿を思わせる市場に続く道が、この「大階段」。45段ある階段の両脇には、市松模様を彷彿とさせるタイルが敷き詰められています。中央にはトカゲの噴水が鎮座していて、写真を撮りたい人たちでいつでもいっぱい。タイルの模様はそれぞれ違うので、じっくり観察したり、トカゲの写真待ちをしたり、楽しみ方は人それぞれです。
見どころ③ 多柱室
大階段を登りきると、たどり着くのが「多柱室」。86本もの柱が並ぶこの場所は、当初は市場として使用される予定でした。柱は、よく見ると斜めに天井を支えています。天井にある鮮やかな飾りは、「太陽と月」を表したもの。スペインの、夏の日差しを思い起こさせる太陽はどれなのか、想像する楽しみ方もありますね。
見どころ④ 中央広場
多柱室の柱が支えるのがこの「中央広場」。高台にある、バルセロナの街を一望できるスポットです。スペイン、いえ世界中が完成を待ち望む、ガウディの最高傑作「サグラダファミリア」もここから確認できます。広場をぐるりと囲み、優美な曲線を描くベンチの長さは110メートル。実は世界一の長さを誇っています。硬そうな見た目とはうらはらに、意外と座り心地のいいベンチ。実際に人を座らせて型を取っているので、体の曲線にフィットするようできているんです。
見どころ⑤ モザイクタイル
中央広場のベンチはもちろん、園内のいたるところに見られるモザイクタイル。これは、「トレンカディス」という技法で、カタルーニャ語で「壊れたタイルモザイク」と呼ばれるもの。平面のタイルでは曲線を表現できないので、この技法が用いられました。壊れてしまって売り物にならない陶器のカケラに、キズのついた不良品タイルや食器などを使用して作られています。「ここでその色を持ってくる!?」というセンスに、脱帽しきりのカラフルで美しいタイル。好きなデザインの箇所を探すのも、おすすめの楽しみ方です。
見どころ⑥ 洗濯女の回廊
中央広場横の階段を降りると、すぐに見えてくる、柱に彫り込まれた女性の像。女性の頭に、洗濯かごが乗っているように見えるので、ここは「洗濯女の回廊」と呼ばれています。ここで使用されている石は、上の道路を作る際の掘削工事で出たもの。ゴツゴツとした石を使っているのに、美しく曲線が描かれているのは、この回廊が波をイメージして作られたからなんです。斜めにそびえる柱と、下部よりも上部がえぐれたデザインは、自分がまっすぐ歩いているのかわからなくなる面白さがあります。
見どころ⑦ お菓子の家
砂糖がけのアイシングクッキーのような、可愛らしい建物は、見た目通り「お菓子の家」と呼ばれています。実際に、童話「ヘンゼルとグレーテル」の、お菓子の家がモデルです。ガウディの想像するお菓子の家は、こんな感じだったんだな、という楽しみ方もできますね。2棟のうち1棟はお土産ショップになっていて、もう1棟の「守衛の家」は、内部見学が可能です。ただし、内部には特筆すべきものがないので、並んでまで見る価値はないかもしれません。
出典:ライター撮影