キアゲハの幼虫の生態
分布 | 北海道~九州 |
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脱皮 | 4回(1~5齢まで) |
見分け方 | セリ科の草にいる |
キアゲハの幼虫は世界では北半球の寒帯~温帯に生息しており、日本では沖縄をのぞく全国に分布しています。幼虫の最終形態は、卵からふ化して脱皮を4回おえた状態の5齢幼虫であり、さらに脱皮してサナギになり、脱皮して成虫になるまでが一連の流れです。
1~3齢のころはアゲハチョウ全般との見分けがむずかしいですが、食草の違いでセリ科の草にいることで見分けられます。
見かける時期と場所
時期 | 4~10月 |
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気温 | 15~30℃ |
場所 | 市街地の公園・民家・畑・草地、高山 |
年間の発生回数 | 2~5回(暖かいとさらに増える) |
越冬する形態 | サナギ |
キアゲハの幼虫を見かける時期は4~10月ごろで、場所は市街地や高山など、セリ科の草が生えている日当たりのいい場所です。キアゲハは基本的に1年のうちに複数回発生し、4~5月より6~10月に見かける個体のほうが大きい傾向があります。
秋口に生まれた幼虫はサナギになって冬を越すのでサナギの期間が長く、羽化するのは翌年の3~4月です。
卵~蛹化まで
キアゲハの卵はセリ科の葉1枚1枚に1粒ずつ産みつけられ、卵は直径0.2センチほどの黄緑色の球体で、3~5日でふ化します。幼虫は1か月弱の間に脱皮を4回くり返して大きくなりますが、脱いだ殻や卵の殻は天敵を寄せつけないように自分で食べる習性です。
終齢では蓄えるために大量に食べ、4~7日後にはサナギになる場所を探して動き回り、準備(前蛹)をへてサナギになります。
天敵
キアゲハの幼虫は天敵が多く、おもな天敵はカメムシ・カマキリ・ハチなどの昆虫、クモや鳥などです。アゲハチョウの幼虫は体に敵が触れると、頭からにおいを放つ2本の角を出して威嚇します。
キアゲハには天敵が多く、卵やサナギには幼虫と別に寄生する天敵もいて、自然界で卵が成虫まで無事に成長する確率は2パーセントに届きません。
キアゲハの幼虫を駆除する方法は?
方法 | |
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駆除 | 見つけたら取り除く |
薬剤をまく | |
防ぐ | 防虫ネットや寒冷紗をかける |
アブラナ科と一緒に植える |
①見つけたら捕獲する
キアゲハの幼虫を駆除する方法は、被害が大きくない場合、幼虫を見つけたときに取り除くのをおすすめします。1匹ずつの駆除は規模の大きくない家庭菜園に向いていて、終齢幼虫であれば大きさもあるため見つけやすいです。素手で幼虫をつかむことに抵抗のある人は、割りばしやピンセットを用意してください。
②薬剤をまく
代表的な薬剤 | 作物 | 成分 | 用法 |
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アファーム乳剤 | ミツバ | 化学物質 | 散布 |
モスピラン水溶剤 | ニンジン・アシタバ | 化学物質 | 散布 |
STゼンターリ顆粒水和剤 | パセリ | 天然物 | 散布 |
キアゲハの幼虫を駆除する方法は、被害が大きい場合や苗数が多い場合、農薬をまくのがおすすめです。農薬の種類は作物・害虫にあったものを選ぶ必要があり、農家は農協や自治体の推奨している薬剤から選び、家庭菜園は栽培の方針にも照らして選びます。
農薬の使い方は、農薬ごとに量・回数・有効期限などとともに決まっているので、確認してください。
成虫の飛来を防ぐことも大事
キアゲハによる食害を防ぐためには、幼虫を駆除するだけでなく成虫が飛んで来て卵を産みつけるのを防ぐことも大事です。作物への産卵を防ぐ方法は、防虫ネットまたは寒冷紗をかけるのがおすすめで、苗や種を植えてすぐに全体をネットで覆ってください。
飛来対策には作物をアブラナ科の草花と一緒に植える策もあり、キアゲハの嫌うアブラナ科のにおいで飛来数を減らせます。
出典:写真AC