アケビコノハとは？枯れ葉そっくりのおもしろい蛾の特徴をご紹介！

アケビコノハの成虫は、4枚ある翅（はね）の上2枚「前翅（ぜんし）」の背側の面は、こげ茶色で枯れ葉そっくりです。下2枚の「後翅（こうし）」は、対照的に派手な黄色で、目玉模様が描かれており、前翅の腹側の面にも同じ模様があります。

アケビコノハは大型の蛾であり、翅を開いた状態で左右の前翅の先端をつないだ幅（開帳）は100ミリ前後です。

成虫の特徴の1つ目は、天敵である鳥や小動物から身を隠すために、枯れ葉に擬態している（姿を似せている）ことです。木の幹や枝にとまるときは、前翅で後翅を隠し、少しだけ破れた枯れ葉にそっくりな見た目になり、突かれると、死んだふりをしてポトリと地面に落ちます。

昆虫は、色や形が生息環境にあわせて作られる種が多いですが、アケビコノハは、とくに巧妙な擬態の1つです。

成虫の特徴の2つ目は、攻撃を受けると、隠していた派手な後翅の目玉模様を見せて威嚇することです。目玉模様は、鳥の天敵であるヘビやフクロウに似せているといわれ、枯れ葉になりきっている体勢からバッと目玉模様を出すことで、鳥は驚いて遠ざかります。

アケビコノハの目玉模様は尾のそばにあるので、頭の位置を勘違いさせ、致命傷を避ける役割もあるそうです。

成虫の特徴の3つ目は、口（口吻・こうふん）が頑丈で、果汁を吸うときに果実の皮を突き破れることです。成虫の食べ物は果汁や花の蜜であり、口吻は吸うのに適したストロー状で、食べるとき以外は巻いた状態で収納されています。

果樹園では、果実に袋をかけて対策しても効果がなく、アケビコノハの口吻は袋の上からでも突き破れるほど強固です。

成虫の特徴の4つ目は、鼻先がカブトムシの角のような形で、がっしりとして前方に高く伸びていることです。蛾やチョウの鼻先は、下唇鬚（かしんしゅ）またはパルピといい、においを感じ取ったり、目（複眼）を掃除したりします。下唇鬚は、一般的には小型の蛾で発達しており、アケビコノハは例外的な大型蛾の1つです。

アケビコノハの幼虫は、周囲の植物の色によって体の色が異なり、紫がかった黒色・緑がかった淡い褐色・くすんだ緑色の3パターンがあります。幼虫の大きさは成虫と同様に大きく、頭から尾までの長さ（体長）は50～75ミリです。

体は、全体に青白い小さな斑点があり、第2、第3腹節には大きな丸模様（目玉模様）があり、毒々しい見た目ですが毒は一切ありません。

幼虫の特徴の1つ目は、背中に大きな2対の目玉模様があることで、目玉模様を持つ昆虫のなかでも代表的です。目玉模様は、白目と黒目がよくわかるリアルな模様で、幼虫の頭上や正面から見るとまるでヘビのようであり、天敵を追い払うのに役立っています。

幼虫の特徴の2つ目は、威嚇する姿勢が独特であることで、身の危険を感じると、頭を丸めこんで、尾を反り上げた姿勢で固まります。幼虫の威嚇の姿勢は、背中にある目玉模様を大きく強調させていると考えられており、背中を頭部に見立て、ヘビか何か別の生物に擬態しているとする説が有力です。

幼虫の特徴の3つ目は、蛹になるときにカイコのような繭の蛹室をつくらず、数枚の葉を糸でつなげて蛹室にすることです。数枚の葉が丸く重なった中には、3～5センチほどの大きさの黒くつやつやした蛹がいて、細くなっている尾側でしっかりと体を葉にくっつけています。