どじょう豆腐の作り方はフィクション?
伝承どおりの作り方で作れる?
どじょう豆腐は伝承どおりの作り方では再現できないため、「伝承にあるできあがりや、発祥にまつわるとんち話はフィクションだ」とする説が有力です。伝承どおりの作り方で作るとどじょうは豆腐にもぐり込んでいかず、すぐに鍋から飛び出すほど激しくのたうち回り始め、数分もしないうちにゆで上がってしまいます。
数々の検証で失敗している
どじょう豆腐の作り方はさまざまな時代の人々が検証していますが、伝承どおりに再現できた記録はありません。検証では鍋に入れるタイミング・豆腐の種類・火加減・水の有無などを調整していますが、どじょうはどのように熱しても豆腐にもぐり込まないようです。
伝承される作り方はゆで加減や風味、隠し食べる上での手間数を考えても利点がありません。
とんち話が発祥だったのかも
どじょうを熱さで豆腐に逃げ込ませるレシピは「本来はとんち話のネタだったが、実話と勘違いされて広まった」ともいわれます。「どじょうが豆腐にもぐりこむ」という発想は、どじょうが身近にいて、砂や泥にもぐる習性を持つことを知っていた時代の人々には受け入れやすかったのでしょう。
現実的な作り方
どじょう豆腐を郷土料理として作る場合、現実的な作り方はどじょうをゆで上げてから最後の仕上げとして豆腐の中につめる方法です。食材に適したゆで加減に仕上げるには、どじょうを先にゆでて豆腐を加えるのは最後にする必要があります。
どじょう豆腐をとんち料理として再現するレシピは、豆腐の側面にいくつかの穴を開け、のたうち回ったどじょうが運よく豆腐に刺さるのを待つ方法です。
どじょう豆腐はどの地域の料理?
昔の東北や北陸とも
どじょう豆腐は昔の郷土料理であり、作り方は定かではありませんが、東北や北陸などで食べられていたといわれます。宮城県や、石川県・福井県にはどじょうを使った郷土料理が複数伝わっていて、宮城県のごろんべ鍋やふすべ餅、石川県のかば焼きが有名です。
どじょうの郷土料理は各地に伝わっており、東京都・島根県・香川県・大分県などもよく知られています。
中国や韓国にも似た料理がある
どじょう豆腐と似た料理は隣国である中国や韓国にもあり、中国では「泥鰍鑚豆腐」という名で昔話にも登場しており、韓国でも各地で知られています。どじょうは東アジアに広く生息しており、豆腐は中国でつくられて中世~近世の朝鮮半島や日本に伝わりました。
出典:写真AC