ダリ美術館とは?
ダリ美術館とは、スペインのフィゲラスにある、芸術家サルバドールダリの劇場型美術館です。スペイン旅行には外せない、スペインを代表する観光地のひとつ。その作品は斬新で個性的ですが、他に類を見ない、常識では計り知れない感性の作品ばかりです。芸術的遊園地のような楽しい感動を受けます。そんなダリ美術館の見どころをご紹介します。
画家サルバトール・ダリ
スペインの画家ダリが、絵に興味を持ち始めたのは少年時代でした。21才の時に初の個展を開催。独特の描法で、それまでにない、個性的な作品を生み出し続けていきました。ダリには「やわらかいものと硬い物への執着」があり、それがダリの作品の多くに、反映されています。奇人のイメージが強いですが、本来は繊細で、ペットをこよなく愛する動物好きの優しい一面もあります。
ダリの人柄
奇人変人扱いをされているダリ。でも、実は愛妻家で、人を楽しませることが大好き。ダリ美術館の中にも随所にそれが現れています。見る角度や、位置により変化する絵やトリックアート。館内の通路もダリの手にかかれば、アートな通路になり見学客を飽きさせません。惜しみなく、その天才の作品を披露してくれます。隅々までしっかり見学したい場所です。
ダリ美術館の歴史
ダリ美術館は、ダリの故郷であるスペインの、カタルーニャ地方フィゲラスにあります。ダリとフィゲラス市のもと、1974年ダリが70才のときにオープンしました。その後80年代まで広げて行き、2016年には、130万人を超える観光客を迎えました。スペインの代表的観光地として人気な場所であり、ダリ最後の作品がこの美術館です。
ダリ美術館をこの場所に建てた意味
ダリ美術館をこの場所に建てたのは、「ダリの故郷」という事だけではありません。この場所はダリが幼い頃、洗礼を受けた教会のとなりでした。当時、市民劇場だったこの場所で、ダリの初の作品が展示された思い出深い経緯があるからです。市民劇場の時代に観客席だったスペースは現在、中庭に姿を変えています。そこには、キャデラックが設置されていて、ダリの世界観の詰まったスペースです。
ダリ美術館に眠るダリ
ダリ美術館の象徴でもある、ガラスのドーム。その中は劇場ステージになっていて、赤レンガの床に一部だけ石の部分があります。その下にダリは埋葬されています。世界中で、こんな美術館はあるでしょうか?それもまた天才、奇才のダリの美術館ならではです。この場所に眠っているダリは、この世の私達の言動をどのように見ているのでしょうか。それを想像する楽しみもある観光地です。
ダリ美術館お土産
日本でも人気のキャンディー、チュッパチャプス。そのラッピングのデザインは、ダリが考案したのをご存知でしたか?唯一、気軽に買えるダリの作品です。ダリ美術館に行かれたら、せっかくですから本場のチュッパチャプスを、お土産にしましょう。もらった人は、感動間違いないでしょう。
ダリ美術館を観光
ダリ美術館は、スペインを代表する観光地として、今や外せないスポットのひとつ。一般的にイメージする美術館の概念をくつがえす、感動の連続が待っている美術館です。絵、彫刻、アートなどの作品は、常識の通用しない世界感で構成されています。トリックアートのようでもあり、私達凡人の想像する世界を逸脱しています。美術館の詳細をご案内します。
ダリ美術館の情報
ダリ美術館を見学するための所要時間は、最低でも1時間半です。特に昼間は込み合い、窓口のチケット売り場も並んでいます。時間に余裕を持ってスケジュールを組むことをおすすめします。ダリ美術館は、夏季の7月末頃から8月終わり頃までは、夜間も営業しております。
- 入場料:個人=15€(ダリ・ジュエルズ展含む)
- 夜の入場料:個人=18€(ダリ・ジュエルズ含む)
- 夜の入場料:ガイド付き23€(ダリ・ジュエルズ含む)
- 営業時間:18時まで・夏季20時まで・最終入場は45分前まで
- 定休日:月曜日
ダリ美術館チケットの買い方
ダリ美術館のチケットは、当日窓口で買う方法と、事前にネット予約の方法のふたつ。入場制限が設けられていて、1時間で販売するチケット枚数が決まっています。最も込み合うのは、お昼の時間帯です。この時間帯は売り切れるのが早いので、ネットでのチケット予約がおすすめです。使用可能なクッレジットカードは、VISAかMASTERになります。
ダリ美術館の行き方
ダリ美術館へは、スペイン国鉄が便利です。新幹線AVEで「フィゲラスヴラハント」駅もありますが、少し遠くなります。
- バルセロナ、サンツ・エスタシヲ駅(バルセロナ・サンツ駅とつながってます)から国鉄のレンフェに乗車
- 券売機で列車のチケットを買う:目的地のアルファベットを押せば変換で出てきます。片道12€(クレジットカード使えます)
- 手荷物検査を受けます
- 所要時間:高速1時間・鈍行2時間弱
- フィゲラス下車
- そこから、徒歩約12分:ダリ美術館の案内板か、エンポルタ美術館の案内を目印に進む(近くなってくるとダリらしい彫刻がでてきます)
ダリ美術館の作品
ダリ美術館には、多くの作品が展示されています。ダリの絵画、彫刻、アートコラージュ。その他にもダリがコレクションしていた、複数人のアーティストの作品まで多岐、多様にあります。その中でも長年の友人であり、良き協力者だったアント二・ピクソットは、のちにダリ美術館の館長を勤めました。
ダリの絵
ダリの絵は初期の有機形態学から始まり、ルネサンス様式、ファシスト的思想と変化。その個性の強さから最後は、彼独自の制作方法が出来上がりました。それは「偏執狂的批判的方法」といい「人間は正気を保ち、妄想に陥った振りができる状態」を表現することです。代表作を解説します。
ダリの絵①記憶の固執
ダリ作品のアイコンにもなっている、ぐにゃりと溶けた時計の絵です。正体不明の物体の上に溶けたような時計。これは妻、ガラがカマンベールチーズを食べているときに思いつき、アインシュタインの「時間の歪み」の概念を視覚化した作品です。
ダリの絵②パン籠
その名の通り、フランスパンが籠に入っている絵です。キリスト教においてパンは神聖な存在です。ダリは、神聖であるパンの形状にとても興味を持ち、写実的に書いています。20年前にもパンの絵を書いていますが、この20年で原始主義から、芸術史上主義へと変化する歴史を表現しています。
ダリの絵③窓辺の人物
ダリの初期のころの作品です。モデルとなった妹が、家の窓から海岸を眺めている風景です。その後ろ姿からは、物思いにふけっている様子が伺えます。すでにダリ独特の、トロンとした描写で表現されています。この作品を展示した個展で、ピカソやミロ達の天才画家の目に止まるきっかけとなりました。
ダリの彫刻作品
ダリの彫刻は主にブロンズ彫刻です。複雑な作成プロセスを踏んでいて、現在も研究対象として調査されています。1920年代から1939年代まで、オブジェや陶器をはじめとする彫刻を、精力的に作り続けていました。その後は特定のプロジェクトのために、作品を作る事も多くなりました。
- vision of an angel
- alice in wonderland
- dance of taim I
- Unicorn
ダリの宝石デザイン
ダリは1941~1970年の間、宝石のデザインもしていました。「ダリ・ジュエルズ」といい、27枚ものデザイン画と、図面が残されています。そのデザインをもとに作られた、あわせて39個の金、貴石の宝石が、コレクションとして展示されています。題材に「目」「口元」「心臓」などの、意表をつく作品も多くあります。この感動的かつ、衝撃的な作品は是非見るべき価値があります。
ダリ美術館見どころ
ダリ美術館は建物そのものが、美術品ではないでしょうか。ダリ本人が、その設計のプロジェクトの中心として、細かい部分まで精力的に労力を注ぎました。建物の特徴である、透明の網目状ドームは、建築家エミリオペレスピ二ェロに任せました。ダリ美術館の見どころをご紹介します。
ダリ美術館見どころ①建物もすごい
建物それ自体が観光地のダリ美術館。赤い壁にクロワッサンの造型物が、規則正しく並び、その上には巨大な卵のオブジェが、一列に鎮座している入口。まるで、ケーキにキャンドルが挿してあるかのように見えます。他にもいたる所に不思議な人型の彫刻が飾られていて、ダリの奇想天外で、感動的な世界が繰り広げられています。
ダリ美術館見どころ②作品のハイライト
ダリ美術館は、絵を筆頭として多様なジャンルの作品があります。その中でも、アメリカの女優メイ・ウエストの唇を、赤いソファーで表現した家具は、衝撃を受ける代表作品のひとつです。一定の所からみるとメイ・ウエストの顔になるよう、カスタム家具の作品が配置されています。そこには三次元の世界が広がっていて、凡人には想像できない発想の作品に感動します。
ダリ美術館見どころ③コレクション
ダリ美術館はダリの作品だけではありません。ダリはまたコレクターでもありました。美術館には、ダリが愛してコレクションした、価値ある貴重な彫刻や絵の作品が展示してあります。この場所だから見られる、ダリとゆかりのある作者ばかりです。
- 「エル・グレコ」スペイン、ルネサンス時代の画家、彫刻家、建築家
- 「ブーゲロ」フランス学術画家
- 「マルセルデュシャン」フランス系アメリカ人画家、彫刻家、奏者
- 「アントニ・ピクソット」スペインの画家
ダリ美術館見どころ④夜の営業
ダリ美術館の夜はシュール度マックスです。ライトアップされた建物を、アルコール片手に眺めるまでは、ロマンチックでオシャレな観光です。しかし、中に入るとその薄暗がりの世界は、美術館とはちがって見えます。展示されている絵からは、何かが飛び出てきそうです。ただでさえ奇想天外な作品だらけの美術館は、まさに映画の「ナイトミュージアム」の世界。ワクワク感と、感動の両方を提供してくれます。
- 期間:8月夏季限定
- チケット:インターネット予約のみ。18€(ドリンク付き)
- 注意点:帰りが深夜になります。タクシーなどの手配を忘れずに。
まとめ
ダリの格言に「私は天才を自覚している」という言葉があります。これだけのジャンルに渡って、後世に残り、感動を与える作品の数々を一人で制作しているのですから、その通りです。巨匠ダリの心残りは、愛する妻と別々の地で眠る事になってしまったことでしょうか。それは、天才だからこその運命かもしれません。スペインに行かれたら、ダリの人生の一部を除きにダリ美術館へ行かれてみてください。