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プラハのカレル橋を観光しよう
チェコの首都プラハに架かるカレル橋。ヴルタヴァ川の眺めが美しいこのカレル橋は、とても長い歴史を持つ橋で、多くの見どころがある観光スポットとして、世界中から多くの人が訪れています。そんなカレル橋は、いったいどのような経緯で生まれ、プラハの人々にとってどのような存在なのでしょうか?この記事で、カレル橋の歴史や、観光の際の見どころなどをチェックしていきます。
カレル橋ってどんな橋?
チェコの有名建築物
カレル橋は、チェコの首都プラハに流れている、ヴルタヴァ川に架かっている橋です。このヴルタヴァ川に関して、日本ではドイツ語の名前「モルダウ川」の方が、音楽などでよく知られていますね。1402年に完成し、長い歴史を持つこの橋は、もともとはプラハ橋などと呼ばれていましたが、1870年頃から「カレル橋」という名称がつきました。
カレル橋の建築様式
カレル橋の大きさは、長さは515メートル、幅10メートル。プラハで最も古い石造りの橋です。橋の欄干には30体もの聖人像が並んでいて、その多くはバロック様式で造られています。像はほとんどが砂岩で作られたものですが、唯一、ボヘミアの司祭であった「聖ヤン・ネポムツキー」の像は銅製で、カレル橋の象徴のような存在です。
カレル橋の歴史
橋の建築
カレル橋は、1357年、神聖ローマ帝国の皇帝としてこの地を統治していた、カール4世の命によって建築が始まりました。このカレル橋という名前は、カール4世のボヘミア王としての名前、「カレル1世」にちなんでいます。ペトル・パルレーという建築家によって設計されたこの橋は、プラハ旧市街と周囲のエリアを繋ぎ、長い期間に渡って、交通と交易の面で大きな役割を果たしてきました。
像の設置
カレル橋の欄干に並ぶ30体もの聖人像。そのうち、最も古くに造られたと考えられているのは「十字架像」で、1361年には既に存在していたとの記録があります。その後も、ボヘミア王の騎馬像や、ライオンの像などが設置されていたと伝えられていますが、最大の宗教戦争とされる「三十年戦争」のさなかに破壊されてしまいました。
現在の姿へ
戦火によって、ほとんどの像が失われてしまったカレル橋。残っていたのは最も古い「十字架像」のみでした。その後、1683年に「聖ヤン・ネポムツキー像」が建立されたのを皮切りに、次々に新たな像が設置されていきます。こうして現在のような姿になったカレル橋は、世界中から多くの観光客が訪れる、チェコ有数の観光名所となりました。
聖ヤン・ネポムツキーとは
プラハの聖人
カレル橋のシンボルとして有名な「聖ヤン・ネポムツキー」の像ですが、彼はどういった人物だったのでしょうか?この「ヤン・ネポムツキー」という名前は、「ネポムク村のヤン」という意味で、その出身地であるボヘミアの村に由来するものです。彼は14世紀にプラハで司教を務め、後にはプラハ大司教の総代理という立場にまでなりました。
殉教
ヤン・ネポムツキーが司教に就いていた当時、カトリック教会とボヘミア王ヴァーツラフ4世は対立状態にありました。ヤン・ネポムツキーは、この争いの中でボヘミア王の怒りを買い、拷問の末、命を落としたとされています。王を怒らせた経緯については、「大司教の企てを問い詰められても口を割らなかったため」という説や、「王妃の告解を王に明かすことを拒否したため」という説が有力です。
カレル橋の見どころ12選
見どころ①:聖ヤン・ネポムツキー像
カレル橋を代表する見どころスポットが、この「聖ヤン・ネポムツキー像」です。この像の土台部分には、彼の殉教した経緯を伝えるためのレリーフがはめ込まれており、彼が描かれている部分に触ると幸福になれるという伝説があります。この地を訪れる多くの観光客が触るため、その部分だけ磨耗して輝いているのも面白いところです。
見どころ②:プラハ城
カレル橋から眺めるプラハの街並みは、大変美しいものです。その中でも、そびえ立つプラハ城の景観は圧倒的な存在感を誇っています。このプラハ城は、世界で最も大きく、そして最も古い城として、ギネスブックにも載っており、チェコを代表する観光地です。
見どころ③:ヴルタヴァ川
カレル橋からの眺めで、もう一つ注目したいのが、「モルダウ川」こと、ヴルタヴァ川です。クラシック音楽の題材にもされるほどのこの川は、幅500メートル、全長は430キロにもなる巨大さで、チェコの街中を雄大に流れています。ヴルタヴァ川をゆっくりと楽しめる観光クルーズもありますので、川面からの眺めを楽しんでみてはいかがでしょうか。
見どころ④:橋塔
カレル橋の3ヶ所に立っている橋塔は、もともとは橋や街を守るための見張り台として建築されたものです。現在では、この地の眺めを楽しむための展望台として、人気を博しています。旧市街側にある塔は、ゴシック様式の建築物の中でも最高傑作であるとして有名です。
見どころ⑤:十字架像
最も古くからある「十字架像」も、ぜひ見ておきたいところです。これはゴルゴダの丘で磔刑に処されたキリストの姿を像にしたもので、十字架の両隣には聖母マリアと聖ヨハネも寄り添っています。美術的な価値も高いので、キリスト教徒でなくても、ぜひ見ておきたいですね。ちなみに、現在橋の欄干にあるものは後年になってから造られたもので、オリジナルはプラハ国立博物館に保管されています。
見どころ⑥:聖ヤン・ネポムツキーのレリーフ
「聖ヤン・ネポムツキー像」から少し離れたところには、彼を描いたレリーフがもう一つあります。このレリーフが設置されている場所は、拷問の末に亡くなった彼の遺体が川に投げ込まれた地であるとして有名です。像の土台にあるレリーフと同じく、こちらも触ると幸運が訪れるとされ、人だかりができています。
見どころ⑦:フランシスコ・ザビエル像
このカレル橋には、我々日本人にはとても馴染み深い人物の像もあります。それが、この「フランシスコ・ザビエル像」です。日本にキリスト教を伝えに来た宣教師として、歴史の教科書にも載っていました。イエズス会創設者の一人である彼は、チェコにおいても高い評価を得ているようですね。ちなみに、ザビエルの下にある像は東洋人のような顔をしていて、一説では日本人ではないかとも言われています。
見どころ⑧:十字騎士広場
カレル橋の旧市街側にある広場は、「十字騎士広場」と呼ばれています。この地は、日本で言うところの「縁結び」のような効果があるパワースポットとして有名です。広場奥の柵にカップルで南京錠をかけると、幸せに結ばれると言われています。カップルでチェコを旅行する際には、ぜひ訪れたい場所ですね。
見どころ⑨:カンパ島へと通じる階段
カレル橋の西端には、カンパ島へと降りていくための階段があります。この階段は、人気映画『ミッション・インポッシブル』の撮影にも使われた場所として有名で、世界中から映画のファンが訪れる人気スポットです。階段部分のみでなく、近くにある広場も作品中に登場する場所なので、映画ファンにはたまらない眺めが広がっています。
見どころ⑩:橋上の賑わい
カレル橋には、建築物としての魅力もありますが、橋の上に集まる人々によるイベントや露店も見どころとなっています。カレル橋の上では、毎日のように大道芸人や似顔絵を描く画家、露天商が集まり、さながらお祭りのような賑わいです。音楽都市として長い歴史を持つプラハでは、カレル橋の上で演奏している音楽家たちも、大変レベルが高いことで知られています。
見どころ⑪:夜景
カレル橋周辺は、昼間の眺めも大変美しいですが、夜になると橋やプラハ城周辺がライトアップされ、また違った美しさを演出してくれます。この周辺は夜でも観光客で賑わう場所で、治安もいいため、ライトアップアされたカレル橋を眺めながら、散策を楽しむのもいいかもしれませんね。
見どころ⑫:多くの博物館
カレル橋の周辺には、この地にまつわる歴史や文化を学べる博物館が、いくつも建っています。カレル橋の歴史が学べる「カレル橋博物館」や、ヴルタヴァ川の雄大さを音楽で表現した、「ベドルジハ・スメタナ」の功績を現代に伝える「スメタナ博物館」。中には「拷問博物館」などといった、恐ろしい歴史を伝える博物館もあり、カレル橋周辺だけでも一日中楽しめます。
チェコのおすすめグルメ
ペチェナー・フサ
「ペチェナー・フサ」は、ガチョウをローストした料理です。塩や香辛料で味付けしたガチョウ肉を、オーブンで焼き上げたこの料理は、チェコの伝統料理として中世の頃から食べられていました。キリスト教の聖人の1人「聖マルティヌス」の記念日とされる11月11日は、ガチョウを食べる日とされていて、この料理が最も食べられる日です。
ペチェナー・カフナ
こちらの「ペチェナー・カフナ」は、鴨のロースト料理です。チェコは鴨肉をよく食べる国としても有名で、その分、おいしい鴨肉料理が文化として生まれてきました。プラハなどでは鴨肉の専門レストランもあるほどで、この「ペチェナー・カフナ」も郷土料理として親しまれています。
グヤーシュ
「グヤーシュ」は、牛肉やタマネギなどの具材を、トマトペーストとブイヨンのスープで煮込んだ料理です。これにパンをつけて食べるのが一般的で、チェコではビールのつまみとしても人気があります。チェコ以外にも、ハンガリーやオーストリアなどで広く食べられている伝統料理です。
コラーチ
「コラーチ」は、チェコの伝統的な菓子パンです。パンの中に、季節のフルーツやジャムなどを入れる料理で、店や家庭ごとに独自のレシピがあります。もともとは菓子パンとして生まれた料理ですが、近年では、ソーセージなどを入れた総菜パンのような「コラーチ」も作られるようになりました。
ビール
チェコに行ったら欠かせないグルメと言えば、やはりビールでしょう。チェコは一人あたりのビール消費量が世界一と言われる「ビール大国」なのです。一口に「ビール」と言っても、いくつもの種類があり、味わいが違います。日本の大手メーカーが販売しているビールは、「ピルスナー」と呼ばれるタイプが主流となっており、チェコは、この「ピルスナー」発祥の地です。そのため、日本人にも飲みやすいビールが多いと言えるでしょう。
まとめ
カレル橋は、長い歴史の中で、プラハの街と、そこに住む人々の暮らしを見守ってきました。それだけに、チェコを観光する際には、ぜひとも、このカレル橋には訪れておきたいところですね。この地の清廉な歴史が、きっと感動を与えてくれることでしょう。